ミュージカルコース 卒業公演 「A Little Princess」上演

 2021年12月4日(土)、5日(日)の2日間、ミュージカルコース卒業公演「A Little Princess」を上演しました。
 「A Little Princess」は、アメリカの小説家 フランシス・ホジソン・バーネットによる児童文学。日本では「小公女」と知られる作品で、アニメ化された「小公女セーラ」の原作でもあります。2004年に劇作家 ブライアン・クロウリーと作曲家 アンドリュー・リッパのコンビによってミュージカル化され、今回の公演では2011年ライセンス・バージョンを日本語翻訳し上演しました。

 物語は、19世紀のイギリス、ロンドンの寄宿舎が舞台。資産家の父親とアフリカで暮らしていた主人公サラが、学業のためロンドンに帰国、ミンチン女学院の寄宿舎に入ります。そこでのいじめ、寄付金を目当てに起こる騒動や父親の事業破綻といった出来事を通し、成長していく姿が描かれます。主人公サラに加え、ミンチン女学院の使用人ベッキーとの友情、また、舞台としては憎まれ役のミンチン先生も見どころとなります。
 前半は、寄宿舎でのからかいやミンチン先生からの意地悪の中、サラとベッキーに友情が生まれ、寄付金目当てのサラの誕生会と父親のクルー大佐の訃報と事業破綻の知らせが届くまで。逆境にあってもプリンセスになったつもりで気高く誰にでも優しくあろうとするサラの健気さが物語の軸です。なまりのあるベッキーの台詞ですが、身近な尾張弁になっていてくすりとさせられます。ベッキーを慰めるために空想上のアフリカ人たちと歌い踊る Let Your Heart Be Your Compass の活気あふれるダンスが印象的です。
 後半は、破産のため使用人となったサラがクリスマスパーティの準備に奔走するなか、父親のクルー大佐の行方を知るパスコがサラとベッキーの窮状を救い、ヴィクトリア女王に助けを求めて学院が救済され大団円を迎えます。物語は19世紀が舞台となっていますがお金や格差がテーマとなっており、今の社会にも響くメッセージがあります。
 今回の公演では、ダンスのシーンもさることながらソロパートの歌唱が印象的でした。サラ、ベッキー、クルー大佐、パスコ、ミンチン先生と、それぞれにソロの曲があり、しっかりと歌い上げます。この歌唱が素晴らしく、各キャストとも危なげなくこれまでの努力の成果を充分に発揮できたのではないかと感じました。じっくりと聞かせ、会場も歌に聞き惚れていました。曲や歌詞に集中することができ、物語の世界に素直に入り込めたように思います。
 2日間で3回公演でしたが、いずれも満席、ミュージカルコース卒業公演の人気の高さが窺えました。完成度の高さは、まさに4年間の集大成といえるもので、人気の高さにも納得の卒業公演でした。