2024年5月から始まったカーデザインコースと朝日電装株式会社様との連携課題「2輪車における新しいインターフェース」を考えるプロジェクトが、2024年8月1日(木)に最終プレゼンテーションを迎えました。5月から2ヶ月あまりという短期間に、アイデア出しからコンセプトを固め、モデリングまでを行う濃密な課題です。最終プレゼンを迎えるにあたり学生たちは直前までモックアップ造りに励んでいたようで、それぞれ作り込まれた作品を手に睡眠不足ながらも充実した面持ちです。
最終プレゼンテーションには、審査員として朝日電装様から代表取締役社長 山田和紀さん、技術部 部長佐野博之さん、技術部 課長 澤木祐介さんにお越しいただき、また、中間プレゼンテーションなど、ここまで講義でお世話になった水野孝義さん、水野直紀さん、三浦誠さんも加わり、6名での審査となります。
プレゼンテーションの持ち時間は、ひとり発表5分+質疑応答8分。モックアップを実際に触ってもらいながらコンセプトを説明します。スクーターやスーパースポーツ、オフロードといった2輪車のカテゴリーを選び、そのバイクに対しての新しい使い方や乗り方を模索し、インターフェースへと落とし込んでいます。
いざプレゼンテーションが始まると言葉に詰まってしまう学生もおり練習不足は否めませんが、話したいことや伝えたい内容がしっかりとあり、どの学生からも熱意の伝わる非常に良いプレゼンなりました。審査員の方々も真剣そのもので、全員が必ず実際にモックのハンドルを握って確かめ、コンセプト通りの操作系になっているのか質疑が飛び交います。実際の商品企画ほどの厳しさではないにせよ緊張感があり、学生にとって非常に良い経験になったのではないかと思います。
学生の発表したコンセプトも非常にユニークなものばかりで、審査員からは「これは考えたことがなかった!」と感心する声や「実際に作ってみたい」との声もあがり、非常に充実した最終プレゼンになりました。
今回は、朝日電装様のヒューマン・マシン・インターフェース(Human Machine Interface)の頭文字HMIにちなみ、ハーモニー賞(Harmony)、モーション賞(Motion)、イノベーション賞(Innovation)の3つの賞をご用意いただきました。ハーモニー賞は、前田瑠唯さんの「女性の手元を彩るユーザーインターフェースの提案」。現状のバイクの操作部分にはボディのような魅力的なデザイン要素が少なく、女性の気分があがるような曲線的な美しさとカラーリングを提案しました。カラーの選択には自分のお気に入りのネイルカラーを使うなど、細かな部分にもこだわりを持った作品です。
モーション賞は田中映旬さんの「まるで音楽を奏でるようなインターフェース」となりました。カフェレーサーを想定し、ギターのフレットをモチーフとした曲線と弦を弾くような独自のインターフェースが評価されました。審査員からは「ヤマハでは音にこだわる製品企画はたくさんあったが、ここまでの操作系はなかった。提案を持っていったら面白い!」と評価をいただきました。
イノベーション賞は野尻心音さんの「ビッグスクーターでの疲れを低減しより快適で楽しいインターフェース」が選ばれました。ドライブモードの切り替えや、ハンドウォーマー、ハンドクーラーといった快適装備など盛り込んだ多機能を使いやすいよう独自のインターフェースに落とし込んだ作品です。「本当にインパクトの強い作品。斬新でまさにイノベーション賞にぴったりです」と評価いただきました。受賞、おめでとうございました。
選考にあたり水野孝義さんからは「本当は全部に賞をあげたいです。選考では、意見が全員分かれ、どれが賞を獲ってもおかしくないレベルでした」と学生の提案を高く評価していただきました。
山田社長からは「本当に楽しい提案を拝見させていただいてありがとうございました。 今日、皆さんに発表していただいたものは、今度は我々が宿題としていただいきアイデアを咀嚼してどうやったら次のステップへ生かしていけるか、しっかりと検討していきたいと思います」と評価の言葉をいただきました。
最終プレゼンを終え、それぞれの作品を前に学生たちの晴れやかな表情が印象的でした。