• 「卒業研究に向けて」
• 「長くつ下のピッピを読んで」

坂穂澄さん

研究テーマを誤魔化すことなく、迷っていることもふまえて、前期のセミナー１で学んだ、『One Piece』のキャラクター分析についてまとめました。読書課題で読み解いた『ピッピ』についても坂さんの真っ当な人柄が出ています。デザインセンスも優れ、今期のレビュー展ポスターも坂さんが制作しました。

• 「次世代育成と文化振興〜卒業研究に向けて〜」
• 「身体と言葉の表現」

溝口慶一さん

大学入学前から続けている演劇活動と、子どもの世話をするアルバイト体験から、溝口さんは次世代の育成について考え始めているそうです。日本での演劇教育を豊かにする研究になると良いと思っています。パネル原稿を作る時、非常に迷っていましたが、研究テーマ探究を深めるにつれ、パネルもスッキリ仕上がっていきました。

• 「コロナ禍の影響によるライブの現状『過去』と『現在』」
• 「狭間」

鎌田悠斗さん

音楽が好きで、ライブが好き、しかしコロナ禍で影響が…という気持ちから、この研究テーマに絞りつつあります。2枚のパネルは黒っぽい配色に薄い画像を入れたデザインでまとめていますが、鎌田さんのファッションとも通じる、「らしさ」が出ています。

• 「卒業研究に向けて〜じぶんとオカルト〜」
• 「30年後のアートセンター」

小川りいあさん

都市伝説に興味のある小川さんですが、「それだけでは掘り下げが甘くなる」と自分の興味のあることを分析し、このパネルを作り上げました。「芸術と社会」という授業と合わせ、テキスト主体の見やすいデザインにまとめました。大好きな「ゴスロリとホラー」について、お客さんにアイディアを書いてもらい箱に集めるアイディアも「降ってきた」とか。

• 「感染症の中での社会　卒業研究に向けて」
• 「倫理学で学んだこと」「読書課題について」

平山澪愛さん

平山さんは前期の「セミナー１」では感染症と社会の関係について様々な本を読んできましたが、本当に自分にとって最も深めたいテーマなんだろうか、と考えテーマを変えつつあり、今は「猫」です。その迷いと学んだ経緯をまとめ、他の授業や読書課題も合わせ、デザインはグラデーションのあるオレンジで統一しています。

• 「卒業研究に向けて」
• 「プロジェクト1」

山口穂乃香さん

音楽家の病から合唱へ。3年生から4年生の前期にかけて、卒業研究のテーマを変える学生は少なくありません。それは良い意味での迷いです。研究は、アーティストの作品制作と似ていて、自己や自己を取り巻く物事を深く、広く紐解いていく作業が欠かせません。山口さんのパネルは、いずれも自分やしたことの経緯を深め、すっきりとしたデザインで見せている秀作です。

• 「卒論に向けて」
• 「マンガ表現」
• 「自分を知る心理学」

野村諒華さん

映像やイラストなどの作品の作り手でもある野村さんは、キャラクター造形上、深くかかわる「不気味の谷現象」に興味を持っています。それについて、さまざまな文献を調べてきました。他の授業でも、受け手の心理や、受け手におよぼす効果など、関連するテーマを統一感のあるデザインでパネル制作しました。パネル以外の展示物も優れています。

• 「卒業研究に向けて」
• 「コミュニティ論の学び」

谷口菜々子さん

爬虫類をペットとする谷口さんは、動物倫理にも興味があり、2年生最後の春休みの読書課題から、そのテーマの本を読んできました。高校の時は美術系にいたこともあり、パネルのデザインも興味を惹きつけます。本展覧会では機材班の班長としても大活躍しました。

• 「卒業研究について　卒業研究対象を探す」
• 「ムービー制作」
• 「身体と言葉の表現」

美藤充貴さん

深く考える美藤さんは、卒業研究のテーマでも、その内容を著すパネル制作でも悩みがありました。ムービー制作の作品は関心の深い「死」というテーマと深くつながっている気がします。そして「身体と言葉の表現」もふくめ、レビューでの作業は自己を深め、卒業研究に備えるうえでも重要なプロセスだったと感じます。

• 「卒論に向けて」
• 「魯班尺で測ってみよう」
• 「感渉者」

鈴木颯太さん

「魯班尺」という面白い巻尺に魅かれた鈴木さんは、前期の「セミナー1」から一貫してそれを追究しています。このことが上手く表れたパネルで、ワークショップ的な工夫も面白いものです。鈴木さんは隣の美藤さんが監督した動画「感渉者」でも役作りに没頭し、熱演しています。

