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第38回名古屋芸術大学オペラ公演 「あまんじゃくとうりこひめ」「子供と魔法」が上演されました

じっさとばっさに用心をするように云われているうりこひめ じっさとばっさに用心をするように云われているうりこひめ
機織をするうりこひめの様子を窺うあまんじゃく 機織をするうりこひめの様子を窺うあまんじゃく
とのさんとけらい とのさんとけらい
あまんじゃくに撃退されるとのさんとけらい あまんじゃくに撃退されるとのさんとけらい
「あまんじゃくとうりこひめ」の出演者のみなさん 「あまんじゃくとうりこひめ」の出演者のみなさん
癇癪を起こして暴れだす子ども 癇癪を起こして暴れだす子ども
家具や食器に仕返しをされる子ども 家具や食器に仕返しをされる子ども
多くの動物たちで一杯となった庭 多くの動物たちで一杯となった庭
庭の生き物たちに責め立てられる子ども 庭の生き物たちに責め立てられる子ども
リスの手当てをする子ども リスの手当てをする子ども
子どもを助けようと母親を呼ぶ動物たち 子どもを助けようと母親を呼ぶ動物たち
子供と魔法」の出演者の皆さん 子供と魔法」の出演者の皆さん

2016年2月26日(金)と27日(土)の両日にわたり、名古屋市西文化小劇場(名古屋市西区花の木)で、第38回名古屋芸術大学オペラ公演が行われました。今回の演目は、「あまんじゃくとうりこひめ」「子供と魔法」の2本立てで、日本の昔話の一つの「あまんじゃくとうりこひめ」は林 光作曲のもの、「子供と魔法」は、M・ラヴェル作曲のオペラでした。総監督・演出は本学教授の澤脇達晴が、指揮は山田正丈が担当しました。

 

あらすじは、「あまんじゃくとうりこひめ」

『瓜から生まれたうりこひめは機織りの上手な美しい娘で、じっさとばっさ夫婦に大切に育てられた。ある日、じっさとばっさは町へ買い物に行くことになり、うりこひめは留守番をすることになった。じっさとばっさは人に悪さをするあまんじゃくにはくれぐれも用心するよう伝え、家を後にする。一人で機織りするうりこひめを覗きにやって来たあまんじゃくは、自分も機織りがしたいと願う。続いて、こっそりうりこひめの様子を見にやって来たとのさんとけらい。二人は、うりこひめをさらおうと企んでいた。それを盗み聞き知ったあまんじゃくは、うりこひめを助けようと先回りする。ふたたびやって来たとのさんとけらいは、中で機織りしているのがうりこひめに扮したあまんじゃくであることはつゆ知らず、あまんじゃくに撃退される。そこへ、買い物から帰って来たじっさとばっさは、あまんじゃくがいることに驚き、追い払ってしまう。うりこひめが、じっさとばっさにわけを話すと、あまんじゃくが本当は心優しい鬼であっことを知って、心から感謝する。』

「子供と魔法」

<第1場>

静かな序奏によって幕が上がる。舞台は庭に画した園舎家の一室。 7歳になる子供は母親から宿題するようにと言われ、不満を募らせる。そこに母親がおやつを持って入って来るが、宿題がまったく進んでいないことに気づいて子供を叱り、出て行く。腹を立てた子供は、痢瀬を起こして暴れ出し、部屋中を滅茶苦茶にする。乱暴をされた家具や動物たちは、傷付けられた苦しみを嘆き、子供に仕返しをしていく。怯えている子供の前に、 2匹の猫が現れ、じゃれ合って外に出たので、子供は後を追う。

<第2場>

広い庭に出て安心する子供。しかしそれも束の間、庭の生き物たちも子供にいじめられたことを恨み、責め立てる。多くの動物たちでいっぱいとなった庭。動物たちは、次第に子供のことを忘れそれぞれ仲良くし合っている。孤独感に襲われ、母親を求める子供の声に気づいた動物たちや木は、一斉に襲い掛かる。やがて、乱闘騒ぎになり、巻き込まれたリスは怪我をし、叫び声を上げて地面に倒れてしまう。子供は、持っていたリボンでリスの傷口を縛り、意識を失う。リスに手当をした子供に驚いた動物たちは、子供を助けようと母親を呼ぶ。気がついた子供は、 「ママ!」と叫び、そして静かに幕を閉じる。

今回のオペラ公演は、本学教員が音楽指導と振り付けを行い、ピアノ・フルート・パーカションの演奏は学生が担当し、音楽研究科の大学院生やミュージカルコースの学生の協力により作り上げられています。まさに音楽学部の総力を上げた本年度最後の舞台に相応しいステージとなりました。演者たちの熱のこもった演技と歌声に、満席の客席から惜しみない拍手が送られました。

総監督・演出の澤脇は、本公演について公演プログラムで次のようにコメントしています。

ラヴェルの言いたかったこと

昨年、関西でラヴェルの「子供と魔法」を見た時、椅子や時計が動いたりまた火が飛び出し、絵本から王女が出てきたりファンタジックな内容に驚かされた。ラヴェルと言えばあの有名なバレエ作品の「ボレロ」しか知らなかった私は、このような面白い作品があるとは思いもかけなかった。その時からこの作品を学生たちにやってもらおうと決めていた。

特にこの作品が学生たちにとっていいオペラ教材になるだろうと考えた点は、最後の子供にいじめられていた動物や昆虫、そして家具、絵本たちが子供の身を案じながら歌う下りである。子供に対する思いやりが合唱で美しく歌われる、そして子供は{ママ}と恋しく歌って幕となる。ここにラヴェルの言いたかったことが凝縮されている。子供とママの関係を心温まるオペラ作品に仕上げたラヴエルのユニークな作品を学生たちの手で感動的にやってもらいたいと考えた。

世界中どこの子供もママからお勉強なさいと叱られてばかりいるのは共通しているようだ。それに子供は反抗しだだをこねる。でも本当は遊びたいし自由にさせてもらいたがっている。(中略)

この作品は、子供が魔法にかけられたようになって、自分のいじめた物たちによって自分の本心に素直になれるというオペラである。

オペラの冒頭では子供を叱るママとそれに反抗する子供の姿をご覧頂きたい。それから急に魔法がかかったかのようになり、家の中の家具や食器、暖炉の火が子供を脅かす面白い場面が登場します。その他、壁に描かれていた羊飼いの少年少女、算数の教科書の中の数字たちが目まぐるしく現れます。猫が登場すると場面は家の外の庭に移り、そこでまた子供にいじめられていた庭の昆虫や動物たちが子供を責める。そうしていじめた者たちの反撃に会い、本当は弱い自分を知ることになる、色んな物に攻撃される中で自分も傷つき、そこで飼っていたリスも傷つくので、始めて優しい自分が登場しリスの介抱をするのである。その姿に周りの者たちは驚き、この子は本当はいい子なんだということに気がつくと、みんなで助けてあげようという気持ちが湧き上がり一斉にママ、ママと連呼する。やがて眠りから覚めた子供は、ママと優しく呼びかける。この最後のクライマックスで子供の本心を感じていただければうれしいです。それほどの子供にも共通した叫びでもある。