「芸術教養レビュー」選抜展を開催

左より、早川知江准教授、江尻千里さん、大竹菜実さん、安倍慎吾さん、茂登山清文教授

 2019年7月26日㈮〜8月17日㈯、本学西キャンパスB棟1Fセントラル画材跡地にて、「芸術教養レビュー」選抜展を開催しました。この展覧会は、2019年7月5日㈮〜10日㈬にADセンターで行われた第2回「芸術教養レビュー」展から選ばれた作品を展示するものです。作品を展示する学生の中から、芸術教養領域3年生の安倍慎吾さん、江尻千里さん、大竹菜実さんにお話を伺いました。 安倍さんは、スマートフォンやパソコンといった情報機器と人間とのかかわりを題材にした作品や、芸術・デザインとITを使い理解しにくいものをわかりやすく伝えるための提案など、人と技術の関係にスポットを当てた作品が中心となりました。
 江尻さんは、自分の好きな韓国アイドルの楽曲の韓国語の歌詞と日本語訳の違いに着目、言葉による印象の違いや、クロスオーバーすることの魅力、また言葉に頼らず伝えることなどをテーマに作品をまとめています。
大竹さんは、モノと人間と芸術のかかわりを模索します。CDと音楽のかかわりや違法ダウンロードによる売上の減少をテーマにまとめた作品、個人的な事柄を冊子の形式にしたり、修整のできないフィルムで撮影した作品など、考えや気持ちをモノの形にした作品が展示されています。
 それぞれに、メディア、言葉、モノなどを通し、芸術と社会や人間との関係を考えたり、課題を解決する提案がされたりと、改めて芸術教養領域が取り組んでいる社会と芸術の在り方というテーマが伝わってきます。
 芸術教養領域を担当する茂登山清文教授は「1期生の学生たちです。こうなって欲しいというよりも、課題を投げかけていってどうなるかなと思ってやってきましたが、頼もしく成長してきてくれていると思っています」と評価。学生から、芸術教養は何をやってるのかわからないと他の領域の学生に聞かれ、自分の興味から視野が広がり、やりたいことが一番できる領域だと反論したという話があり、それを目を細めて聞いている先生方の様子に学生たちへの信頼が感じられました。
 今後、学生たちは4年生に進級し卒業論文に取りかかることになり、そのテーマの選定に思いをめぐらせているところです。どんな卒業研究の成果が出るか、他の領域とはひと味違うユニークなものになりそうで期待が高まりました。

安倍慎吾さん

いろんな題材がある中で、視覚的な表現を借りながら魅力を創り出していくことが面白いと感じています。ITや手を動かすことも好きで、新しいメディアを活用して現在の問題を解決したり、考えたりすることができたらなと思っています。

江尻千里さん

2年生の頃は、評論を書いていても思った通りの文章が書けず、つらくなってきて放り出したりしていました。それがだんだん書けるようになってきて、ビジュアルを加えることも好きになり、今では楽しんで課題に向かっています。これまでは、人と比べて劣等感を感じたりしていましたが、最近になって、学びが自由になることの意味がなんとなくわかってきて、もっともっと頑張りたいと思うようになりました。卒論では、言葉や文化について、実際とメディアを通したときの見え方の違いやギャップなどを考えていきたいと思っています。

大竹菜実さん

自分はデジタル機器を使って作品を作ったりしていますが、自分の中にアナログが好きな部分もあったりします。人、技術、モノのつながりに関心があるのかもと思います。卒論では、ノスタルジーをテーマにしたデザインや商品について考えてみようかと思っています。