舞台芸術領域 地域密着型アイドル OS☆Uを招いてのグループワーク

 舞台芸術領域では、ダンス&ボーカルグループ Cool-Xに続き、大須商店街のバックアップを受けながら地域密着型アイドルとして活動するOS☆Uの夏川愛実さん、佐々木菜摘さん、井川なつさん、伊咲萌香さんをお招きし、学生がプロデューサーという立場で戦略を考えるエンターテインメントコンテンツ論の授業を2022年7月5日に行いました。今回も、実際に活動するアイドルの生の声を聞くことのできる貴重な機会とあって、聴講生として参加する学生もおり熱のこもったディスカッションが行われました。

 今回の講義に先立ち学生らはOS☆Uのライブを見学、実際の運営や観客の様子を観察し、より実際に即した実践的なディスカッションとなりました。
 OS☆Uのプロデューサーであり講義を担当する油布賢一 非常勤講師から、OS☆Uを紹介する動画が流され、続いて現在抱えている課題が説明されました。名古屋のアイドル業界の動向としては、SKE48、TEAM SHACHIの2強の観客動員数が高く3位以下が混戦の状態。2010年結成と結成12年を迎えるOS☆Uは、新勢力に少々押され気味となってるとのこと。さらにTwitter、YouTube、サブスクリプションサービスなど、若者を中心としたサービスに関しては、上位に大きく水をあけられてしまっているといいます。逆に強みとしては、Webニュースで取り上げられることが多く官公庁委嘱・企業タイアップなど信頼や品の良さを要求される業務をこなすことができるといった点が挙げられます。そうしたことを踏まえ現在の課題としては、コロナ禍によりイベント・ライブの減少によるファン離れ、さらにファンの年齢層が上がりSNS・サブスクなど新しいサービスの展開が遅れていることを挙げ、若年層の新規ファンを獲得することが必要とし、その方策について検討しました。

 学生らは4つのグループに分かれ、そこにOS☆Uのメンバーが一人ずつ加わりディスカッションが行われました。実際の活動の様子や疑問に思うことを聞きながらいろいろなアイデアを出し合う、簡単なブレインストーミングの型式で進んでいきます。グループによってはメンバーが全員女性のところもあり、普段のファッションやネイル、メイクについてなど、まさにガールズトークで盛り上がっていました。男性ファンを中心に考えられがちの女性アイドルの戦略に女性の視点が加わることを鑑みれば、興味深いことのように思われました。
 1時間ほどディスカッションを行い、結果の発表となりました。いずれのグループからも、新規ファンの獲得のためにSNS、とりわけTikTokへの注力が必要とされました。TikTokをメインにしつつYouTubeへとつなげるもの、TikTokで何かしらバズる動画を作り出す、TikTokでは曲をきっかけにバズることが多いのでキャッチーな曲を使い投稿頻度を上げる、YouTubeやインスタライブの切り抜きをTikTokに投稿する、などなど多くの意見が出されました。
 また、YouTubeなど長い動画では、ストーリー性の強いものや演劇の型式など、繰り返しの視聴に耐えるもので再生回数を増やす、恋人目線の動画、私服やネイルなどファッションの参考になるような動画、わかりやすくキャラ付けした動画、同じ事務所のCool-Xとのコラボや曲の交換で双方のファンに知ってもらうなど、身近で親近感を抱くような動画の案が数多く提案されました。SNSに関しては、投稿しやすくするように固定のハッシュタグを作ること、ライブなどでのスマホ撮影を解禁すること、ファンミーティングなどで現在のファンにSNSの使い方講座を開きSNSの活用を促すことなど、まずは投稿やリツイートを増やすことが目標とされました。
 ライブを実際に体験して出た案としては、現状ではOS☆Uのパフォーマンスは高いものの観客と一緒に盛り上がる感じが少し弱く、メンバーにコールを誘導する役割を作り観客をアテンドすることでライブの楽しさをさらに増すことができるのでは、屋外の無銭ライブが新規のファンをつかむことに効果が高い、ライブ前にビラ配りなど行いできるだけファンと接触する機会を増やすこと、などが提案されました。
 会場での物販に関しても、現在のチェキの撮影と特典の関係がわかりにくく自分のやりたいこととどれを購入すれば良いのかがわかりにくい、特典の仕組みをもっとシンプルにして明確にしたほうが良い、チェキでの撮影に限定せず難しいかもしれないがスマホの撮影も考えて欲しいなどの意見が出されました。さらに商品として、メンバーをキャラクター化したグッズ、ステッカーなどスマホに貼ったりできるもの、アクリルスタンドなどいつも存在を身近に感じられるものをもっと増やすべき、週替わりなどの限定商品やガチャ的に自分の推しが出るまで買いたくなるもの、などの意見が出されました。
 これらを受けて油布先生からは、ビジネスとして面白く鋭い視点が多くて非常に参考になった、TikTokは現在もやっているがさらに積極的に進めていきたい、Twitterのハッシュタグの話はハッとさせられた、物販に関してもわかりやすさをもう一度考えてみたい、期間限定商品もやっていきたいと、多くの改善点を検討するコメントがありました。

 最後に、OS☆Uから派生したpop☆starのCDのプレゼントがあり、打ち解けた様子でサインを求める学生らと交流、和やかに談笑して講義は終了となりました。油布先生からマネージャーも連れてこればよかったという声が聞かれるほど、内容の濃い講義となりました。