産学連携企画 中部文具工業組合「2021 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催

 例年行われている本学デザイン領域と中部文具工業組合加盟の文具メーカーとの連携プロジェクト、「2021 文具デザインプロジェクト」の最終審査発表会が、7月28日(水)シヤチハタ株式会社 本社会議室にて開催されました。6月にスタートしたこのプロジェクト、2ヶ月という短い期間ですが、提案を考え資料を作成し、この最終審査発表会でプレゼンテーションを行います。発表後、審査され最優秀賞、各メーカー賞を決定、表彰式が行われました。

 今年の課題は、株式会社馬印「コロナ後のカキ・コミュニケーション、(サブテーマ)つながる黒板・ホワイトボード」、シヤチハタ株式会社「もともとの価値を拡張した文房具」、森松産業株式会社「自分の仕事環境を作る フリーアドレス快適化グッズ」。学生らは、これらの課題に2ヶ月間取り組み、各メーカーの担当者に相談しながらアイデアを練り、場合によっては模型や試作品を作成してプレゼンテーションに臨みました。最終発表会では17名の学生がプレゼンテーションを行い、各メーカー代表の方々が審査を行いました。

 プレゼンテーションは、説明3分質疑応答2分と短いものですが、実際に企業で数々の商品を手がけてきた審査員を前に学生たちは緊張した面持ちで発表を行いました。

 審査の結果、最優秀賞は馬印様の課題に対し、「折れないチョークホルダー」を提案した古川達也さんが受賞。メーカー賞は、馬印賞 小椋巧海さん「スライドホワイトボード」、シヤチハタ賞 佐藤祐貴子さん「いつでもそばにペンとメモ」、森松産業賞 玉置晨さん「オフィス内におけるフリーアドレス用ファイルマット Osi-Filemat」が受賞しました。
 最優秀賞を受賞した古川さんの「折れないチョークホルダー」は、チョークをシャープペンシルの芯のように扱い、バネでクッション性をもたせ折れないようにするもの。機能性に加え質感やデザイン性にも配慮し、長く使うことで風合いが生まれ万年筆のように愛着を感じることのできるものを考案しました。審査では、チョークという消耗品を万年筆のように個人の嗜好や個性を表すことのできるアイテムへと昇華させている点が高く評価されました。古川さんは、知り合いの教員や教育実習に行った友人の話からアイデアを得たと説明しましたが、今回のプロジェクトでは同じように自身のアルバイトでの経験や友人の体験などから発想されたものが多く、身近な困りごとを解決しようとする実際的な提案が印象的でした。学生らしく新しいトレンドを取り入れつつも実現性を考えてアイデアが練り込まれており、企業との連携の意義を感じさせました。

 講評では、株式会社馬印 千嵜匠氏から「数年前から文具プロジェクトにかかわってきましたが、初めて最優秀賞を受賞できて非常に嬉しいです。本社で盛大に報告したいと思います。点数は付けたものの、どれも豊かな発想で考えられており素晴らしいものだと思います。2022年にはオフィス家具の見本市『オルガテック東京』に弊社も出展する予定ですが、展示のどこかに学生のアイデアを入れ込めないかと考えております」と、嬉しい評価をいただきました。

 担当の三枝樹成昭講師からは、「使う人のことを考え、その人がどんな体験をできるかということに着眼し、楽しくワクワクできるできるデザインを目指してやってきました。ユーザーを大切にしながら自分の発想を乗せていくことの大事さが、学生たちにも伝わったことと思います。短期間ながらも、大学とものづくりの世界を結ぶことの大切さ、ことに今回は学生に工場見学の機会をくださったこともあり、多くの人が携わり、ひとつの製品ができていると感じることができたのではないかと思います。今後デザイナーとしてかかわっていく上でも、学生にとって非常に意義深いプロジェクトであり、今後もこのプロジェクトを続けていきますのでご協力をお願いします」とお礼の言葉がありました。
 ものづくりの現場を見ることや実際に企業で開発を行う方々と直接触れ合うことで、学生たちにとって非常に大きな経験になったことと思われます。

プレゼンテーション風景

受賞者