産学連携でデザイン開発「2026 文具デザインプロジェクト」キックオフ・説明会を開催

 2026年6月3日(水)、デザイン領域と中部文具工業協同組合による産学連携プロジェクト「2026 文具デザインプロジェクト」のキックオフ・説明会を開催しました。
 このプロジェクトは、学生の視点を活かした文具や関連製品のアイデア創出と製品化を目指し、地域企業と大学が協働して取り組む実践的なデザイン教育プログラムです。学生たちは3年次までに培ったデザイン技術や知識をもとに、企画・調査・開発から製造・販売までを見据えた提案に挑みます。これまでにも優秀作品が実際に製品化されており、学生・企業双方にとって大きな意義を持つプロジェクトとなっています。
 今年度はインダストリアル&セラミックデザインコース、カーデザインコース、大学院から15名の学生・院生が参加。中部文具工業協同組合加盟企業である森松株式会社、シヤチハタ株式会社の2社から提示された課題に取り組みます。当日は、森松株式会社から代表取締役社長の森直樹氏、企画営業部の清水亮太氏、シヤチハタ株式会社から商品企画部の木村課長、松井氏、五島氏をお迎えし、説明会が行われました。

 はじめに、担当する三枝樹成昭非常勤講師からプロジェクトの趣旨について説明がありました。現代のデザイン開発では、ユーザーへの理解を深め、シナリオを組み立てながら企業や消費者との対話を重ねていくことが重要であると説明。大学内だけで完結する課題ではなく、実際の企業とコミュニケーションを取りながらデザインを進めることで、社会の中で求められるデザインプロセスを体験できることが本プロジェクトの大きな意義であると語りました。
 さらに、過去には学生の提案が実際に商品化された事例も紹介され、参加学生たちへの大きな期待が寄せられました。また、今期の学生たちは3Dプリンターを活用したモックアップ制作の経験を積んでおり、アイデアを素早く立体化しながら検証できる環境が整っています。当日は企業の皆さまにも3Dプリンターを見学していただき、昨年以上に実現性を意識した提案や、新たな製造方法を視野に入れたアイデア創出が可能であることを紹介しました。デザインと試作を往復しながら提案を磨き上げる実践的なプロジェクトとして、学生たちへの期待も高まります。

 続いて、各企業から会社紹介と課題発表が行われました。
 森松株式会社は、塩化ビニルシートの加工を中心に、デスクマットやカードケース、ファイル、工場用カーテンなど幅広い製品を手がける企業です。今回提示されたテーマは、「デジタルな作業をより快適に/楽しくするPCグッズ」です。森社長は、近年、筆記中心だった文具の世界が、パソコンやタブレットを活用するデジタル環境へと大きく変化していることを説明し、「文具の発想を広げ、PC周辺環境をより快適に、そして楽しくするアイデアを期待しています」と語りました。ノートPCやタブレットを持ち運ぶ現代のライフスタイルを踏まえ、携帯性や使い心地、楽しさを備えた提案への期待を寄せました。
 一方、シヤチハタ株式会社から提示されたテーマは、「誰かの〈困った! 不満! 不安!〉を解決するアイテム」です。五島氏は、シヤチハタが単なるスタンプメーカーではなく、インキやスタンプ技術を活用してさまざまな社会課題の解決に取り組んできた企業であることを紹介。特定の職業の人や子ども、学生、高齢者、主婦・主夫、一人暮らしの人、訪日外国人観光客、災害時の避難者など、多様な人々の困りごとに目を向け、「あってよかった」と思えるようなアイデアを提案してほしいと呼びかけました。

 また、最終プレゼンテーションにおける評価基準についても説明がありました。審査では、「ターゲットは明確か」「シナリオは具体的か」「アイデアは魅力的か」「ユーザーが使いやすいデザインか」「発表は分かりやすかったか」の5つの観点から評価が行われます。
 プロジェクトは6月から7月末まで全9回の日程で進行し、企業担当者が隔週で来校。学生と意見交換を行いながらデザインをブラッシュアップしていきます。最終プレゼンテーションと表彰式は7月29日にシヤチハタ株式会社本社で開催される予定です。

 説明会後半では、学生たちが一人ずつ自己紹介を行い、趣味や関心のあること、アルバイト経験などを交えながら意気込みを語りました。その後は、企業の皆さまが持参した製品サンプルやカタログを囲んで交流会を実施。実際の製品に触れながら素材や加工方法、これまでの製品開発事例について質問が飛び交い、早くもアイデアの種を探る活発な意見交換が行われました。

 過去には学生のアイデアが商品化されるなど、多くの成果を生み出してきた文具デザインプロジェクト。企業と学生が継続的に対話しながら進める実践的な学びの場として、今年も新たな発想と提案が生まれることが期待されます。