NUA-Student

44号(2018年7月発行)掲載

田中彩貴
たなか さき

デザイン学部デザイン学科 メディア&コミュニケーションブロック イラストレーションコース4年生

やってきたことを形にしたいな

4年生、いきなりだけど就職は? そろそろ世間では採用面接が始まってるみたいだけど……

おかげさまで、決まりそうです。まだ、決定ではないんですけど、東京のイラスト制作会社から声をかけていただいています。去年の夏、インターンシップに行ったのですが、普段、自分では描かないようなイラストを描いたりしてそれが楽しかったです。

願ったり叶ったり、なんだね。おめでとう! ちょっと早いか(笑)。やっぱり小さい頃から絵が好き?

そうですね。保育園のときにお父さんの似顔絵を描くというので賞をもらって、みんなにすごいねって褒められて、すごくうれしかった記憶があります。祖母の家へ行くと、裏が白い新聞広告がたくさん残してあって「はい、さきちゃん」って、ドンッて感じでした(笑)。

裏紙とおばあちゃんに感謝だね。小さい頃から、ずっと絵を描いて、美術部に入ってというパターン?

あまり将来のことを考えたことはなかったですね。ただ、ずっと絵を描いてる子供で、そのままやってきた感じですね。中学は、普通の公立中学に入って、別段、美術とか選べなかったんですけど、3年生になって美術系に行きたいな思い、そのときに美術部を作ってみたり……。

ちょっと待って! 美術部を作ったの?

作りましたね!

ええっ、美術部なかったの! 初代部長さん!?

はい! 部長になりました(笑)。美術の先生が、コンピューター部の顧問をやっていて、そこが寄せ集めというか、もしかすると美術部だったのかもしれませんが部員が減っていっていつの間にかコンピューター部に変わっちゃったような、そんな感じかもしれません。そこで、美術部が欲しいとその先生にずっと相談していたんですが、3年生になって「あなたが部長になるなら作ってもいいよ」って言われたので、それで作ることになりました。

後輩は入ったの? 続いてる?

入りました! それは大丈夫です。一応、部は作ったんですけど、前からのコンピューター部を引きずっていて、ちょっと帰宅部みたいな感じで、なかなかちゃんと絵を描いてくれる人が集まらなくて(笑)。

高校はどうだったの? 美術科とか行ったの?

家から通えるところに美術科のある学校がなくて……。せめて、美術部が盛んというか、しっかり活動している高校を選びました。高校受験のときは、まだ美大に入るということもはっきり決めていなくて、両親と相談して、勉強もするということで進学コースに入りながら美術部に入りました。両立させるのは大変でしたね。高校では、学園祭のときに、正門に大きなゲートを制作するのが伝統としてあるのですが、そのデザインと副リーダーを担当することになって、設計から制作までやりました。そこで作ったゲートは、豊橋市のお祭りでも展示される大きなものなんですよ。

大学に入るときは?

反対もありながらですけど、やっぱり小さい頃からずっと絵ばかり描いていたので、何となくそういう職業に就きたいなと思ってることに、親も感付いていたと思います。両親は美術系とか全然関係のない職業なので心配しますが、親類には水彩画をやったりジュエリーデザイナーがいたりと、そういう人がいましたので何となくはわかってくれてるとは思います。

そうするとイラストレーターでも、会社勤めになれば安心してくれそうだね。大学に来てみてどうだった?

イラストやりたくて入ったんですけど、イラスト以外のコース、インダストリアルやったりテキスタイルやったり、すごくいろんな領域があってそれをチラチラっと覗いたりできるのがすごくよかったです。自分の専門じゃないところに触れられる、触れやすいっていうのはすごく勉強になる環境だと思います。ファンデーションもすごくいいですね。入ってきた人は、たぶん、何がやりたいって決めてない人がいると思うので、選択肢を与えてもらえるというのは名芸のいいところだと思います。

迷ったりしなかった?

迷いましたよ。メディアデザインだったり、コミュニケーションデザインだったり、イラストなんですけど、イラストを使って別の媒体で表現するというのが面白くて、そっちもやりたくて迷いましたよ。高校時代からイラストだけでなく、ほかのこともいろいろやっていて違う方面の楽しさも少しは知っていたので考えますよ。でも、やっぱりイラストに専念しようと、ずっとやってきたことを形にしたいなと思ってイラストコースにしました。ああ、でも、迷うことも楽しさのひとつじゃないかと思います。

あとは卒業制作だけかな。単位は大丈夫?(笑)

大丈夫です! もう、単位、取れてます! 卒業制作は、漫画作品を作ろうと思って、今はスケッチしたり、調べ物をしたりしています。漫画はあまり手を出していなかったので、初めてのことに挑戦しようと思ってます。イラストコースですから、もちろんイラスト重視ですけど、ストーリーも大事にしてきたいなと。展示も、そのまま本の形にしてもなかなか読んでもらえないので、ボードに印刷して壁に貼るようなことを考えています。ほかにも展示は……。

アイデアタップリだね! がんばってね! 卒展、絶対見に行くよ!

2年生の課題で制作した動物画(アクリル)。クールな印象を与えたくて瞳の色に実際には無い色を混ぜたり試行錯誤(2016年)

アイスコーヒーの商品広告を想定して制作したイラスト。初めて3Dソフトを導入(2017年)

「花の蕾が開く前の晩、花に香りをつける為蕾に匂いを注いで回る仕事を生業としている妖精」という設定で制作したキャラクターイラスト。トルコランプ×ポット×香炉をイメージして制作した小物がお気に入り(2018年)

人物の練習で写真を見ながらスケッチしていたもの(2018年)

自分で考えたゲームのイメージイラストと絵コンテ。引っ込み思案な女の子が自分の精神世界を彷徨い自分の苦手と向き合い克服しながら冒険して成長するお話(2017年)

新しく入手したアプリで塗りについて試行錯誤する為に描いていた絵(2018年)

花×騎士×少女をテーマに制作したキャラクターイラスト。左はソーシャルゲームのキャラクターのようにレアリティが変化した姿を想定して制作したイラストラフ(2017年)

桜丘学園高校の学園祭「櫻輝祭」の巨大な正門ゲート、制作リーダーという重責を担う。学園祭の間、飾られるのはもちろん、市民カーニバルとして一般にも広く公開された。