テキスタイルデザインコースでは3年生後期の授業で、古川美術館 分館爲三郎記念館をモチーフとした友禅染の作品を制作します。その準備として、2024年8月23日(金)学生らは爲三郎記念館を訪れ、取材のためのスケッチを行いました。
本学デザイン領域テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコース、 美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)と古川美術館は2022年度から本格的にコラボレーションを始め、爲三郎記念館での作品展示「メイゲイのコウゲイ」を開催してきました。これまでは、展覧会に参加する学生が各自、爲三郎記念館を訪れ数寄屋造りの魅力を考え作品制作を行うということを行っていましたが、今年度テキスタイルデザインコースでは、スケッチという形で取材し、それを基にデザインを考え友禅染の制作を行うカリキュラムとなります。
講義を受ける3年生は、今回初めて爲三郎記念館を訪れた学生がほとんどで、スケッチ会に先立ち、館長代理兼事務局長 伊藤洋介さんから爲三郎記念館についての説明を受けました。もともとは実業家である古川爲三郎氏の私邸であったことに始まり、茶事を目的に建てられた数寄屋建築、日本庭園、茶室「知足庵」について、庭を散策しながら紹介していただく贅沢な説明会となりました。
続いて室内に入り、茶道の背景と作法について簡単にお話しいただき、学生らはお抹茶をいただきました。初めてお抹茶を口にする学生もいましたが、数寄屋造りと相まって和の情緒を堪能しました。
昼食をはさみ、午後からはいよいよスケッチの始まり。学生たちは、魅力を感じる場所を探しスケッチブックを開きます。えんぴつを走らせるもの、スマートフォンで細部を写真に撮って観察するもの、思い思いにスケッチブックを埋めて行きました。2時間ほど経ったところで古川美術館の会議室に移り、スケッチに彩色し絵を仕上げました。
まだできあがる前でしたがタイムリミットとなり、手を止めて講評となりました。授業を担当する樫尾聡美 非常勤講師と古川美術館学芸員 早川祥子さんに作品を観ていただきました。ひとりひとり簡単に爲三郎記念館のどの部分に魅力を感じ、どんな絵を描いたかスケッチブックを開きながら説明しました。天井板や欄間など建物の細部に魅力を見いだした学生、置物や野点傘の曲線や形に魅力を感じた学生、数寄屋造りの空間そのものを描いた学生など、それぞれにユニークな視点が印象的です。樫尾講師からは、「きちんと取材ができています。色使いも含めてデザインに落とし込むとおもしろそう」などと、学生それぞれの着眼点を評価、今後の制作を見据えたコメントが聞かれました。早川さんからは、「学芸員でも気が付いていなかった魅力を発見したもらったように思います」といった言葉も飛び出し、非常に充実したスケッチ会となりました。
学生はそれぞれ多くの写真も撮影しており、まだ描ききれていない爲三郎記念館の魅力もたくさんありそうに思われます。どんな作品ができあがるのか、期待が高まります。