教育学部 トークイベント「ART Travelers Summit ~旅とアートと人生と飯~」開催

 2025年2月10日(月)、東キャンパス Akkordにて、教育学部 次年度特別客員教授就任予定の稲垣享一郎氏によるトークイベント「ART Travelers Summit ~旅とアートと人生と飯~」を開催しました。
 このトークイベントは教育学部が主催、稲垣享一郎氏が企画し、旅と教育・異文化体験をテーマにした交流会でした。さまざまな国や地域での経験を持つ方々をお招きし、それぞれの国際交流の経験をお話しいただき、参加者同士の学びの場となるよう企画されました。

 イベントは、稲垣享一郎氏の自己紹介から始まりました。稲垣氏は、自身をハンドルネームの“チャーリー”と名乗り、大工として働き、高校の英語教師、文科省官民協働海外留学創出プロジェクトを担当したことなどを紹介、イベントプランナーとして多彩な経歴を持ち国際交流や地域活性化のプロジェクトに携わっていることなどを説明していただきました。
 登壇者としては、大学院生の頃から教育をベースに海外視察や留学を行い、人々とふれ合う活動を続ける、おのわたるさん、文化人類学を学びながら雑貨の買い付けやフィールドワークを行っている魚住晴香さん、大学在学中に交換留学でオーストラリアに渡り、またアメリカの高校での語学教師の経験から、多様な文化や価値観に触れた経験を持つ本学教育学部教員の谷口征子准教授、結婚式を挙げたその日に世界一周旅行へ出発し1年半をかけて世界をまわったという、ほっさくらさん、世界一周の体験と自分らしく生きている人々のことを日本各地で伝える世界一周学校を運営する中村雅人さん、そして、友人のいじめをきっかけに教育に関心を持ち世界各地の小学校を訪問する旅に出かける高校生のめるさんの6名。ひとり15分程度と限られた時間でしたが、旅の意義や、異文化・人との出会い、さらに幸せについてなどを語りました。今回のテーマに加えられている“飯”についても、それぞれの楽しい体験が共有されました。

 登壇者から語られるエピソードはどれも非常に面白く、印象的なものばかりです。サハラ砂漠を250km走破するマラソンに参加、極限状態を経験し過酷な自然環境と向き合うことで精神的な強さと達成感を得たという中村さん。アフリカでの旅中30時間立ちっぱなしでバスに乗るという過酷な体験と乗っていたバスが途中で炎上、それでも、現地の人々の助けによって無事に目的地へたどり着いたこと、アイスランドの大自然を訪れ、火山、氷河、フィヨルドなどの壮大な景観に圧倒され、自然の力強さと美しさを感じることで地球環境への理解が深まり、人生観にも影響を与えたというおのさん。イスラム文化圏での茶器や伝統刺繍であるスザニなど実物をみせていただき、また、ドイツ留学中にウクライナ戦争が勃発し、ポーランドで難民支援活動に参加して国際問題が個人の生活に与える影響や文化理解や人道支援について深く考えるようになったという魚住さん。ベトナムで出会った少年から「Enjoy Your Happy Life」というメッセージをもらったこと、この出会いを通じて旅の本質は景色だけでなく人との交流やシンプルな言葉が人生に大きな影響を与えたと語るほっさくらさん。まだまだたくさんの旅のエピソードがあり、大いに刺激を受けるイベントとなりました。
 とくに、困難を乗り越える経験と人との出会いが共通のテーマとして浮かび上がり、異文化とふれ合うことや自由に生きることについて、あらためて感じ入りました。
 トークショーのあとは、世界の料理として特製のスパイスカレーとキューバサンドが提供され、参加者が和やかに交流しました。参加者同士の対話が新たな気づきやひらめきを生み出しそうな、そんな交流会になりました。稲垣享一郎氏は、年に一度の交流会にできれば良いと抱負を語り、今後も楽しみなイベントとなりました。