カーデザインコース × 豊田合成「2030年のUX・モビリティデザイン開発研究」最終プレゼンテーション

 デザイン領域カーデザインコースでは、豊田合成株式会社様と連携し、「2030年のUX・モビリティデザイン開発研究」を行ってきました。2022年9月からの後期の講義枠で、豊田合成社員の方々を講師としてお招きし、2030年の社会や自動車を廻る環境を予測し、それをもとに新しいUX(ユーザー体験)を考え、それをデザインに落とし込むという課題を行ってきました。その最終プレゼンテーションを、2022年12月16日(金)に、豊田合成から開発本部 副本部長 川島大一郎氏、開発本部 デザイン開発部長 大松直樹氏をお迎えし行いました。

 プレゼンテーションは、4分間の説明に3分間の質疑応答、コンセプトとデザインの背景をまとめたボードを提示、あわせて制作したモデルを手に説明します。
 プレゼンは2年生からスタート。それぞれに働き方の変貌や仕事をする状態の変化など、2030年の社会を想定しそれに応える形の提案が続きます。時間に余裕ができ、休日にリラックスするためのモビリティ、乗ることでリラックスできるクルマなど、自動運転の発達により移動中にリラックスできるような提案が多く見られました。また、ハンドルとアクセル、ブレーキといったペダルではなく、身体全体を使って操作するクルマ、足の悪い障害者でもひとりで乗り降りできるバイクなど、社会参加や運転そのもののUXを新しくしようというアイデアも提案されました。
 3年生のプレゼンでは、社会の変貌がより細かく想定され、情報技術と自動運転の発達により自動車の所有の概念が変わり、ホテルが移動する個室サービスを提供するアイデア、教育が知識を詰め込むことから体験を重視するように変化し、文科省とコラボレーションするモビリティ、旅行へ出かけそこで物事や人と出会うことを増やすことができる乗り物、また、物理的なものよりもかたちのないものの価値が高まることで、自分の価値について考えることができる内省的な案、個人情報が重視され誰が乗っているか外からわからないようにする提案など、さまざまなアイデアが提示されました。共通することは、事業の提供者を含めた提案が多く、クルマを所有することからレンタカーであったりシェアすることが一般的になっていくと想定する提案が多いこと、また、効率化とは逆のゆっくり走ることや個人情報の重視など、多様な価値観を反映させる提案が印象に残りました。

 講評では、川島氏からは「非常に刺激的なアイデアがたくさんあり気付きも多く、若い人たちの考える方向性をもっと知りたくなりました。実際に社内でも未来について考えていますが、今日の提案の多くは今考えていることの延長にはなく、皆さんに将来売るためのクルマは出てこないように思います。考え直す必要があるように感じました。とても勉強になりました」と評価をいただきました。大松氏からは「何ヶ月にも渡り取り組んでくれてありがとうございます。2年生、3年生でレベル感の違いはありますが、想像していたものと異なることがたくさんあり刺激になりました。会社に勤めることにストレスやネガティブな印象があるようですが、たくさんのハピネスもありますよ」と笑わせました。
 プレゼンテーションが終わったあとは、講師を務めていただいた若手の社員の方々も交え懇談会となりました。実際に企業で働く方のお話や、アイデアをブラッシュアップさせる提案など、学生にとっても有意義な懇談会となりました。