愛知県は、2005年に開催された愛知万博から2025年で20年となることから、愛・地球博記念公園にて20周年を記念する事業を開催します。さまざまなイベントが開催される中、大学連携企画として期間中、愛・地球博記念公園内4ヶ所に高さ4mの大型モジュール(飾り棚)が設置され、県内12の大学がアイデアを生かしインスタレーションを制作する「彩の回廊」を開催。本学からもコミュニケーションアートコースが中心となり、有志の学生がこのイベントに参加します。2025年3月22日、23日の2日間、展示場所の愛知県児童総合センター前の丘にて設営を行いました。
プロジェクトは、約1年前の2024年5月に第1回会議が開かれ、デザインの方向性やモジュールの構成、使い方などから検討が始まりました。「彩の回廊」の趣旨として、記念事業のメインターゲットである愛知万博を経験していない若年層に興味を持ってもらう、来場者が記念事業の特別感を楽しめる、愛知万博の理念と成果をつなげるの3つが挙げられ、それに合わせて展示では、季節の移ろいを感じられるような展示、愛知万博のメインテーマであった「自然の叡智」(自然の仕組みを学び地球的課題を克服し持続可能な社会を創世すること)から着想して考えられました。春らしいカラフルな色合い、干支にちなみヘビをモチーフとし、児童館に近い設置場所ということも考慮して子どもたちが見て楽しくなるようなサーカスとへびつかいがテーマに決まりました。アイデアを練り、記念事業実行委員会、施工管理の方々から安全上問題がないかアドバイスを受け、2024年12月に最終デザイン案として決定。卒業制作と平行しながらの制作となり、今年に入ってからおおよそ2ヶ月半で完成させました。
制作のリーダーを務めたコミュニケーションアートコース非常勤職員 伊藤みのりさんに伺うと「大学で実寸のモジュールを再現することができないので、高さやスケール感を想像しながら作りました。本当に寸法に問題がないか現場で合わせるしかないので、その点が心配でした。使っている布は、SDGsに配慮して、学内で募集して使われなくなった布を集めました。組み合わせて作っていて、ほぼ購入した布はありません。短期間でしたが、みんなよく頑張って作ってくれたと思います」と制作について説明しました。
設営は、スチロール製のへびつかいのオブジェが高さ1.5mほど、大蛇が入る大きな壺のオブジェ、15mほどの大蛇が2匹、5mほどのヘビが5匹と、設置物の多さ、また、モジュールに乗っての高所作業など安全を確保しながら効率よく作業しなければなりません。作業1日目は、朝に搬入を行い、大きなオブジェと大蛇の設置を行い、サーカスのテントを設営。高所作業は、松岡徹教授と伊藤みのりさんが担当、大きなオブジェを、バランスを取りながら仮置き、この日の作業は終了。2日目は、その他のヘビを設置し、布をモジュールに巻き付け、形を整えます。すべてのオブジェを仮置きしてから、釘やタッカー、針金などでしっかりと固定していきます。たくさんのヘビがあり、顔の向きや柱への巻き付き方など、微調整を繰り返します。思うような形になるように、芯に竹ひごを入れるなどして整えて行きました。
オブジェの設置の後は、布をモジュールに巻き付けていきます。展示期間中は自由に作品の下に入ることができるため、危険がないように、また壊されないように、巻き付けた布が立ち入り防止のロープの役割となります。期間中の雨や風に耐えられること、展示中に事故がないことを考え、しっかりと設営しました。児童館前ということに加え、園内バスのバス停が展示の目の前にあり、設営中も多くのお客さんに作品を見ていただけました。子どもたちからは何度も「ヘビー! ヘビーッ!」と声があがり、反応は上々。実行委員会の方々からも、記念館からでもカラフルでよく目立つ、リニモからもすごくよく見える、と言葉をいただき、一同、意図通りの展示になったと手応えを感じていました。
愛知万博20周年記念事業「彩の回廊」は、2025年3月25日(火)から9月25日(木)までの185日間、本学の展示は会期最初期となる3月25日(火)から4月20日(日)になります。ぜひ、ご覧ください。