テキスタイルデザインコース卒業生主宰の若手のテキスタイルデザイナーが発信する展示会「NINOW」、一宮「BISHU FES.」にて開催

 2023年11月11日(土)、12日(日)の2日間、一宮市で開催された毛織物の魅力をPRするイベント「BISHU FES.」にて、テキスタイルデザインコース卒業生の小島日和(こじまひより)さんが主催する展示会「NINOW」を開催、尾州で活動する若手のテキスタイルデザイナーの作品を展示・販売、トークショーを行いました。テキスタイルデザイナコース学生と卒業生も参加し、繊維業界関係者との交流を深めました。

 「NINOW」は、小島さんが2017年にはじめ、高齢化が進む繊維産地の技術や知恵を受け継ぎ活性化しようと、産地で活動する若手のテキスタイルデザイナーが自ら発信する展示会です。これまで東京で6度開催され、今回、一宮の「BISHU FES.」にあわせ、一宮市の協力でオリナス一宮にて開催されました。
 参加作家は、ササキセルム株式会社 酒匂美奈さん、国島株式会社 森遥香さん、日の出紡織株式会社 横田和磨さん、中伝毛織株式会社 吉野陽菜さんと、そして自身のブランドterihaeruの小島さんと、企業の枠組みを超えて5名のデザイナーの作品が展示されました。
 12日の午後には、トークショーが開催され本学テキスタイルコースの学生、卒業生、業界関係者が多数集まりました。

 トークショーでは小島さんがファシリテーターを務めデザイナーがそれぞれ映像とともに作品を紹介し、どうやって尾州を知り働くようになったか、実際に働くようになってどう感じるかなど、現在働いている若手の生の声を伝えました。尾州を知ったきっかけでは、実際に生地に触れて感動したことやウールに限らず綿やリネンなどさまざまな素材を織っていることなど、それぞれが感じている魅力が語られました。働いていて感じることは、高齢化の問題や産地が縮小している現状の問題が上げられましたが、ポジティブな意見として会社の枠を超えて横のつながりが深く、そのことが嬉しいといった声も聞かれました。
 質疑応答では、アパレル業界全体に対する厳しい意見や具体的に低賃金の話題が出るなど白熱したものになりました。小島さんは、こうした問題も含め産地の現状と製品の魅力を若手が発信を続けていくことに意義があるとまとめ、販売を手がけているという来場者からも応援していきたいとの言葉が聞かれました。

 来年4月から尾州で働くことが決まったテキスタイルコース 4年生にトークショーの感想を伺うと、佐藤陽里(さとうひより)さん(宮田毛織工業株式会社に就職)「若手でも作ったものが全国に広がっています、早い段階でそういった業務に携わることができることに魅力を感じています」、石橋実祐(いしばしみゆ)さん(カワボウ繊維株式会社に就職)「就職が決まってから業界紙の繊研新聞を送っていただいて読んでいますが、実際に生地を見たりお話を聞けたことが本当に良かったです」、中西桃子(なかにしももこ)さん(伴染工株式会社に就職)「私が入る会社は新卒を採るのが初めてで会社からも同世代の従業員がいないことを心配されたり尾州自体若い子が少ないことを不安に思っていました。でも、この場所では若い人も多くこうした機会もたくさんありそうで、すごく安心しました」と、それぞれに将来への希望と抱負を語ってくれました。
 トークショーが終わった会場では、扇千花教授を中心に、テキスタイルコースの学生、尾州で働く卒業生、また、業界関係者が集まり交流が図られました。企業からの若手を望む声とともに、小島さんからの「悩むようなことがあったらいつでも相談して!」と心強い言葉が印象的でした。尾州産地を盛り上げたいという気持ちの伝わるイベントとなりました。