秋季生涯学習大学公開特別講座 「ガンビア料理店の名物おかみはガンビア名誉総領事!?」を開催

 生涯学習センターでは、本学にもほど近い名鉄中小田井駅、駅前にあるガンビア料理店「Jollof Kitchen(ジョロフキッチン)」のおかみさんでありながらガンビア共和国名誉総領事も務めるビントゥ・クジャビ・ジャロウさんをお招きし、「ガンビア料理店の名物おかみはガンビア名誉総領事!?」と題し、異文化国際交流講演会を開催しました。当日、2022年10月15日(土)には東キャンパス1号館701教室へ多くの方にご来場いただきました。学生と留学生に加え、生涯学習講座とあって幅広い年齢の受講者にも参加いただき、普段の講義とはまた異なった、演目通りの多様性に満ちた会場となりました。

 講演に先立ち、地域・社会連携部 田中部長から、ジャロウさんとガンビアについて紹介がありました。ガンビアは、年齢が50代以上の方なら記憶にある1977年制作のTVドラマ「ルーツ」の主人公クンタ・キンテが生まれた国。ドラマのヒットを受け実際に奴隷貿易の拠点となった島がクンタ・キンテ島と改名されユネスコの世界遺産に登録されているといいます。講演は英語と日本語を織り交ぜて行われ、同時通訳を国際交流センター長 松崎久美 准教授が務めました。紹介を受けていよいよジャロウさんが登壇、ジャロウさんは、エメラルドグリーンが美しいカラフルなプリント生地を使ったガンビアの民族衣装を身にまとい、会場は一層華やかな雰囲気になりました。

 講演は、生い立ちと家族について、日本に来た理由と数年間の経験、夢とガンビア総領事館についての3つをお話しいただきました。
 ガンビア共和国は、西アフリカに位置するガンビア川流域、セネガルに囲まれた小さな国。面積は11,300平方キロメートル、人口241万人というので、面積は岐阜県ほど、人口は名古屋市ほどとなります。西アフリカの国々の多くはフランスの植民地でしたが、ガンビアはその中にあってイギリスの植民地であったため公用語として現在も英語が使われています。1965年にイギリスから独立、英語が使えること、またTVドラマの影響もあって、現在はヨーロッパからの観光地として人気が高まっているといいます。ガンビア川の上流では稲作やとうもろこし、ピーナッツが栽培され、大西洋に近いところでは漁業が盛んとのこと。魚と米を食べることで日本とも共通する食文化があります(ジャロウさんは大のお寿司好き、旦那さんは焼き魚がお好きだそうです)。
 ジャロウさんは、7人兄弟の長女として生まれ14歳のときに母を亡くし、妹、弟の面倒を見ながら高校へ通ったといいます。24歳でエンジニアであるご主人と出会い結婚、ご主人の勉強のため名古屋へ引っ越します。最初、日本では黒人である自分は奇異に見られ、非常につらかったといいます。「日本人はどう接していいのかわからなかっただけかもしれませんが、自分にとって暗い時期」でしばらくイギリスにいる兄弟のところに身を置いたこともあったそうです。再び日本に戻り生活を続けるうち、知り合いや支えてくれる人が増え、日本に馴染んでいったとのことです。
 二人の子どもを生み日本で育てるなか、日本の文化との衝突もあったといいます。ガンビアでは学校へ行くにも髪の毛を結って身だしなみを整えることが大事なことなのですが、日本の小学校では逆で、きれいにしていくとほどくようにいわれます。髪型について、小学校の先生たちに、ガンビアの文化でありアフリカの文化であると説明し、自分たちのアイデンティティに大きく係わることであると説得して校則で認めてもらうようにしたこと、日本人のお母さんたちにも理解してもらえるよう話したことなどが語られました。
 ほかにも、講演ではガンビアのファッションや音楽・楽器、食べものや果物の紹介など、楽しい話題が盛りだくさんでした。異文化に触れ、受講者からも楽しげな感嘆の声や笑顔が見られました。印象的だったのは、ジャロウさんの飾り気のない語り口調。言葉の端々から、大らかで優しい人柄が伝わってくるようで、会場は和やかな空気に包まれていました。
 名誉総領事として、オリンピックの支援やホストシティとなった守口市との交渉、外務省との仕事や日本からガンビアへ行く場合の業務にも触れ、日本の大使館がガンビアにはまだないことや(現在は隣国のセネガル大使館が兼轄)、日本にもガンビア大使館を作ってもらえるよう話を進めていることを紹介していただきました。
 質疑応答では、会場からいくつも手が挙がり、ガンビアへの興味や実際に行ってみたいという声が上がりました。ジャロウさんは、「『Jollof Kitchen』の2階の名古屋市ガンビア名誉領事館で私がビザを発行しますから、ぜひ来て下さい」と笑顔で答えました。
 講演の受講は無料で行われましたが、会場では名誉総領事館の活動支援金の募金が行われ、受講者の皆様からたくさんのご支援を頂くことができました。最後に田中部長から募金箱が手渡され公開講座は終了となりました。和やかな雰囲気の中、ガンビアへの親しみが広がった90分でした。
 尚、皆様からご支援をいただいた名誉総領事館活動支援募金は総額26,038円となります。ご支援をいただいた皆様方には厚く御礼を申し上げます。