「Concorso d’Eleganza Coppa Centro Giappone」大会ロゴマーク、優勝トロフィー・盾を制作

 2022年10月23日(日)、名古屋市久屋大通公園を中心に初めて行われた「Concorso d’Eleganza Coppa Centro Giappone(コンコルソ・デレガンツァ コッパ チェントロ ジャッポーネ)」に本学が協力。大会ロゴマークを、デザイン領域 ヴィジュアルデザインコース 2年 黒木里帆(くろぎ りほ)さんが、名古屋テレビ塔の鋼材を使ったトロフィーを、メタル&ジュエリーデザインコース 3年 池ヶ谷幸奈(いけがや ゆきな)さん、2年 浅谷栞那(あさたに かんな)さん、神谷未来(かみや みく)さん、澤木亮壮(さわき あきお)さんが制作。当日の運営ボランティアにカーデザインコースの学生が多数参加、大会に彩りを添えました。

 「コンコルソ・デレガンツァ(コンクール・デレガンス)」とは、“優雅さの競争”を意味し、絵画や彫刻、伝統工芸が鑑賞され評されるのと同じように自動車の芸術的価値を品評するイベント。米カリフォルニアで1950年に始まった「ペブル・ビーチ コンクール・デレガンス」やイタリアンアルプスのコモ湖で開催される「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」などは、世界中からクラシックカーが集まり、また、自動車メーカーも新しいクルマを発表する場にするなど、世界中から注目されるイベントです。「コンコルソ・デレガンツァ コッパ チェントロ ジャッポーネ」は、今年度、名古屋市で初めて行われたコンクール・デレガンスで、11月に愛知・岐阜で開催されるWRC ラリージャパンを盛り上げ、また自動車産業が集中する東海地区から自動車文化を広げるイベントとして、今後、毎年続けられるイベントになります。その大会ロゴマークのデザインを本学が担当。学内でコンペが行われ、ヴィジュアルデザインコースの黒木さんの作品が最優秀賞を獲得。大会で実際に使用され、コンクール・デレガンスとあわせ表彰式が行われました。ロゴマークは会場ののぼり旗や出場車のナンバープレートにあしらわれ、大会を象徴するアイコンになりました。
 黒木さんは会場を訪れ「こんなに広く使われるとは思っていなかったのでびっくりしました。イベントの開催地が久屋大通公園でcentro(中心)という言葉が入っていたことから“中心”をコンセプトとし、大会にも出場しているCisitalia 202SCというクルマをモチーフにデザインしました。10案くらい考えそのうち2案を提出しました。最初は、円の周りに文字があるデザインでしたが、丸の中にすべて納めて欲しいという依頼があり、その修正に苦労しました。余白を作って見やすくしつつ、テレビ塔とクラシックカーを配置し、尚且つ、メインが車だと分かるようにするという点に気をつけて制作しました」と語り、大会実行委員長 平松正光氏(本学 日本画科のOB)から賞状を受け取るとよろこびの表情を見せました。

ロゴマークを制作した学生

大会ロゴマークを制作した黒木里帆さん(左)と大会実行委員長 平松正光氏

 コンクール・デレガンス表彰式で受賞者に手渡されたトロフィーと盾は、メタル&ジュエリーデザインコースが制作しました。テレビ塔の鋼材を使い、アルミでプレートを制作、プレートの文字はデジファブ工房、鋼材を収める箱と盾は木工房に制作を依頼しました。大会のイメージカラーがボルドーということで、鋼材を収める箱にワインレッドの生地やリボンを使うなど、金属部分だけでなくトータルデザインも担いました。制作を手伝った学生からは、「トロフィーだと聞いていましたが、箱の制作が必要だったり、重厚でレトロな感じだったり、いろいろ要素が必要でした。木の色づけに色が合うまで何回も塗り直したり、箱の可動部分を合わせて作ったり、ふだんメタルではやらないことばかりでしたが、作業の大変さがよくわかりました。初めての経験で面白かったです」(池ヶ谷さん)、「塗料に亜麻仁油が入っていて、処分するにも処理が必要で気を使いました。最後にプレートを貼って、完成したものを並べて見たとき、素晴らしいものができたと自分でも感動しました」(澤木さん)、「先生や工房の方々に指導してもらいましたが完成して嬉しいです。人の手に渡るものなので、技術もそうですが精神的にも大変でした」(浅谷さん)、「表のプレートですが、指紋で汚さないように気を使いました。プレートの文字を作ってもらうため、初めてデジファブ工房へ行きました。自分の作品を作るわけじゃなく、誰かの手もとに行く作品を作るとなると失敗できないなと思い、緊張しながら作業しました」(神谷さん)と、学生らは口を揃え、自分の作品を作る以上に丁寧に仕上げたといいます。
 メタル&ジュエリーデザインコースの米山和子教授からは、「本来、彫金師は施主の注文をまとめる仕事をしていました。刀であれば、刀身はどうするか、鍔の模様、柄の素材や巻き方、鞘の種類など、施主の注文を取りまとめ、それぞれの職人に伝え、最終的に仕上げるアートディレクションの役割です。同じような感覚で今回のトロフィー作りを体験することになり、学生たちにとっても非常に有意義な経験となったと思います」とコメントしました。
 できあがったトロフィーと盾が大会実行委員長の平松氏に手渡されると「想像していた以上の出来映えで驚きました。すごく良いものを作っていただき感激です。ぜひ、表彰式で説明したいので学生の皆さんも登壇して欲しい」と言葉があり、当日、学生らもステージにあがりました。
 表彰式で、トロフィーがテレビ塔の鋼材を使って制作されていることが説明されると、テレビ塔が重要文化財に指定されることもあり、会場からは羨む声があがっていました。

トロフィー トロフィーを制作した学生

右から、3年 池ヶ谷幸奈さん、2年 澤木亮壮さん、浅谷栞那さん、神谷未来さん

 カーデザインコース 片岡祐司 教授、高次信也 教授も当日のイベントに来場(高次教授は愛車のシトロエン GS 1977年モデルでコンクール・デレガンスに参加)。穏やかな秋の1日、華々しいイベントを学生とともに楽しみました。今後の発展も楽しみなイベントとなりました。