特別客員教授 ケント・モリ氏による特別講義を開催

2019年12月26日、ダンスパフォーマンスコース 特別客員教授 ケント・モリ氏が来校され、特別講義が行われました。前回、5月に行われた特別講義から、半年を経た学生たちの変化を確認に訪れました。

講義は、7月に逝去された森泉博行教授への哀悼の言葉から始まりました。東キャンパス5号館、ミュージカルスタジオに集まったダンスパフォーマンスコース、ミュージカルコースの学生らは、それぞれのグループで年度末の修了公演に向けて練習してきたダンスを披露しました。学生らは少し緊張しつつも、練習してきた成果を出し切ろうと励みました。黙って見守ったケント氏からは、趣味でダンスをやっている人への評価が欲しいか、プロのダンサーに対する本当のことが聞きたいかどちらかを選べ、との言葉。学生らが、本当の言葉が聞きたいと返答すると、どちらのグループも採点すると100点満点中2点。踊ったということに2点は与えるが、それ以外に何も感じない。こうして大学でダンスを学んで卒業したらすぐダンサーとしてやっていけるかといったらNO! 誰の心にも響かない。そんなダンサーを使いたいと思う人は一人もいない、と厳しい評価が下されました。あまりの酷評にうつむく学生たち。ケント氏は、フリを覚えみんなと合わせて技術を磨くことはもちろん大事なことだが、それよりも見る人の心をつかみ感じてもらうことのほうがずっと大切で、常にそのことを意識していることがエンターテインメントの世界に身を置く者には必要と話します。ひとりひとりが自分の個性を発揮し見る人の心に訴えるダンス、そうしたものでなければ響かない。そして、今この瞬間から、そうしたダンスができるように努力していけばいいと話し、ダンスレッスンとなりました。
レッスンでは、ケント氏のオリジナルの楽曲にフリをつけ、学生らと一緒に踊ります。時間をかけてゆっくりと身体を動かしていき、うつむいていた学生らを解きほぐしていきます。ときにはユーモアを交え学生らと身体を動かすうちに、いつの間にかダンスも潑剌としたものへと変化していきました。間違えないように失敗しないようにとぎこちなくなっていた最初の動きとは打って変わって、身体を動かすことを楽しみ、踊ることの喜びがスタジオに溢れるようなダンスへと変わっていきました。

レッスンの後は、1号館アッセンブリホールでの講義となりました。学生からケント氏に質問し、そのことについてディスカッションするという形式で行われました。学生からは、自分に自信が持てないどうしたら自信が持てるか、どうすれば自分のダンスを見つけられるか、ケントさんは今後どんな活動していく、などなどたくさんの質問があげられました。自身の経験を交えひとつひとつ丁寧に応えながら、ダンスにも武道の心・技・体と同じような考えがあり、身体を作ることや技術を磨くことは大事なことである。でも、それらは心があって初めて役に立つことであり、心を磨くことが一番難しく、一番大切であると話します。心がしっかりしていれば、技術を身につけることは後回しでも大丈夫。日常が本番であり、常にそうした心構えでダンスに向かって欲しいと話しました。学生たちはケント氏の熱い言葉に鼓舞されたようで、ダンスへの取り組み方が変わって行くような期待が高まりました。ディスカッションの時間を惜しみながら講義は終了となりました。

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