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佐喜眞美術館館長・佐喜眞道夫氏による特別講演会が行われました

2015年10月18日(日)、本学西キャンパスB棟大講義室で、佐喜眞美術館館長の佐喜眞道夫氏(美術学部特別客員教授)による特別講演会が行われました。

開会に先立ち、美術学部長でアート&デザインセンター長を務める西村正幸より、佐喜眞氏の講演実現までの経緯から、沖縄における佐喜眞美術館の存在意義、収蔵される作品群について説明が行われました。そして、この佐喜眞氏の講演を通じ、「戦後70年を経た現在の沖縄の現状について、参加者の皆さんと一緒に考える場にしたい」と伝えました。

この特別講演会では、佐喜眞美術館収蔵のケーテ・コルヴィッツや丸木位里・丸木俊夫妻の作品を通して、家族を戦争で亡くし苦しむ母の想いや、先の大戦で焼土と化した沖縄の地上戦の悲惨さを知ることにより、戦争と平和、さらには芸術の可能性について改めて考えさせられる機会となりました。

沖縄伝統のかりゆしウェアを着て登壇された佐喜眞道夫氏 沖縄伝統のかりゆしウェアを着て登壇された佐喜眞道夫氏
本学のギャラリーに展示されたケーテ・コルヴィッツ氏の作品 本学のギャラリーに展示されたケーテ・コルヴィッツ氏の作品

最初に、収蔵品の中心でもあるケーテ・コルヴィッツ・コレクションについて佐喜眞氏より説明がありました。ドイツの版画家で彫刻家のケーテ・コルヴィッツは、第一次世界大戦で最愛の息子を、東部戦線では孫を亡くすという悲劇を経験します。その悲しみを木版画による連作『戦争』などに込めて発表。その後も、ヒトラー率いるナチス政権下のドイツで、女性ながらも弾圧に抗いながら、戦争に反対する作品を作り続けました。このケーテ・コルヴィッツと第二次世界大戦で大切な息子や家族を亡くした沖縄の女性たちの境遇が重なることから、作品収集を始めるようになったと佐喜眞氏は話されました。

一方、親交が深かった丸木位里・俊夫妻の作品紹介では、佐喜眞美術館で常設展示されている『沖縄戦の図』が取り上げられました。日本国内で唯一の地上戦として知られる沖縄戦を題材に描かれた『沖縄戦の図』は、沖縄の地上戦を体験した人々の証言に基づき丸木夫妻が描いた作品です。戦争で人間がどのように破壊されるかが生々しく描かれ、「戦争をしない歴史を歩んで行ってほしい。」という、丸木夫妻の切なる願いが込められていることを丁寧に解説されました。

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さらに、まるで米軍普天間基地にくさびを打ったかのように建つ、国内でも特異な存在の佐喜眞美術館の成り立ちについても解説されました。美術館建設にあたり、全国の美術館を訪ね歩いた佐喜眞氏は、沖縄の地域、風土、歴史を取り込んだ美術館こそ沖縄の地に相応しいと考え、終戦後接収された普天間基地内の祖母の土地を、苦労の末返還にこぎつけ、念願の美術館の開館を実現されました。その佐喜眞美術館には修学旅行生はじめ、多くの若い学生が訪れます。悲惨な戦争から学んだ歴史を、佐喜眞美術館収蔵の作品を見た若者たちが、きっと未来へと語り継いでくれことでしょう。そんな若い世代に佐喜眞氏は期待を寄せているとしました。

なお、アート&デザインセンターでは、10月16日(金)-10月28日(水)の期間、2015年度アート&デザインセンター企画展「佐喜眞美術館のスタンス~丸木位里・俊、ケーテ・コルヴィッツを中心に」展と題し、佐喜眞美術館収蔵のケーテ・コルヴィッツ、丸木位里・俊作品が多数展示され、多くの来館者が訪れました。

本学のギャラリーに展示された丸木位里・丸木俊氏の作品 本学のギャラリーに展示された丸木位里・丸木俊氏の作品
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