テキスタイルデザインコース 有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト、
客員教 授 齋藤統氏、SUZUSAN 村瀬弘行氏による対談、講義を行いました

 2018年11月13日(火)、テキスタイルデザインコースでは客員教授 齋藤統氏とSUZUSAN クリエイティブ・ディレクター 村瀬弘行氏をお招きし、「有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト」においての対談、講義を行いました。
 「有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト」は、学生が有松絞りを使いオリジナルデザインの手ぬぐいを制作し、毎年6月に行われる「有松絞りまつり」の会場で販売するというプロジェクトです。
 これまでは、手ぬぐい制作でお世話になった「張正」さん、テキスタイルデザインコースOGの「まり木綿」さんの店舗の一部をお借りして販売していましたが、今年度は街道沿いの店舗を借りることからはじめ、お店のプロデュースも含めて考え、実践販売する課題へとグレードアップ。
 出店するにあたり、これまでヨウジヤマモトをはじめ数多くのブランドをヨーロッパで立ち上げ成功に導いてきた齋藤統氏、鈴三商店からSUZUSANへと今まさにブランドリニューアルを手がけている村瀬弘行氏のお二人にお越しいただき「ブランドを作ることとは?」という題目でお話しいただきました。
 「なぜ、商品にはブランドが必要か」というところからお話は始まりました。齋藤氏は、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンのCEO ベルナール・アルノー氏が、米国のタクシー運転手は仏大統領の名前を言えなくてもDiorやCHANELのことを知っているという事実にショックを受けDiorを買収したという逸話を紹介し、商品のイメージや品質がブランド名から触発されることにより、ユーザーは所有することで優越感や楽しさを感じメリットが発生すると説明しました。
 村瀬氏は、ドイツで立ち上げたSUZUSANでの体験を交え、誰にどういう方法でブランドのことを伝えていくかの重要性を語りました。齋藤氏は、欧州ブランドでの実体験として、デザイナーは意図したことをストレートに伝えようとし過ぎる嫌いがあり、販売することを考え市場に上手く伝わるようにコントロールしなければならない、ユーザーの手に届くまでに、バイヤー、出先の業者など、中間に入る人にブランドのコンセプト付加価値をきめ細かく根気強く伝えていく必要があるなどと話しました。
 村瀬氏も、デザイナーとしてはクリエーションだけでやっていきたいものの、販売やブランドの構築を考えれば、ひとりでは限界があり、ビジネスを専門とする人と共同することも必要、ブランドを作るとなると役割としていろいろなポジションがあり、自分の才能を発揮できる場所が必ずあるはずと説明しました。

 その後、7名ずつ2つのグループに分かれた学生らが、ブランドの対象となる顧客(バーチャルカスタマー)を想定、ブランドコンセプトを話し合い発表しました。
 バーチャルカスタマーは、有松絞りまつりに数多く訪れるお客さんの中でも、近年増加傾向にある既製の服に満足しない年齢40歳以下のユーザーを想定、こうした人をターゲットに考えました。  2つのグループは、それぞれ「suisai」と「nukunugui」というブランド名を決め、コンセプトやカラーを話し合いました。
 「suisai」は「水際」という言葉からイメージしたもので、絞り染めが水を使うことを意識し、水と陸の境界である水際を別々のものを馴染ませるものとして捉え、生活に馴染むブランドと説明しました。
 一方、「nukunugui」は「温もりのある手ぬぐい」から取った造語で、ナチュラルなイメージをベースにすると説明しました。

 引き続き、それぞれのグループでムードボードを作成しました。ムードボードとは、ボードにイメージに合う画像やタイポグラフィーやカラーチップを貼り付けるもので、グループでデザインのイメージをより分かりやすく共有するために使います。
 村瀬、齋藤両氏によれば、どのブランドでもボードを作成し、新しいイメージが浮かべば上から新しく貼り付けていくことで、考えの経緯や最新の状態を確認できるということです。
 グループ「suisai」は、岐阜関市にある“モネの池"をイメージのメインヴィジュアルに設置、緑と水色をベースに赤やピンクが差し色に入る構成となりました。
 グループ「nukunugi」は、淡いベージュや薄めのグレーをベースに、オレンジやグリーンを配した色調となりました。
 これまで、ナチュラルカラーの手ぬぐいは有松にはなく、ユニークなものができるのではと期待が高まります。

 ムードボード制作の後は、再び齋藤、村瀬両氏が「ショップを作ることとは?」という題目で、実際に店舗を作る場合の話をされました。
 通りのお客さまを惹きつけるメインとなるビジュアルの設定や、商品を手に取って見ることをスムーズに促す動線、さらに、販売員がアプローチする場所の設定など、さまざま考えておくべきポイントが説明され、実践的で非常に有意義な内容となりました。
 今後の予定では、実際に有松の街道を訪れ店舗をチェック、手ぬぐいの制作、店舗のプランニング、衣装、案内状などの制作を行います。

 完成した手ぬぐいは来年6月に行われる「有松絞りまつり」にて販売となります。ぜひ、ご期待下さい。

本学客員教授 齋藤統氏

SUZUSAN クリエイティブ・ディレクター 村瀬弘行氏

はじめに「ブランドを作ることとは?」という題目での講義から始まります

学生たちは2つのグループに分かれ、バーチャルカスタマーを想定し、ムードボードを作成
グループ「nukunugui」

グループ「suisai」

作成されたムードボードを前に講評する斉藤、村瀬の両氏

ヨーロッパでファッションの仕事をされているお二人は、親子のように親しい間柄