• 「ヘルマン・ヘッセとエーミール」
• 「Movie Production」

森瑠南さん

ヘルマン・ヘッセの作品群のキャラクターで、ヘッセの分身である「エーミール」という登場人物の様々について、前期の「セミナー1」で調べました。エーミールはある意味、森さんの分身でもあるともいえます。制作したブックカバーも素敵です。エーミールと対照的なキャラとして「ムービー制作」動画に登場する本人も、森さんの一部です。複雑で多面的な面を持つ学生の集まる芸術教養領域らしい。

• 「これまでの芸術教養での学びと卒業研究に向けて」
• 「マンガ表現を学んで」

奥田愛さん

2.5次元舞台に興味を持つ奥田さんは、「マンガ表現」の授業でも得ることが多々あったようです。高校も美術系で、2.5次元、マンガなど、奥田さんらしさを連想させるデザインの点でも優れています。真面目で着実な人らしく、パネル以外の展示物も余裕をもって取り組めました。

• 「身体と言葉の表現（課題制作）」

今年度に受講した6人の3年生が課題で作った映像作品とともに、さまざまなミニ・ワークショップを提案して展示を完成させました。授業で使っていたヨガマットやブロック（枕みたいなもの）も、落ち着いた授業を連想させるように展示しました。ご担当の山田珠実先生のお人柄もにじみ出るような素敵な展示です。

• 「芸術と社会との繋がりを作りたい」
• 「瞬間を共有する」

田坂美夢さん

楽しく頑張って幅広く活動する田坂さんらしい、盛りだくさんの展示でした。通常は2名で使う横幅２ｍ強の展示台が寂しくならないほどです。芸術家と社会を繋ぐ仕事をしたい、と課外で活動した成果も合わせ、卒業研究テーマに迫っています。「写真演習」の成果も出ています。

• 「卒業研究に向けて（私が電子書籍に興味を持った理由）」
• 「身体と言葉の表現」

周炳安さん

電子書籍は映像と音楽に次ぐサブスクリプションサービスで、これをテーマにするのは周さんらしくて良いと思います。デジタルの世界では日本よりも遥かに先を行く中国と、出版社・書籍流通大手・リアル書店の昔からの関係を重視している日本の違いまで迫れると面白い研究になりそうです。スッキリみせるパネルも良。

• 「卒業研究に向けて　性的自立は社会的自立に繋がるのか」
• 「教養と地域文化2　中村淳彦氏」

藤井優花さん

日本の多くの人々が見ない振りをしているものの、人間には非常に重要な自立と性というテーマ。この難しい主題は芸術教養の卒業研究に相応しいものです。思いやりがあり、さまざまな人を深く、そして平等に観ている藤井さんだからこそ研究できることかもしれません。

• 「卒業研究に向けて -私の頭の中-」
• 「あたたかい世界」

宮川恵さん

髪を染めた自分を親御さんが叱った、ということから出発し、髪を染めることについて研究しようと思っていた宮川さん。しかし、就活等で黒髪に戻したところ、その問題意識が激減し、研究テーマ探しに困ったそうです。その迷いの道筋をジックリ辿り、自己分析した、とても良いパネルに仕上がりました。

• 「アートにおける教育のあり方とは -卒業研究に向けて-」
• 「写真演習 キリトリ」
• 「芸術計画演習『アートと家具』とのひととき」

大石茉幸さん

学んだことを存分に活かしたパネル群。卒業研究テーマもかなり明確になってきていて、分かりやすいA2パネルに仕上がりました。「写真演習」で磨いた腕で撮影した、大学近くのマンションの写真パネルも素晴らしい出来です。真面目で頑張る大石さんの美質が出ています。

• 「カワイイ文化とは」
• 「レビュー1振り返り」

武井彩華さん

「カワイイ文化」についてカワイくかつシンプルなデザインでパネルを作り、写真も可愛らしく立てました。昨年度のレビューの振り返りパネルもバランスよく配置され、武井さんの可愛らしさと、穏やかさと、良い意味でのフワフワ感が上手く出ている展示です。

