テキスタイルデザインコース 有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト
特別客員教授 村瀬弘行氏による講義を行いました

テキスタイルデザインコース「有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト」は、学生が有松絞りを使いオリジナルデザインの手ぬぐいを制作し、 毎年6月に行われる「有松絞りまつり」の会場で販売するというプロジェクト。昨年度から、単に手ぬぐいを制作販売するだけでなく、手ぬぐいを商品として捉え、コンセプトを考え販売するためのブランドを考案、実際に販売する店舗をプロデュースする演習となっています。
2019年7月23日、特別客員教授 SUZUSAN クリエイティブ・ディレクター 村瀬弘行氏をお招きして、有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクトの講義を行いました。

講義は、プロジェクト2回目にあたるもの。学生は、2つのグループに分かれ、それまでに話し合っておいたブランドが想定する顧客(バーチャルカスタマー)を発表するところから始まりました。バーチャルカスタマーは、有松絞りまつりに訪れるお客さんの中で、具体的にどんな嗜好を持つ人が自分たちの手ぬぐいを購入してくれるかを具体的に想定したもので、年齢、性別、職業、家族構成や趣味志向、消費性向などを、細かく想像したものです。2つのグループでは、それぞれ10代から50代の人物3名を想定し、プロフィールを制作しており、それぞれの代表者が発表しました。微に入り細に入り作られた人物像が面白く、特別客員教授のSUZUSAN クリエイティブ・ディレクター 村瀬弘行氏も、実際に絞りまつりではこうした人を見かけることや知り合いを想像したりすると、笑顔で感想を述べられました。

続いて学生らは、それぞれのグループをどんなブランドネームにするか検討しました。村瀬氏のSUZUSANでの体験談を聞き、それぞれのグループですでに話し合われた内容を再度検討しました。結果、2つのグループは「お茶の子、OCHA no KO」と「Que Sera,Sera ケセラセラ」に決定しました。それぞれに語感の重要性や名前から連想されること、また、かな表記した場合と英文字表記した場合とで印象が変わることなどを検証して実感しました。

このあと、ブランドコンセプトやテーマカラーを考えますが、その前に村瀬氏からSUZUSANでの体験を踏まえた考え方の説明がありました。SUZUSAN立ち上げの経緯に加え、現在行っている商品開発のプロセスと考え方を説明していただき、非常に貴重な内容となりました。ブランド戦略や商品コンセプトのお話は、とても実践的で大きな刺激となりました。また、昨年度の有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクトの販売実績を見て、SUZUSANの方々が負けてられないと奮起したというお話や高く評価していただいたことは、今年度の学生にとってもうれしく、また、気持ちの引き締まることでした。

「お茶の子、OCHA no KO」、「Que Sera,Sera ケセラセラ」の2つのグループは、バーチャルカスタマーを考案する時点で選定していたテーマカラーをモチーフに、ムードボードを作成しました。ムードボードとは、ボードにイメージに合う画像やタイポグラフィーやカラーチップを貼り付けるもので、グループでデザインのイメージをより分かりやすく共有するために使います。

「お茶の子、OCHA no KO」は、和菓子をモチーフに考案されていて、餡をイメージするあずき色、黄色、淡いピンクをメインにしてイメージを膨らませます。
「Que Sera,Sera ケセラセラ」は、バーチャルカスタマーから導き出された10代、30代、50代を水色、オレンジ、シックな山吹色をテーマとして、明るく前向きな気持ちにさせてくれるようなブランドイメージを固めていきました。

今後の予定では、年内に手ぬぐいの制作を進め、販売する店舗のプランニングや戦略を進めていきます。完成した手ぬぐいは来年6月に行われる「有松絞りまつり」にて販売となります。ぜひ、ご期待下さい。

特別客員教授 村瀬弘行氏

講義中の村瀬弘行氏

自らの体験や、そこから産まれる考え方を学生たちに伝える村瀬氏

A・Bの各チームに分かれて、バーチャルカスタマーの発表

A・Bの各チームに分かれて、バーチャルカスタマーの発表

バーチャルカスタマーの発表に続き、ブランドネームを検討

各グループそれぞれに「ムーブボード」を作成

ブランドイメージを表現する、ムードボードの作成「Que Sera,Sera ケセラセラ」

ムードボードの作成「お茶の子、OCHA no KO」

村瀬氏の説明を聞き、ブランドを構築していく学生たち