今年度から本学では、美術領域の工芸コース(陶芸・ガラス)とデザイン領域のメタル&ジュエリーデザインコース、テキスタイルデザインコースの3コースで領域横断による連携を深め、素材と学生の人的な交流を促し対話しながら思考を深める『工芸分野領域横断プロジェクト』を進めています。その一環として西キャンパス アート&デザインセンターWestでは7月に、それぞれのコースの展覧会をリレー形式で連続開催、【工芸リレー】として作品を展示します。

 第一弾としてアートクリエイターコース、工芸コース(陶芸・ガラス)による「陶・ガラス教育機関講評交流展 CONNEXT 2021」を、2021年7月16日(金)〜21日(水)に開催し、その初日に特別客員教授 井上雅之氏(多摩美術大学工芸学科教授、陶芸家)をお招きして講評会を行いました。CONNEXT 2021は、本学アートクリエイターコース、工芸コース(陶芸・ガラス)の3、4年生、岐阜県立 多治見工業高校 専攻科、富山ガラス造形研究所による合同の展覧会で、初日には各学校から学生にも本学に来ていただき、講評を受けました。

 講評会は、12時15分にスタート。3校の学生ひとりひとりが10分程度のプレゼンテーションを行い、井上氏と自校以外の教員から評価を受けるという型式で、夜8時近くまでの長丁場となりました。密を避けるためアート&デザインセンターWestと大教室をオンラインでつなぎ、学生らは移動しつつ講評を受けるという変則的な方法での講評会でしたが、内容は非常に濃いものとなりました。
 多治見工業高校 専攻科の作品は、それぞれの作品がオブジェとしての作品でありつつも置かれる場所や装置のとしての機能を想定してまとめられおり、ストレートに陶芸と向き合っている姿が印象的でした。
 本学アートクリエイターコース4年、工芸コース(陶芸・ガラス)3年の作品は、陶芸・ガラスを木材や金属など他の素材と組み合わせて考えた作品や土やガラスの持つ重さや質感を違う形で見せるような、荒削りながらも素材の持つ魅力を捉え直そうとする作品が印象に残りました。
 富山ガラス造形研究所 造形科 2年生9名の作品は、ガラスの色や質感、溶け方や温度による変質などガラスの特性を利用して表現に昇華しようという試みと完成度の高さを感じました。

 今回の展覧会では素材の選択や技法など実験的な習作といったものもいくつか見られましたが、講評では、それをもっと推し進めて極限的にはどんなことが起こるか、またそうすることで新たな課題が見つかることや新たな考えに行き着くはず、もっと思いきって枠にとらわれず自分の考えることを突き進めるべきといった意見が多く出ました。また、今回が初めてのプレゼンテーションだった本学工芸コース(陶芸・ガラス)3年生たちは作品の発想について語ることが多かったのですが、もともとのコンセプトも大事だが制作の途中で作品は移り変わって行くもの、最初のアイデアよりも思考のプロセスや作品のどの部分に魅力を感じているか伝えるよう、自分の作品について客観的な目で見直して欲しいと助言をいただくことが多々ありました。こうしたものの見方は、陶芸やガラスといった工芸に限らずすべての領域に当てはまることであり、非常に意義深い講評会となりました。
 講評会のあと、出席者がそれぞれの作品について感想やコメントを記したメモを交換、学生同士の交流の時間が設けられ、和やかな雰囲気の中、講評会は終了となりました。

 引き続き、【工芸リレー】として、7月23日(金)〜28日(水)「素材展 デザイン領域メタル&ジュエリーデザインコース+特別客員教授藤田政利展」、7月30日(金)〜8月4日(水)「素材展 テキスタイルデザインコース前期制作展」を開催します。こちらもぜひご覧下さい。

岐阜県立 多治見工業高校 専攻科

名古屋芸術大学 アートクリエイターコース・工芸コース(陶芸・ガラス)

富山ガラス造形研究所