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カーデザインコース 特別客員教授 永島讓二氏による展覧会&講演会「ヨーロッパ自動車人生活」を開催しました

20181110日(土)
本学西キャンパスB棟大講義室にて、
カーデザインコース主催 特別客員教授 永島讓二氏による講演会
「ヨーロッパ自動車人生活」を開催しました。

20180926チラシ

この講義は、名古屋芸術大学開学50周年のプレイベントとして企画された永島氏のイラスト展
「ヨーロッパ自動車人生活」(名古屋芸術大学アート&デザインセンターにて 112日(金)~13日(火))
と合わせて開催されたもので、午前中に行われたギャラリートークに引き続き、本学学生に加え一般の方にも公開され、
デザイン関係、自動車会社など、多くの方にお集まりいただきました。

 

講演会は、永島氏と同級生であり学生時代から友人である髙次信也教授の司会で始まりました。
はじめに、片岡祐司教授からあいさつがありました。

今回の展覧会と講演会の開催について、
発端は片岡教授と髙次教授との雑談で、
永島氏がカーグラフィック誌に連載している記事と
イラストの原画を見てみたいとうことで始まったと説明されました。

Rolls Royce Silver Cloud 1965

美しく、自動車への愛情溢れるイラストを、
一同に見られる機会ができたことは大変意義深いことであります。

あいさつでは、カーデザインコースの方針についても触れ、
デザイン領域の特長として1年次はファンデーションで基礎を学ぶこと、
カーデザインコースを選択してからは手で描くことを重視していることが述べられました。

さらに、前日2日間に渡って行われた永島氏によるワークショップ、
「曲面表現と乗用車デザイン」についても触れられ、
永島氏が学生のスケッチに手を加えている様子の写真が映し出されました。

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片岡教授からは、カーデザインコースは数年後には
おそらく国内の大学の中でもっとも大規模なカーデザイナー養成コースになると説明がありました。

 

髙次教授から永島氏の経歴について紹介があり、
いよいよ永島氏が登壇すると、会場からは大きな拍手が起こりました。

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講演会は、長く海外で勤める中で感じる、
欧州のデザイナーについてや日本のプロダクトが
どのように見られているかといった内容から始まりました。

永島氏の考えでは、カーデザイナーにはデザインが好きでカーデザイナーになった人と、
自動車が好きでデザイナーになった人の2種類のタイプがあり、
自分は後者であり、中学生の頃から自動車に関係した職業に就きたいと思っていたことや、
欧州の会社が作る自動車にその頃から興味があったことなどが紹介されました。

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日本製のプロダクトが海外からはどう見られているかという問題提起については、
自動車に限らず、時計やデジタルカメラなどさまざまな国産製品の写真を挙げ、
それらのコンセプトの源になっているROLEXのサブマリーナ、ライカのレンジファインダーカメラなどと比較、
国産のプロダクトは、メーカーは変われど
デザインのアイデンティティが確立されていないと厳しい意見が述べられました。

自動車の形についても同様で、似たり寄ったりのワンボックスや軽自動車、セダンが写真が挙げられ、
例えば欧州車、メルセデスやBMWであれば自動車に興味のない人が見ても、
たとえ遠くからでエンブレムが見えなかったとしても見分けることができるのではないかと提起します。

日本製のプロダクトは、信頼性が高く壊れない、つくりがよい、納得できる価格、という素晴らしい利点があるものの、
性能については平均的、デザインについても退屈に見られ、
自動車のでは“エキサイティングでもなければスタイリッシュでもない、
でも信頼性は高く、ある種の人には十分である”と評論を引いて説明します。

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デザインができあがるまでについて、
市場調査がありコストやセールスなどを考慮し
市場の要求に応えるためのプロセスがありますが、
そこにクリエイティビティ、インスピレーション、パッションや志といった、
市場が要求する以上のことを盛り込むことによって、
市場が期待する以上のプロダクトが生まれ、
そのことが今後さらに日本の企業には重要になってくるのではないかと説明します。

特別なプロダクトとして、
消費者に媚びるのではなくオリジナリティが高いものを作っていけば
市場からのリスペクトが得られ、プロダクトが市場を作るという、
いわゆるマーケティング的な思考と逆の現象が起こるのではないかと説きます。

日本のメーカーは、これまで万人に受け入れられ
広いマーケットを志向した存在感の希薄なものを作ることが一般的でしたが、
国際競争が厳しくなる中、今後、リスペクトされるプロダクト作りも志向すべきと解説しました。

 

講演会の後半は、海外の企業に勤める中で感じる、日本と海外のギャップについての話となりました。
海外の企業では、日本企業のような就職協定や新卒採用のルールが一切なく、
就職したいという応募者がポートフォリオを送り、随時、審査するような形式で進められていますが、
日本人から送られてきたポートフォリオを見たことがないといいます。

永島氏は、1980年にオペルで働き始めますが、
その当時から15名ほどのデザイナーは8ヶ国で構成され国際化されていたということです。

海外へ行くにあたり日本人にとって言葉の問題は大きな理由の一つですが、
母国語が英語でない東ヨーロッパやアジア、中東の国々からも数多くの応募があり、
実際に働いている人も多いといいます。

日本だけが、国際的なこうした流れから孤立しているように感じ、
海外へ出るべきとは簡単にいえないものの、
世界はこうしたことになっているという現状をもっと知って欲しいと、
学生にエールを送りました。


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質疑応答では、今後の自動車業界の動向についてやデザインの自由度について、
デザイナーが提案すべき主張など学生のみならず企業に勤める方々からも興味のある硬派な質問から、
大学生の頃から海外で働くことへの自信があったかや
イラストを描くときに自分の気持ちにできあがりが左右されないかといった
学生にも身近な質問があげられました。

電化、自動運転化が進む自動車業界の今後の動向については、
「それがわかれば苦労はない(笑)」とユーモアを交えながらも、
自動車には、もの(人)を運ぶ、運転して楽しいという2つの要素があり
自動運転では、その運転の要素がなくなることになるため、
別の新たな要素を補っていれる必要があるのではないないかという見解を示しました。

会場からは、もっと永島氏の話を聞きたいといった様子が窺え、
聴講者は大いに永島氏に感化されたように思われました。

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講演会終了後、食堂にて懇親会が行われ、
さらに永島氏の話を聞きたいというたくさんの聴講者が出席し、
大盛況のうちに講演会は終了となりました。



永島讓二特別客員教授 
「永島讓二氏プロフィール」

1955年東京生まれ。武蔵野美術大学工業デザイン学科卒業後、アメリカに渡り大学院に進学。

1980年からアダム・オペルでのコンセプトカーのデザイン、
1985年にルノーでの「サフラン」のデザインを手掛け、
1988年より現在まで、世界屈指の高級車ブランドBMWにて、
Z3ロードスター、5シリーズE39型(ともに1996年)3シリーズE90型(2005年)3シリーズGT2013年)など、有名な作品を残されています。

カーデザイナーとしての活動以外にも、カーデザイン史の研究者でもあり、
カーデザインの歴史に関する著作「名車の残像」や、
カーグラフィック誌で連載していたエッセイとイラストをまとめた「ヨーロッパ自動車人生活」などの著作があります。