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第41回名古屋芸術大学卒業制作展記念講演会 宮田亮平氏と仲居宏二氏による記念講演会が開催されました

2014年3月2日(日)、愛知芸術文化センター12階アートスペースA で、卒業制作展記念講演会が行われました。この記念講演会には、東京藝術大学学長の宮田亮平氏と聖心女子大学教授の仲居宏二氏をお招きし、「明日のアート」をテーマにご講演いただきました。 2005年に東京藝術大学の学長に就任された宮田氏は、大学の運営やプロモーションといった分野で、ユニークな手法を採用して注目を集められています。一方、仲居氏はNHK入局後、美術や教養、子ども向け教育番組などで数々の番組を手がけられ、芸術分野の造詣が深く、現在のアートシーンにも精通されています。このお二人の愉快で軽妙洒脱な対談を通して、これからのアートの可能性を示唆する講演内容となりました。 東京藝術大学の学長という重責を担う宮田氏ですが、とても気さくで、講演中もしばしば壇を降り、客席で会話を交えるなど、来場者を楽しませる演出を欠かしません。その宮田氏は、東京藝術大学が持つ難解で難しいといったイメージを払拭し、柔軟で分かりやすくするべく、新しい取り組みに果敢にチャレンジされています。進行役を務める仲居氏からも、「国立の芸術大学の学長とは思えないユニークな着眼をされる方です。」と評されるほどです。 宮田氏が学長に就任して最初に取り組んだのが、なんと卒業式の学長スピーチのスピードアップ。宮田氏は卒業生へ贈る想いを漢字一文字に込め、それを壇上で書き上げるといったパフォーマンスを自ら演出。文字を書くのに約2分、スピーチは約1分と、スピーディで、それでいて、とても印象深いと卒業生たちからも好評です。この卒業式の模様はテレビのニュースな番組でも取り上げられるなど、高いPR効果も発揮しています。 他にも「学長と語ろうこんさ~と」や「藝大みこし」の活用法などにより、大学の知名度アップに取り組んでいます。「学長と語ろうこんさ~と」は、宮田氏がホスト役を務め、ゲストを交えたトークやコンサートで、来場者といっしょに楽しむ定期公演です。タレントで画家の片岡鶴太郎さんの「指揮に挑戦してみたい」という希望を叶え、オーケストラを従えて存分にタクトを振るっていただいたり、映画監督の山田洋二さんのリクエストに応え、映画『寅さん』シリーズのテーマ曲をテノールの教授に歌わせたりなど、東京藝術大学ならではの特徴を活かし、ゲストや来場者をもてなすことに務めています。 また、東京藝術大学の学園祭(藝祭)で、学生たちが趣向を凝らして制作する、伝統の「藝大みこし」の有効活用法にもそのセンスを発揮。東京・丸の内のビルとタイアップし、藝大みこしの特別展示などを企画。週末のビジネス街に新たな賑わいを演出してみせました。この展示の模様を新聞などのメディアが取り上げたことで、東京駅の再開発事業に東京藝術大学が関わるきっかけにもなったそうです。宮田氏は、「学長に就任した時、最初に考えたのは“私は芸術の行商になる”でした。そのためにも、メディアから“ド派手なパフォーマンス”と言われるようなことに、敢えてチャレンジしています。」と口元に笑みをたたえながら力強く宣言されました。 このように、メディアからもその動向に注目が集まる宮田氏。もちろんテレビ番組への出演機会も多く、今回の対談相手の仲居氏とも、番組を通じて親交が深まったようです。2008年にNHKが制作・放送したテレビ番組『爆笑問題のニッポンの教養』では、タレントの爆笑問題の二人が東京藝術大学を訪ね、学長である宮田氏自らキャンパスを案内するといった番組が制作されました。講演会でもその番組の一部が上映され、「通常1回の放送で完結する番組ですが、2週続けての放送となるほど、この東京藝術大学の回は濃厚な内容でした。毒舌と突っ込みが持ち味の爆笑問題に、宮田学長が突っ込み返し、二人がたじたじとなる。当時“爆笑問題を超えた芸大学長”と宮田学長は呼ばれていましたね(笑)。」と仲居氏がコメントを添えるほど、見どころ満載の内容だったようです。上映された映像でも、東京藝術大学のキャンパスの様子や宮田氏が学生たちと触れ合う様子が、丁寧に画かれていました。 そんな忙しい学長業のかたわら、鍛金(たんきん)作家としてもバイタリティ溢れる創作活動を続けられています。宮田氏の作品にはイルカのモチーフがよく登場します。まるで海の中を泳いでいるかのような、美しい流線型のフォルムを湛えたイルカたちが印象的な作品群。そのきっかけは、新潟・佐渡島の生まれで、大学受験に出かけたるための船上で、数多くのイルカが船を帆走してくれたという過去の記憶が元とになり、いつしかイルカをモチーフにした作品に取り組むようになったと言います。 また、パブリックアートの先駆者とも呼ばれる宮田氏の作品は、全国各所に設置されています。その代表作の一つが東京駅八重洲口に置かれた有名なモニュメント「銀の鈴:右写真(c2009 The Tetsudo Kaikan Co.LTD)」です。宮田氏によると、銀の鈴は新幹線が開業した1964年に初めて登場しました。当時のモニュメントは、駅員が竹製のザルに銀紙を貼ったお手製だったと言います。その銀の鈴の4代目を担当されることになり、当時のことを振り返って次のようにコメントされました。 「渋谷駅には忠犬ハチ公像、上野駅には西郷隆盛像、どちらも待ち合わせ場所として人々に親しまれています。この二つの銅像とも、東京藝術大学の大先輩が手がけた作品です。東京駅の待ち合わせ場所として人気の、銀の鈴の制作依頼を受けたことは、私にとって名誉なことで、本当に嬉しかったですね。」と懐かしい記憶を思い起こされているようでした。 さらにパブリックアートの在りようについて仲居氏が尋ねると「パブリックアートは作家一個人のものではなく、多くの人が歓ぶためにあります。作品を通じた受け手とのコミュニケーションであり、皆さんが作品とどのように接しくれるかを楽しみに、仕事をしているのだという意識が作家にも芽生えるものです。」と、ご自身の心情をまじえて答えられました。 最後に今回のテーマである「明日のアート」について仲居氏からコメントが求めると、「名古屋芸術大学の卒業制作展を拝見し、作品から自分をどのように表現したらいいかという“葛藤のカタチ”が見受けられ、きれいに見せて人に伝えるだけではなく、本当の自分とは何だろうか? を懸命に出そうというエネルギーが感じられました。大学間の違いはあれ、若者の面白さ、リアルさ、ものを作る、伝えるということは、変わらないものだと清々しく感じました。」と回答。さらに、「明日というよりも、今こうすればもっと面白くなる、まだやっていなかったことを“プラスアルファ”でやること、それがまさしく明日のアートに繋がるのではないでしょうか。」という言葉を添へて講演会を終えられました。会場からは両氏に大きな拍手が送られました。 " "