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たとえば「アルカディアの牧人たち」という1枚の絵画。近世ヨーロッパのプーサンという画家の絵ですが、登場する4人は、思惑ありげに石碑を囲んでいます。見た目だけならそれだけの話です。しかし、ここからプーサンが置かれていた立場や、時代背景、モノの見方や考え方がわかりだすと、途端にこの絵に隠されたメッセージが浮かびあがってきます。美術作品は、一つの色にも作者の思いが込められています。それらを探りながら、作品が生まれた時代の空気も味わう。これが芸術学のおもしろさです。カリキュラムも、まずは名画を見つめ、美術そのものの魅力に触れることから。徐々に知識を学び、自分の言葉で作品の良さを人に伝える力を磨いていきます。それは芸術学の目的が、一人でも多くの人にアートの魅力を伝えることだから。
アートは作者の思いを代弁し、時にはさまざまなメッセージを伝える媒体になって、見る人に語りかけてきます。そこで、アートと人をつなぐ私たちの存在が必要になります。また、最近はアートが持つ「創造性」や「ゆとり」の部分が注目され、社会全体が芸術を迎え入れる風潮にあります。
芸術を理解し、その魅力を多くの人に伝えて、アートがより身近な社会を作る。奥深い芸術学の世界には、そのためのヒントがきっといっぱい詰まっているはずです。
美術文化領域 美術文化コース アート・スタディ選択コース 准教授
栗田 秀法