特別客員教授ヒグチアイ氏特別講座『やりたいことと得意なことのどちらを仕事にするのか』を開催

ヒグチアイ氏

 2023年6月29日(木)、本学東キャンパス2号館大アンサンブル室にて、ヒグチアイ氏による特別講座『やりたいことと得意なことのどちらを仕事にするのか』を開催しました。
 本年度、音楽領域の特別客員教授に就任したシンガーソングライターのヒグチアイ氏は、2歳のころからクラシックピアノを習い、その後ヴァイオリン・合唱・声楽・ドラム・ギターなどを経験、様々な音楽に触れ、圧倒的な説得力を持って迫るアルトヴォイスとピアノの旋律、本質的な音楽性の高さが業界内外から高い評価を受け、大型フェスへの出演も果たしています。そして2022年、TVアニメ「進撃の巨人」エンディング曲として書き下ろした『悪魔の子』が大きな反響を呼びました。

 特別講座では、最初に「ドームライブ5万人が感動するような合唱」というテーマが与えられ、全員で合唱することとなりました。
 「なぜ合唱させるのか?」は後ほど語られることとなりますが、参加者をソプラノ、アルト、テナーに分け、ピアノ、指揮も参加者から募り、各パートに分かれての練習の後、まず1度目の合唱。映像を確認した後、「さらに5万人足して10万人を感動させられるか考えながら練習してほしい」というリクエストで、再度全員が話し合います。
 この話し合いの最中、ヒグチアイ氏は各パートの練習スペースを回り『どのように学生が考え取り組んでいるか』をチェックします。
 そして2度目の合唱を終え「1度目より断然良くなったと思いませんか。話し合いの際、出る言葉をはっきり言ってみようとか、 子音を強く出してみようとか、同じような意見だったというのがすごく印象的でした。」というコメントをいただきました。

 そして、この合唱を踏まえ『合唱して、どういう気持ちになったのか』を、感情をマップ化したものに当てはめる作業を3人一組になってディスカッションします。
 その結果を発表後、「合唱した理由」や「感情をマップ化した理由」について、
 「一通りやり終わったな、という後に何をするかというのがすごく大事。そこまで行ったら大体90点ぐらい。でも、そこから10点上げるにはどうしたらいいのか、やることがなくなったところから何をしたらいいのかということに、すごく意味があるような気がします。自分がその場でできることを探していくことを皆さんにやってもらいたくて、合唱してもらいました 」と語りました。

 そして、ヒグチアイ氏自身の話へと続きます。
 「音楽というものをすごくやりたい人間でした。けれど、 SNSで否定的な意見を言われることがあり、人前に出るのは好きじゃないかもしれないと思うようになりました。だけど、何かやりたい。じゃあ、まず自分がやりたいことって何なんだろうと考えた時に、自分の感情に言葉をつけたい人間だったんだなということに気づきました」。
 そんな経験から『やりたくない』と思ったときに考えたこと、その考えを今回の合唱への取り組みに繋げて、
 「どうしたらやりたくなるかと思った時に、 今までは完璧な音楽を届けなければいけないと思っていたけれど、そこにライブの楽しさを持ってくるのではなく、みんなの笑顔を見たいからやってみようとか、何か感情を持って帰ってもらえるんだろうと思えるようなライブ作りをしていこうと考えを変えていきました。だから今回の合唱を通して、どうせやらなければいけないのならば、どうしたら自分がやりたくなるんだろうというポイントを探してもらいたかったんです。そのポイントを探してくれた人たちに『やりたくない』にぶつかった時に、どうしたらいいのかという道が開けたのではないかなと思っています」と語りました。

 そして、講座のテーマである『やりたいことと得意なことのどちらを仕事にするのか』について、挫折など自身のいろいろな経験を通して、
 「自分の感情に言葉をつけたいということが自分のやりたいこと。自分の経験にあるものを全部組み合わせて、誰よりも最強になっていくというのが私のやり方。 やりたいこと、知っていることは、やったことの中にしかないんです。その経験を広げるという意味で、いろんなことを皆さんにやってもらいたいなと思っています。得意なことをやりたいことに寄せていく。やりたいことを得意なことに寄せていく。それをなるべく全部 1つにしたい。やりたいことも得意なことも両方欲しい。そういうふうになるべく自分を変えていくということをしていたので、やりたいことと得意なことのどちらを仕事にするのかというのは、やりたいことも得意なこともどちらも仕事にできる、していくというのが私の答えです」と締めくくりました。

 そして自身の未発表曲のデモ版が披露され、学生にアレンジを依頼し、それをレコーディングしたいという、嬉しい提案がありました。こちらは後期の講演の課題となります。