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テキスタイルデザインコースで、現代バスケタリーの第一人者 関島寿子氏によるワークショップを開催しました

2016年9月22日(木)、西キャンパスアート&デザインセンターで開催される「第29回 バスケタリー展」に先立ち、現代バスケタリーの第一人者、関島寿子氏による「バスケタリーワークショップ」を開催、テキスタイルデザインコースの学生が受講しました。

バスケタリーとは「かご作り」を意味しますが、英語では、かごそのもののほか、立体の編み組みで作られたもの全般や、かごや網類の技法、制作方法など、広く組織構造体を表す意味で使われています。通常、「かご」というと単に生活の道具としてしか意識していませんが、長い歴史のなかでは「かご」の技術を使いさまざまな器物、大きなものでは家や橋などの建造物や葦船、ボートなどが作られてきました。今回のワークショップでは、その「かご」の構造や素材について学び、体験します。

今回のワークショップは、午前11時10分に始まり、午前中に「かごの構造と性質、形態の関係」について学び、昼食を挟んで午後1:10からは、持参したかごを描写、その後、構造に適した素材を選んで再現する、という内容です。午後3:30からはギャラリーに移動し、バスケタリー展の展示会場でワークショップで学んだことを生かして作品を観察、午後4:20からはギャラリートークに参加するという、盛りだくさんの内容です。

ワークショップの午前中は、かごの構造と形態についてですが、ワークショップの冒頭、関島氏から「かごはテキスタイルの一分野です」という言葉がありました。編まれているかごは、立体であったり、竹や針金などで作られているため意識していませんが、構造的な見地からすれば織物と同類で、平面的である織物が編まれている素材や構造の違いにより立体的に存在しているものがかごであると説明されました。そうして、かごを組織物と捉えた場合、その要素と作り方の技術により、6種類に分類されると説明されました。

6つの分類は、大きく分けて単一の素材を用いる場合と、2種類以上の素材を複合的に用いる場合とに分けられ、それぞれ、1つの要素から作られる場合と2つ以上の要素から作られる場合に分けられていきます。もっとも単純な素材と要素で成り立っているのは「絡める」で、1本の紐を絡めるという技術で成立しています。例に挙げられるのは、1本の毛糸で編まれたニットや漁網です。同じ紐を何本か合わせて作られるのが「結ぶ」で、多数本の紐から作ったマクラメも「結ぶ」になります。3つ目は「組む」で、経と緯ともに同じ幅や厚みのものを交差させながら一定角度に組む、竹細工などでは「4つ目編み」といわれているものが含まれます。

複合素材を使うもので一番シンプルな形は、1つの芯にもう1つの素材を巻き付けていく「巻く」で、鍋敷きなどに見られます。2種類の要素材を使ったものは「織る」になり、テキスタイルの学生にとっては馴染み深い経糸と緯糸のある織物はこれに当たります。さらに、織ると同様経糸、緯糸で出来ており,緯糸の2本セットになり撚り合わせられて織りこまれるものを「綟る(もじる)」と分類します。このように構造を考えた場合には、かごなどの組織物はこの6種類の組織構造に分類されるといいます。1つのかごは、すべて、この6つの組織を単一、または、組み合わせて使い成り立っていると考えられます。

午後からのワークショップでは、組織構造という視点からスケッチし、要素がどのように動いているかを観察します。学生たちはそれぞれが持ち寄ったかごから関心のあるものを選び、構造を意識しながら精密にスケッチしました。関島氏は、学生一人ひとりのスケッチを見て、6つの構造のどれに相当するかを確認していきました。スケッチを確認して正しく構造を理解していることが確認できると、素材を選んで再現に移りました。時間が取れず完成までは届かなかったものの、ほとんどの学生が自分のスケッチからかごの構造を再現していました。関島氏は「スケッチできるということは構造を理解できるということ。構造を理解し、それにあった素材を選択して、同じように編んでいけば、かごは再現することができる。観察して構造的に正しい素材の組み合わせやバランスを選択すれば、どんな材料を応用して使っても自分でかごを作ることができる」と説明しました。フランクな話しぶりと、わからない学生には実演してしっかりと理解させる懇切丁寧な指導が非常に印象的でした。

ギャラリーに移動してからは、学生たちはメモを片手に一つひとつ作品を観察しました。6つの基本構造を知った目で改めて作品に注目すると、なるほど、違って見えることを実感しました。ギャラリートークでは、バスケタリー展に出展する作家が、自分の作品について一言ずつコメントし、質疑応答となりました。時間はわずかでしたが、学生からは、作品のコンセプトについてや、作り方について、素材の入手についてなどの質問が上がりました。

最後に、オープニングレセプションがあり、学生たちも参加、和やかな歓談のなか日程は終了となりました。

「第29回 バスケタリー展」は、本学西キャンパスアート&デザインセンターで9月23日(金)~28日(水)まで、また、10月5日(水)~12日(水)まで東京市ヶ谷の山脇ギャラリーで開催されます。ぜひご覧下さい。

 

実際に紐を手にして、6種類の基本構造を説明する関島氏 実際に紐を手にして、6種類の基本構造を説明する関島氏

 

実際のかごを観察してスケッチする 実際のかごを観察してスケッチする

 

関島氏が用意した説明用の小さなかごたち。小さいながらも基本の6つの構造が確認できる 関島氏が用意した説明用の小さなかごたち。小さいながらも基本の6つの構造が確認できる

 

スケッチを見ながら構造が間違っていないかを一人ひとり確認 スケッチを見ながら構造が間違っていないかを一人ひとり確認

 

貴重な実演。学生たちに「巻き」の編み方、最初の部分を実地説明 貴重な実演。学生たちに「巻き」の編み方、最初の部分を実地説明

 

一人ひとり理解できるまで丁寧な指導が印象的でした 一人ひとり理解できるまで丁寧な指導が印象的でした

 

ギャラリーに移動し、バスケタリー展出品作品を観察 ギャラリーに移動し、バスケタリー展出品作品を観察

 

構造を念頭に、感想や質問などをメモ 構造を念頭に、感想や質問などをメモ

 

関島氏の作品「面積から体積へⅣ」 平面的な「組む」をベースに折りたたむことで立体に仕上げた作品 関島氏の作品「面積から体積へⅣ」 平面的な「組む」をベースに折りたたむことで立体に仕上げた作品

 

ギャラリートークにて、作者から作品について聞く。この後、質疑応答へ ギャラリートークにて、作者から作品について聞く。この後、質疑応答へ