インタビュー(木工房[D棟])

自由な発想と熱意で
木と取り組んでください。

工房担当技術員
森 明宏

木材というと、とても身近な素材でありホームセンターなどでも簡単に手に入るものです。 よく目にするのはSPFといってスプルス(唐桧)パイン(松)ファー(モミ)の混合樹林から切り出される安い材木です。主に建築の見えないところに使われているものです。もちろんそれでもいろんなものが作れますが、それらは木という素材のほんの一部でしかありません。松や杉のような針葉樹があり桜やクルミなどの広葉樹もあります。色の黒いブラックウォールナットや赤いブビンガ、紫色のパープルハート、模型飛行機などに使うとても軽いバルサ、水に沈んでしまうエボニー、また製材の仕方で木目も変わります。タケノコのように見える板目、まっすぐに密集した柾目、オークにみられるトラ柄の虎斑、本当に木という素材の多様性には驚かされます。サンプルが木工房にありますので見てください。流通の具合で手に入る木材には制限がありますが、いろんな入手ルートを知っていますので相談してください。

私は木工作家として20年ほどやってきました。椅子やテーブルなどのオリジナル作品やオーダーを受けて作ったり、工務店や設計士から作り付けのキャビネットなどを頼まれることもありました。木で作ることに関してはプロですので、分からないことがあったら何でも聞いてください。

この工房には木工作業に必要な20余種類の機械をはじめ、さまざまな道具・設備などが揃っています。授業はもちろん、自主制作や卒業制作で木材を選択して創作する学生は大勢います。スペースデザインやプロダクトデザインの学生がよく利用するのですが、椅子やテーブル、曲木や成型合板の家具、玩具、建築モデル、照明、など色々面白いものを考えて作っています。他にもビジュアル系の学生が展示パネルやスクリーンの枠を作りに来たり、絵画系の学生がキャンバス枠や額縁を作りに来たり、卒業制作ではコース問わず展示台を作りに来ます。芸祭前には展示販売する作品や、模擬店の屋台や看板なども作りに来ます。

木工房はいろんなものが作れる反面とても危険な工房です。高速で回る刃物で切ったり削ったりするので、小さな木っ端が当たったりするとものすごい勢いで工房の端まで飛んでいきます。使い方を誤ったり油断すると大事故になりかねません。そこで木工房の使用に関しては免許制を敷いています。毎年5月に講習会を開いて工具や機械の安全な使い方を習得してもらい、修了者に免許を渡しています。

学生は頭が柔らかくて自由な発想をするので木工の常識ではやらないことやできそうもないことを要求してくることがよくあります。そんなときはそんなことは普通やらないしできないよと言ってしまうのですが、作りたいという熱意におされて失敗するかもしれないがやってみようということになります。うまくいくときもあればやはり失敗することもあります。でもなぜ失敗したかが解り試行錯誤が始まります。そして成功して喜んでいるのを見るとやってよかったと思いますね。また私のレベルアップにもなるのでなお嬉しいことです。

学生の声

機械の使い方について講習会で実際に使いながら教えていただいたので、何が危険でどう使えば安全かがわかりました。いろんな加工が自由にできてとても楽しいです。芸祭で販売するアクセサリーを作ったのですが、ほぼ完売してさらにうれしいです。

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