人間発達学部の可能性を拡げる試み

「子ども大学」を実施

 2019年11月と12月、2020年2月と3回にわたり、小学生が本学人間発達学部の教員、学生から講義を受ける「子ども大学」が実施されました。西キャンパスでは例年、夏休みに美術、デザインの講座を受講する「一日芸大生」が実施されていますが、「子ども大学」はその人間発達学部版といったところ。理科工作、パソコンを使ったゲーム作り、楽器&ハワイのレイづくり、バランスボールを使った運動、さらに、赤ちゃんのお世話といった保育の講座などが用意され、師勝北小学校3〜6年生、24名が受講しました。講義に加えて、「芸大祭」と「春を呼ぶ芸術フェスティバル」の見学もあり、盛りだくさんの内容です。最終回には卒業式も行われ、角帽を被り、学部長の溝口先生から修了証書が授与されました。修了後のアンケート(卒業レポート!)では、楽しかったという感想や、来年もやって欲しい、3日間では足りない、もっと先生の専門分野の講義が聴きたかったなどなど、予想を上回る反応と要望が寄せられました。大学に関心や興味を持ってもらうことや、大学と地域の関係を深めることに加え、大学が担っている「教育するという役割」として、学生が教える立場になることで、教員の育成と、さらにその先にある子どもを育てるということを同時に果たす形になり、とても意義深いイベントとなりました。
 今年度は、新型コロナウイルスの影響もあり、まだ予定が立てられない状況ではありますが、今後の発展が大いに期待されるものとなりました。

人間発達学部長
人間発達学研究科長
学長補佐
教授 溝口哲夫

入学式の様子

11月開催時には、「芸大祭」も同時に行われました

昼食は学生スタッフと一緒に「芸大祭」で

角帽を被って修了証書の授与。3日間の講座でしたが、本格的な卒業式となりました

かんたん楽器&レイづくり

 Worldeaオナーズプログラムのハワイ研修に参加した学生スタッフが、報告会と「かんたん楽器&レイ作り」を行いました。ハワイでの体験活動や、小学校、保育園の様子も写真を交えてレポートしました。

赤ちゃんのお世話

吉村美由紀 准教授

吉村美由紀
准教授

小田良枝 准教授

小田良枝
准教授

 生まれたばかりの赤ちゃんって、どうやって抱っこすればいいの? お風呂はどうやって入れる?? おむつは??? 赤ちゃんのお世話について体験しながら学ぶプログラム。赤ちゃんが思ったより重くてびっくり。抱っこのやり方を友達に教えてあげたいという声も聞かれました。

弾んで遊ぼう“Gボール”

堀場みのり 講師

堀場みのり
講師

 Gボール(バランスボール)を使っての運動。いろんな姿勢でバランスをとったり弾んだり。カラフルなボールは気持ちも上がります。音楽に合わせて振り付けを練習してダンスにも挑戦。難しいけど、身体を動かすのはやっぱり楽しい!

「春を呼ぶ芸術フェスティバル」鑑賞

 人間発達学部、恒例の春のイベント。合唱、ピアノ演奏、サークル発表、などなどじっくり鑑賞しました。大学って、なんだかとっても楽しそう! 一緒に過ごしたお兄さんもお姉さんも、みんな優しかった。

楽しい理科工作

東條文治 准教授

東條文治
准教授

 はさみ、ホチキス、セロテープで作る、簡単な理科工作。ブーメランや風車、面白い形の紙飛行機を作って、遊びました。男の子から大人気! 先生が専門の、自然科学や古生生物の話がもっと聞きたい、実験もやってみたいとリクエストも。

パソコンでゲームを作ろう!

加藤智也 教授

加藤智也
教授

 ブロックを組み合わせる感覚で簡単にプログラミングできるツールを使って、ゲーム作りを体験。子どもたちは夢中でパソコンに向かいました。もっともっとやりたかった、時間が足りないという声をたくさんいただきました。

人間発達学部 子ども発達学科長 教授 安部孝

人間発達学部
子ども発達学科長 教授

安部 孝

 このところ、産官学連携やボランティアなど大学に期待する社会の声が大きくなり、教員や学生達がいろいろな場所へ赴くことが増えました。ですが、本来、大学や学校というのは、学生や子どもが集まり、人が集まってこその場所です。大学が持つ本来的な役割を見直してみたらという考えがはじめにあり、子どもを集めよう、大人も集めようということで「子ども大学」という形になりました。そして、人に来てもらうのであれば、地域の人たちに学生が普段使っている設備と施設を使い、見てもらうことがいいと思いました。クリエ幼稚園の園長を務めた経験から、卒園した子どもたちにもう一度大学に来てもらえるような機会をつくりたいという思いもありました。
 昨年は初めての試みでしたので、師勝北小学校に限定して参加者を募り、24名の小学生が参加してくれました。実際に講義を行い子どもたちの反応を見て感じたのが、大学と教員個々が持つ「教育する力」の価値です。子どもたちは非常に熱心にそして、いきいきと講義を受け、時間が足りない、もっとやって欲しい、という声をたくさんいただきました。子どもたちに学ぶことの楽しさをわずかでも伝えられたのではないかと思います。そして大学の持つ「教育力」をあらためて感じました。
 運営と企画には、学校教育コースをはじめとする多くの学生がかかわってくれました。このことも教員を目指す学生には、地域と協働し、実践力やコミュニケーション力を高めるとても価値ある経験になったのではないかと思います。また、教員にとっても地域における教育力となり、新たな可能性への気付きや、研究課題の発見・解決につながる、大変意義深いものとなりました。人間発達学部にとっても、さらなる可能性を拡げる機会になったのではないかと思います。
 北名古屋市には小学校が10校あります。本年は新型コロナウイルスの影響によりまだ思うように活動できませんが、長期的な視点に立ち、「子ども大学」の活動をさらに拡げて継続していきたいと考えています。