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汐見稔幸氏のモンテッソーリ教育講演会 「今なぜモンテッソーリなのか?」を開催

2020.02.28

トピックス

2020年2月11日(火)、東キャンパス3号館ホールにて、
汐見稔幸氏のモンテッソーリ教育講演会
「今なぜモンテッソーリなのか?」を開催しました。

この講演会は、本学人間発達学部、日本モンテッソーリ協会中部支部、
社会福祉法人野並保育園、たきこ幼児園による共催で、
保育の第一人者である東京大学名誉教授 汐見稔幸氏をお招きしました。

汐見氏のお話を聞ける貴重な機会とあって、人間発達の学生のみならず、
多くの保育士、幼稚園、小学校の教員がホールを埋め尽くしました。

講演に先立ち、講演会実行委員長の社会福祉法人
野並保育園園長 加藤清文氏から挨拶がありました。

2018年に施行された保育所保育指針、
今年度から開始される教育改革など、
今もっともお話を伺いたい先生が汐見先生であり、
今日、その機会が得られたこと、
尽力下さった関係者の方々に感謝申し上げます、
とお礼の言葉が述べられました。

続いて、人間発達学部 子ども発達学科 豊田和子教授から、
汐見氏のプロフィールが紹介されました。

数ページにも渡る資料とともに、
汐見氏の詳細な経歴、モンテッソーリ教育との係わり、
膨大な数の著書などが紹介されました。

また、家庭人として三児の父親であることも付け加えられ、
自身の経験を生かした父親の育児参加についてや
子育てアドバイザーとしての側面も紹介されました。

さらに、野並保育園 保育士であり
日本モンテッソーリ協会 中部支部 支部長 村田尚子氏から、
野並保育園でのモンテッソーリ教育の様子が
スライドショーとビデオで紹介されました。

年齢ごとの遊びの様子や子どもたちの発見や
驚きを大切にしている園の姿勢などが紹介されました。

さまざまな道具を使い遊ぶ様子や卒園制作作品展の説明など、
子どもたちのいきいきとした姿が印象的でした。

いよいよ、講演会が始まり汐見氏が登壇。
席が用意されたにもかかわらず、
汐見氏は腰を下ろすこともなく、エネルギッシュに語り始めました。

国内のみならず海外へ赴くことも多い汐見氏ですが、
ドイツから帰国したばかりで、ドイツで視察した幼稚園や
ニュルンベルク国際玩具見本市のことなどを交えたお話から始まりました。

現在の日本とヨーロッパをはじめとする世界各国とでは、
幼児教育のイメージに大きな隔たりがあると言います。

これまで、日本では教科書に書いてあることを理解し
正確に覚えていくことが勉強であるとされてきましたが、
今世紀になり社会や文化が変わってきており、
それに合わせて急速に教育改革が進められているのが
世界各国の現状と説明します。

特にヨーロッパでは、学校教育の中で保育幼児教育がもっとも重要と宣言され、
しっかりと予算が付けられているといいます。

環境問題や日本の労働環境、
世界を席巻するGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)などにも話は及び、
平成の30年間、日本が停滞していた原因の一つに教育の問題を挙げます。

正解だけを求める教育を行い、
現状について考え答えを導き出すような教育が
できていなかったことが問題であると説明します。

諸外国では、人生にとって大事なことは何かを考えさせるような、
簡単に答えのでない問題を扱う教育にシフトしていっており、
そうした力を子どもたちに付けていくことが
今後求められる教育のあり方ではないかと説明しました。

教えれば育つというのではなく、
子どもたちが課題に対し挑むから育つ、
そうした環境を整えることが教育者の役割であると説明しました。

そうした中で、自分で自分を育てることを支援する
モンテッソーリ教育は大きな可能性を持っており、
幼児期に思考することの土台を丁寧に育てることで、
自主性や主体性を持った大人を育成することにつながると説きます。

ドイツでは、幼児教育だけでなく、
小学校以降の教育もモンテッソーリを原理に展開する方向へ移行しつつあり、
日本国内でもぜひ進めていって欲しいと会場へ呼びかけました。

最後に、人間発達学部 溝口哲夫学部長からお礼の言葉として、
「日本の教育について、あり方を見直していく必要性を強く感じました、
 少しでも明日からの実践に生かせていければと考えています」とまとめ、
演会は終了となりました。

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東京大学名誉教授 汐見稔幸氏

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野並保育園園長 加藤清文氏

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人間発達学部 子ども発達学科 豊田和子教授

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人間発達学部 溝口哲夫学部長

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講演には、汐見氏のお話を聞こうと多くの来場者が訪れました