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2014年度『シヤチハタ×名古屋芸術大学』産学連携活動 印面制作に関する技術説明と書体解説 が行われました

デザイン学部ヴィジュアルデザインコースの3年生が、デザイン演習II-2(MC)VD(担当:永井瀧登講師)にて、スタンプ・文具の国内大手メーカー・シヤチハタの協力を得て、新しいスタンプの印面デザインに挑戦する産学連携活動に取り組んでいます。第2回目となる特別講義「印面作成に関する技術、書体について」が、10月7日(火)、本学西キャンパスで、シヤチハタ株式会社 商品企画・開発部の坂井 満氏をお招きして行なわれました。

 

講義の冒頭、シヤチハタ株式会社を取り上げたTVニュース番組のVTRを視聴しました。「世界に誇る日本を再発見」の中でシヤチハタのネーム印が紹介されていて、累計売り上げ1億五千万本以上、手間無くポンポン押せて、“捺印”という日本文化に革命を起こしたことなどが映像とともに分かりやすく収録されていました。

講義は日本語書体の歴史解説で始まりました。ご存じのとおり、日本語書体は中国の漢字が基となっています。その漢字が印刷用にデザインされたのが、今から約500年前の中国の明の時代だと言われています。このとき作られたのが、現在も日本語書体の主流のひとつとなっている明朝体です。さらに、江戸時代の日本では、古印体や角字、相撲文字(根岸流)、歌舞伎文字(勘亭流)、寄席文字(橘流)といった様々な書体が生み出されました。現在では、文字のウエイト調整やバリエーションの追加が容易な電子デバイスなどに搭載可能なデジタルフォントが主流となっています。

続いて、スタンプ印面の為にオリジナルで開発された「シヤチハタフォント」についての説明が行われました。シヤチハタフォントは、ウエイトの異なる17書体が作られ、様々なニーズに合わせて使用されています。「ハンコは小さく、インキがにじむもの」といった前提で、使用時の視認性をはじめ、悪条件での視認性、好みや味わいといったユーザー満足のためのバリエーションなど、様々な捺印作業条件を満たす書体の実現を目指したと言います。坂井氏はこのシヤチハタフォントの特徴を「鷹」という字を例に説明されました。

「DTPでよく使われる小塚明朝体の“鷹”と比較すると、明朝体のデザイン上のポイントである、ふでおさえ(うちこみ)やウロコ、ゲタ、てんなどが異なっています。特にインキがにじむことを考慮して、誤認が起きそうな“隹”のウロコや“鳥”のゲタを削除するなどの工夫を凝らしました。この他にも、文字内の隙間のバランスを調整することで、自然な文字として認識できるように整えています。」そして、「皆さんがこれから印面を作成する際には、文字と文字のバランスを意識して取り組んでください。」と受講生へアドバイスされました。

次に印面作成技術についての解説です。にじみによる潰れの回避と視認性向上のための注意ポイントとして、次の4項目を挙げられました。

1.不要な装飾を極力省く

2.捺印時に倒れない様に線幅を太くする(0.1mm以上)

3.インキのにじみで潰れないようにスキマを確保(0.1mm以上)

4.混み合っている線の内側は細くする

さらに坂井氏は「印面の書体と文字レイアウトのバランスや、ゲシュタルト崩壊、ポップル錯視、ジャストロー錯視といった、文字同士が引き起こす現象を頭に置き、課題にトライしてください。そして、印面デザイン作成の際に重要なのがコンセプトです。スタンプの目的が“警告”なのか、“可愛さ”なのか、そのコンセプトに合った書体を選ぶようにしてください。」と留意項目を付け加えました。

最後に「最近のトレンドとしては明朝体が多く使われています。有名なアニメのサブタイトルや、映画のエンドロールの書体に使用されたりしています。また、手書き風フォントも趣があります。このフォントは飲食店のメニューなどに使われることが多いようです。それから、企業・個人に著作のあるものを流用する際には、著作権法を考慮して制作しましょう。」とコメントを残しました。

 

書体について詳しく学び、スタンプの印面デザインについての技術的な要素を学んだこの日の授業も終了。学生たちは次回よりスタンプの印面デザイン制作に取りかかります。

 

シヤチハタ商品企画・開発部 坂井満氏 シヤチハタ商品企画・開発部 坂井満氏
シヤチハタフォントの鯱旗明朝体と小塚明朝体の比較 シヤチハタフォントの鯱旗明朝体と小塚明朝体の比較
隙間のバランスの例 隙間のバランスの例
印面作成技術のポイント 印面作成技術のポイント
ジャストロー錯視の例 ジャストロー錯視の例