• 「卒業研究に向けて」
• 「これまでの学びとこれからの学び」

石河夏美さん

何を研究したらいいかずっと迷っている、という石河さん。レビューとセミナーの授業を通じて自分の悩みを分析してきました。楽しいこと、好きなことを研究するのも良いのですが、自分が今なぜ困っているのか、違和感を覚えているのか、という疑問を研究した方が他者にも伝わりやすくなります。その意味でも読ませるパネルになりました。

• 「映像における音の演出と視覚の演出の相互関係について」
• 「写真演習」
• 「アートプロジェクト2」

大羽瑠偉さん

大羽さんの趣味と気持ちで彩られたパネル群で、大羽さんらしい展示になっています。大羽さんは、パネルにある絵本に描かれた可愛らしいイラストのような面もありますが、それだけではありません。「ムービー制作」で作った、マスクをすると人格が変わる動画で熱演している大羽さんは、芸術教養らしい人だと改めて思いました。

• 「eスポーツとスポーツの違い」
• 「プログラミングによる表現」

髙橋優太さん

eスポーツはまだまだ昭和的価値観の人から差別されている、という疑問から卒業研究テーマにしようと思って調べたところ、意外な結果になったことが上手く表されたA2パネルと、ビジュアルプログラミングの成果パネルが髙橋さんの重要な一部を端的に表しています。別の人の展示にある動画『感渉者』での熱演、大羽さん主演の動画の発案などもまた、髙橋さんの良い複雑さが出ています。

• 「色彩と心理の関係とは？〜卒業研究に向けて〜」
• 「ポップスミュージックシーンを学んで」

三浦真由さん

色に興味があり、詳しく調べ続けた成果の一端を示す、工夫を凝らしたデザインのA2パネル。そして昨年度に受講した「写真演習」での優秀さを認められ、SAとして入った今年度の同授業で、写真の腕を一層磨いた成果を展示しています。写真を見る目も活かし、パネルなどの展示物をすっきりと見やすく配置したのも流石です。

• 「卒業研究に向けて　認知症における音楽療法のメリット/デメリット」
• 「プロジェクト2」

中島拓威さん

音楽好き。でもプレイヤーや作り手になるのではなく、プロデュースする側になりたい、という理由で芸術教養に来た中島さん。音楽療法の美点とそうでない点も調べたい、というのは面白い視点です。また自分で作曲・演奏した音楽を展示したことも、作り手側の気持ちを理解したうえで、ディレクションやプロデュースをするのに役立つでしょう。

• 「卒論に向けて-私の考えとこれから」
• 「スタディアブロードの授業から」

上田謙太さん

上田さんもテーマに迷っていました。興味のあることは海外旅行や留学。それに合った授業も受け、その成果と、今、迷いつつ考えていることを、うまくパネルに仕上げました。同級生の動画にも出演している上田さんですが、デザイン領域の卒業制作動画にも出演したのを見ると、演劇の勉強をしたらいいかもしれません。

• 「インターメディア表現」
• 「生物と無生物の違い」

田中宏武さん

元々は理系の田中さんが選んだテーマや、気に入った授業も、田中さんらしい、と思いました。大人しいけれども、芯と基準がある田中さんは、生物と無生物の間、という意味においてもAIにも興味があるそうです。その観点やインターメディア表現で行ったことは、哲学であり、科学であり、そして芸術である、つまり芸術教養的な何かです。

• 「卒業制作に向けて　BLと人生」
• 「変化・成長をつみかさねるためのセルフコーチングの導入」

菅さくらさん

入学前からBLに興味を持っていた菅さん。BLそのものというよりも、BLに描かれたセクシュアリティと人の幸せが繋がっている、というようにテーマを深めた経緯が伝わるパネルです。また「プロジェクト２」で「悪いところを直すというより、良いところをもっと伸ばしていく」という解決策を提案したパネルも、人の幸せに繋がっています。自分もふくめ、みんな幸せに過ごせるようにしたいな、と私も思わされました。

• 「卒論に向けて」
• 「ビジュアルプログラミング」
• 「写真演習」

五藤菜々子さん

美術系の高校から来た五藤さんはUIやUXに興味があり、それらが卒業研究のテーマでもあります。ユーザーが使いやすい、見やすい、聞きやすい…デザインとは何か、を考えるとき、「写真演習」や「ビジュアルプログラミング」など大学で学んだこと、高校で頑張った制作活動、すべてが活きてくる、と思わされた展示です。デザインが統一されつつも、異なる雰囲気の油画が入ることがUIやUXにもつながります。