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サウンド・メディアコース 深田 晃氏による公開講座が行われました

深田 晃氏と担当教員の長江 和哉准教授  深田 晃氏と担当教員の長江 和哉准教授
講義の様子 講義の様子
ステレオの基本セッティング ステレオの基本セッティング
サラウンド5.1ch基本セッティング サラウンド5.1ch基本セッティング
深田氏の発表した「Fukada Tree」のセッティング解説図 深田氏の発表した「Fukada Tree」のセッティング解説図
受講者の質問に応える深田氏 受講者の質問に応える深田氏

2014年10月30日(木)、本学東キャンパス2号館の大アンサンブル室で、音楽学部 音楽文化創造学科 サウンド・メディアコース公開講座「これからの時代に求められる音楽制作と録音について」が開催されました。本講座ではステレオやサラウンド、ハイレゾリューションオーディオなど、さまざまな技術革新によって現在に至る録音技術について学び、これからの音楽制作や録音のあり方について、講師の深田 晃氏よりレクチャーを受けました。

深田氏はCBS/SONY(現Sony Music Entertainment)録音部チーフエンジニア、NHK放送技術制作技術センター番組制作技術部チーフエンジニアを歴任され、数々のCD制作及びTV番組制作に携わってきました。また、サラウンド録音の研究では、1997年にニューヨークのAESコンベンションで「Fukada Tree」を発表し、様々な文献で紹介されています。

深田氏は講座を始めるにあたり、「普段皆さんが何気なく耳にする音楽は、視覚的なイメージも含め、気持ちで聴いていると言ってもいいでしょう。しかし、録音するということは、マイクが電気信号を捉えるのみで、その気持ちまでを記録することはできません。また、指揮者の位置にマイクを置けば、バランスの良いオーケストラ録音ができると考える方もみえますが、実際に録音してみると決して良い音とはいえません。良い録音をするためには知識と想像力が必要です。さらに、録音のセオリーを知っていれば、求める結果へといち早く到達でき、時間を節約することが可能です。まさに、録音は科学だともいえます。」と、録音の持つ本質について説明されました。

講座前半では、ステレオやサラウンドといった、マイク録音の基礎と技術解説が行われました。現在の一般的な録音はステレオ録音です。ステレオで録音された音を聴く際には、左右のスピーカーとリスナーが正三角形で結ばれるのが理想。ただし、正三角形の頂点で聴けない場合も多く、リスニングポイントによっては、音楽ソースの位相がズレて聞こえます。録音の際にはこのズレの補正が必要です。また、マイクで録音できる範囲をレコーディングアングル(録音角)と呼び、目的の録音物に対して、レコーディングアングルに沿ったマイクの間隔と角度を決めることも重要です。他にも、マイクセッティングにはAB方式、XY方式、ORTF方式などがあり、録音する対象と各方式の特性に応じたマイク間隔や録音角など、適切なマイクセッティングが求められます。

一方、左右にセンターとリア2本を加えた、5.1chスピーカー配置が基本のサラウンドにも、各種方式があります。サラウンドは空間的印象が重要視され、音源の広がり感と包まれ感の構成と録音方式がポイントになります。マイクの使い方も、楽器音と響き音を組み合わせて作るタイプと、楽器音や響き音が最適に録音できるポイントを探すタイプがあります。深田氏は、「録音方式は録音環境や録音対象によって選択を検討すべきで、方式に囚われることなく、各方式の特性を理解したうえ、美学的価値判断で選択しましょう。」とアドバイスしました。

後半では、ホールやスタジオでの録音方式の違いや、ストリングス・シンセサイザー・パーカッションなどのサンプリング音源を用いたサラウンド録音など、実際の音源を聴き比べながら解説が加えられました。また、新しい録音技術として、重層的な考えをベースにした「マルチレイヤー」や「マルチチャンネル」、デジタル音楽配信を背景にして注目される「ハイレゾ配信」などについても紹介されました。

本講座のまとめとして、「ハイレゾリューションオーディオなどにより、音楽をより良く伝え、音楽の本質に迫ることができるようになりましたが、そのスペック以上に、音楽自体のクオリティが求められる時代です。技術やテクノロジーは日々進化していますが、全ての基本である音楽を作ることや気持ちを伝えることは、これからも変わることはありません。」と伝え、深田氏はこの講座を結びました。