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ワールドミュージック・カルチャーコース開設記念特別公開講座 岡野弘幹氏による「ワールドミュージックから見る平和な世界」を開催

2019年12月5日、
東キャンパス2号館 大アンサンブル室にて、
岡野弘幹氏による特別公開講座
「ワールドミュージックから見る平和な世界」を開催しました。

この講座は、来年度新設される
ワールドミュージック・カルチャーコースの開設を記念して行うもので、
先月に続き2回目の講座となります。

前回の講座では、現代のワールドミュージックの潮流についてお話しいただきました。
今回は、岡野氏がさまざまな民族楽器に係わる中で知ることになった、
その楽器の背景にある文化や社会問題などについてお話しいただきました。

前半は、岡野氏がこれまで世界の各地で行った
演奏の動画を見ながら解説するという形式で行われました。

ネイティブアメリカンのフルート奏者 カルロス・ナカイとの共演、
NY、911グラウンド・ゼロでの平和式典で演奏、
タリバン政権が倒れてからのアフガニスタン、
世界遺産でもあるネパール ボダナート寺院での演奏など、
これまで岡野氏が参加したイベントの演奏の映像を見ながら、
楽器とイベントの背景について解説していただきました。

岡野氏は、民族楽器に係わることにより、
そこにある社会問題や文化背景のようなものに係わらざるを得なくなったと語り、
民族楽器で奏でられる音楽と歌は、祈りの歌であるといいます。

音楽の背景としては、例えばイギリスのパンクロックには、
上流、中流階級と労働者階級との格差に異を唱える目的が背景にあり、
同じように民族楽器と歌にはそうした社会背景があるといいます。

ネイティブアメリカンのナバホ族、ホピ族には、
強制的に土地を追われた強制移住問題があること、
ネパールではヒマラヤに多くのプラスティックゴミが廃棄されており
それが大きな問題になっていること、
タリバン政権下で芸術も音楽も禁止され地下壕に楽器を隠していたカブールの人々のこと、
解放された後3万人ものストリートチルドレンがカブールにあふれ
彼らに楽器を贈り一緒に演奏したことなど、
そこで演奏される音楽と人々との結びつきの深さを感じたといいます。

そこで、音楽が持つ力の大きさを実感するとともに、
演奏を聴く人々からも大きなエネルギーをもらったと語りました。

音楽を創る、音楽を演奏することが、自分自身の心の平穏につながっていき、
また、そのことが音楽を聴く人にも伝わっていく、
そうした意識を誰もが持つようになれば、少しずつだが世の中は変わっていくと感じている。
音楽に係わるならばそんな意識も持って欲しいと、学生らに説明しました。

講義の後半は、民族楽器を使ったライブパフォーマンスです。
ネイティブアメリカンフルートの演奏から始まりました。

前回は、フルートをはじめとする北米ネイティブアメリカンの楽器中心でしたが、
今回は世界各地、さまざまな地域の楽器をお持ちいただきました。

フルートに続き、ネパールのシンギングボールが演奏されました。
スティックで叩くほか、ボールの縁を滑らせるようにこするだけで綺麗な響きが生まれます。
口に共鳴させて響きを調整しビブラートをかけるようなこともできます。

続いて、モンゴルのゲンゴンという竹製の口琴。
口にくわえ弾いて音を出すシンプルな楽器で、
ビヨーンという愉快な音を奏でます。
呼び名はいろいろですが世界中に似たものがあるそうです。

続き、ステージで異彩を放っていた壺の登場。
アフリカに古くから伝わる楽器でウドゥと呼ばれます。
ウドゥはナイジェリア語で陶器の意味で、文字通り、陶器でできた壺です。
穴を叩いたときの低音と、
側面を弾いたときの硬い高音が心地良い響きです。
ここで学生がコンガで参加、ウドゥとコンガのセッションとなり、
会場は大いに盛り上がりました。

アメリカで黒人に教わった基本的なリズムの取り方を会場に伝授し、
カリンバとシェーカーでさらに会場を盛り上げました。

続いては、雅楽器の笙の原型となったケーンという竹製の笛。
構造としてはパイプオルガンと同じで、
やはりケーンがパイプオルガンの原型といえるものだそうです。
ギリシャのブズーキという弦楽器もあります。
吟遊詩人が使う楽器で、哀愁を帯びた音色も激しい音も出せる楽器です。

続いて、ひょうたんを使った中国のフルスという笛。
3本の管が付いていて、ハーモニーが吹けるようになっているのが特徴です。
最後は、手製の太鼓でネイティブアメリカンの曲を、会場の皆で歌いました。

会場から、自作の太鼓を持ち寄った参加者も加わり、
会場全体が叫び声を上げ大いに盛り上がりました。

講義の終了後も、参加した人々が岡野氏に楽器について質問したり、
実際に楽器を手にしてみたり、
ライブの余韻に浸りながらもいつまでも去りがたい雰囲気でした。

岡野氏は、あらためて、来年度、若い学生たちとなにが始まっていくか、
非常に楽しみにしていると話しました。

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ネイティブアメリカンのフルート演奏

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モンゴルのの楽器、ゲンゴンの演奏

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アフリカの楽器、ウドゥの演奏

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学生とのウドゥとコンガのセッション

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ネパールの楽器、シンギングボールの演奏

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雅楽器の笙の原型、ケーンの演奏

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中国の楽器、フルスの演奏

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参加者が持ち寄った自作の太鼓も加わり、熱いセッションとなりました

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ギリシャの楽器、ブズーキの演奏

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講義の終了後。岡野氏への質問や、実際に楽器の触れることのできる時間となりました