2025年7月11日~8月31日の期間中、豊橋市自然史博物館で開催される企画展「エイリアンプラント・バスターズ~侵略的外来植物対策展~」にあわせ、コミュニケーションアートコースを中心とした美術領域有志の学生がPR用のオブジェを制作。2025年7月6日、学生らは豊橋市自然史博物館を訪れ、オブジェを設置しました。
この企画展は、生態系や農林水産業に悪影響を及ぼす「侵略的外来植物」の駆除をテーマにしたユニークな展示です。学生たちは、それらを駆除するための架空のマシンを想像し、金属感あふれる近未来的な立体作品として表現。実際に博物館で使用される重機をウェブで調べ、リアリティにもこだわりました。完成した作品は、期間中、来場者が自由に写真撮影を楽しめるフォトブースとして活用されます。
担当するコミュニケーションアートコース 加藤真浩非常勤講師は学生時代から豊橋市自然史博物館とのコラボレーションを行い、いくつものオブジェ制作に関わってきました。
今回の取り組みについて、企画を担当したコミュニケーションアートコースの加藤講師は次のように語ります。
「企画当初は、前回の企画展『キセキの結晶☆鉱物』で制作したオブジェの評判が良かったこともあり、シンプルな石碑のようなものを制作して欲しいとの依頼でした。しかし、それでは制作が容易になってしまい、学生たちの学びが浅くなると感じたため、せっかくなら“乗って撮影できるマシン型のフォトスポット”にしようと発想を広げました。」
今年度は、美術総合コース1年 太田彩葉さん、洋画コース1年 荻堂笑梨さん、コミュニケーションアートコース1年 竹内杏里さん、星こころさん、横井瑞己さんの1年生5名が参加。加藤講師の指導のもと、入学間もない時期ながら、授業後の時間を活用し、意欲的に制作に取り組みました。企画会議から参加し、各自が案を持ち寄って話し合いながらプロジェクトを進行させました。
「案出しの会議に誘ってもらったことがきっかけです。高校でも美術部に所属していて、文化祭の時期には大きな造形作品を制作していたので、またやってみたいと思い参加しました。豊橋は地元なので、関われてうれしいです」(洋画コース・荻堂笑梨さん)
「高校時代も美術部で、文化祭では毎年、共同で大きな作品を作っていました。やっぱり楽しくて、大学でもこういう制作を続けたいと思っていたところ、去年の結晶のオブジェを見て、今年も募集があったので迷わず応募しました」(コミュニケーションアートコース・横井瑞己さん)
乗り物の形状やタイヤのデザイン、ライトの配置、操作レバーの追加など、現地で子どもたちが楽しめるよう、さまざまな工夫が盛り込まれました。
「企画展のWebサイトに外来種駆除用の機械一覧へのリンクがあったので、そこを参考にしました」(コミュニケーションアートコース・竹内杏里さん)
「制作の途中で紆余曲折があって、『やっぱり、ここはこうしたほうがいいよね』と、あとから追加した部分も多いです。たとえばライトも、当初は付ける予定はなかったのですが、あったほうがかっこいいと思って、あとから穴を開けて取り付けました」(横井さん)
「操作部分も、子どもたちが来て何もなかったら物足りないよねという話になり、動かせるレバーなどを後から加えました」(竹内さん)
設置当日は、もともと現場での組み立てを想定して設計してあり、大きなトラブルもなく設置は完了しました。当初、オブジェのデザインはモニュメントのようなものでしたが、企画会議を繰り返すうちに乗り物へと変更、メカのデザインに大きく寄与した星こころさんに伺うと「博物館展示が機械がメインということだったので、私自身もメカメカしいものが好きで、この形になりました。機械の密度とかゴツゴツした感じとか、展示と一緒に見てもらえたらと思います」とできばえに手応えを感じていました。
学生たちが学外で実践力を磨く貴重な機会となった本プロジェクトは、地域の文化施設との連携を通じて、技術だけでなく発想力やチームワークも育む場となりました。
今回の展示を担当する豊橋市自然史博物館 学芸員 稗田真也さんからは「デザインで、ハンドルの部分、来場した子供たちが実際に操作できるような触ることのできる操作部分を強く要望したのですが、実現していただいて嬉しく思います。コックピット部分、非常によく作り込まれて、ボタンも押せるようになっていますので、ぜひ、見に来て確かめていただければと思います」とできばえに満足していただいた様子。吉川博章 館長からも「素晴らしい出来でびっくりしてます。前から見るだけではなく、コックピットの作り込みもすごい。素晴らしいものを作っていただいてありがとうございます」と嬉しい言葉をいただきました。
企画展「エイリアンプラント・バスターズ~侵略的外来植物対策展~」は2025年7月11日~8月31日の開催となります。外来植物と迫力ある駆除機械群、あわせて学生作品も、ぜひご覧ください。