名古屋芸術大学

オール自由学院、オール名芸を旗印に

総勢270名の壮大な演奏会

 今回の記念事業は、2014年になってから急遽、企画されたもの。一般的なホテルのレセプションだけではなく、新しい発想と名古屋芸術大学をはじめとする名古屋自由学院を象徴するような「これまでにない記念事業にしてほしい」という理事長の強い意向もあり、大学の職員を中心として構成される実行委員で案が練られるところから始まりました。芸術を通して社会に貢献する学院の姿勢をアピールすることを目的に、定期演奏会を所属する学校すべてで盛り上げようと考えられました。

 定期演奏会の演目は、もともと年の瀬ということもありベートーベンの交響曲第9番に決まっていました。それならば、合唱団を広く募集し、参加を募ることはできないだろうか、とアイデアが転がり始めました。「1万人の第九」をはじめとする日本各地で行われている一般公募による大規模な合唱団のイメージもありました。一方で、今回の記念事業はオール名古屋自由学院というコンセプトもあり、合唱団の募集については、一般公募ではなく、OB、OGと学内関係者のみで募集が行われました。また、指揮の古谷誠一名誉教授、合唱指導の山田正丈氏の「芸術大学の演奏会としてクオリティーは落としたくない」という要望もあり、「原語で歌うこと、暗譜すること」を条件に募集されました。最終的には、総勢177名の合唱団になりました。第九を初めて歌う卒業生、昭和の時代に卒業された方、声楽にかかわっていない音楽学部の先生、音楽にかかわりのない美術の先生、人間発達の学生、美術の後援会の方々、学生のご両親などなど、様々な方々に参加いただくことになりました。177名の合唱団に、いずれも本学出身のソリスト4名、オーケストラ92名、総勢270名ほどがステージに上がり、壮大な演奏会となりました。

ロビーを彩る作品たち

 演奏会を盛り上げるようなかたちでロビーには様々な作品が飾られました。中でも、名古屋自由学院に所属する教育機関で製作された「フロッタージュとコラージュ『学び舎の記憶』」は、それぞれに印象的な作品となりました。学院の幼稚園児、学生、教員、職員たちが、それぞれ園舎、キャンパスの壁や床、凹凸のある部分を、色鉛筆やクレヨンなどで紙にこすりだし(フロッタージュ)、それらを、五線譜をかたどった和紙ロールに自由に貼付け「記憶のかたち」として完成させました。はじけるような元気のある幼稚園児の作品、音楽への愛情が感じられる音楽学部の作品、さすがに専門分野と思わせる美術学部、デザイン学部によるまとまりのある作品、それぞれの作風に個性が感じられ興味深いものとなりました。のべ約300名の学生、園児、教職員らによって制作されるその過程は、映像作品となって当日も上映されました。

 ロビーには、普段、東キャンパスに飾られている立体作品、西キャンパスX棟に収納されているデザイナーズチェアも運び込まれ展示されました。通常であれば簡素なロビーが、さながら美術館に変貌し、多くのお客様がこれらに足を止め見入る姿が見受けられました。

次へのステップ

 演奏会は、会場がほぼ満席となる2,000名以上の来場者を迎え、盛大なものとなりました。一体感のあるオーケストラ、ソリスト、合唱団の演奏に加え、ユニークな展示作品、ビジネスコースの学生たちが務める会場スタッフ等々、オール名古屋自由学院にふさわしい事業となりました。実は今回の60周年記念事業は、始まりの最初のステップにすぎません。第1回目のパイロット事業としての位置付けであり、今後、第2段階、第3段階へと規模を大きくしていくことが構想されています。6年後の名古屋芸術大学設立50周年を目処に、次なるステップをより大きなものへと発展していくことが構想されています。

本番2日前(12月2日)のオーケストラ練習。夕方6時過ぎから、それぞれの授業、仕事を終えてから、東キャンパス2号館 大アンサンブル室に集まり練習開始。すでにクオリティも高く、調性と確認作業に費やされていました。張りつめたような緊張感が印象的。

同日、同時刻、4号館多目的ホールで行われた合唱練習の風景。こちらはオケ練習とは打って変わって和やかな雰囲気が印象的。年齢も立場も異なる人々ながら、チームワークを感じさせる姿が見受けられました。休憩中は笑い声が聞こえるものの、いざ歌が始まると、皆、真剣そのもの。

会場となった日本特殊陶業市民会館フォレストホールのロビーの床に並べられたフロッタージュとコラージュの作品「学び舎の記憶」。お客さまの中には、東キャンパス、西キャンパス、幼稚園、保育・福祉専門学校とそれぞれの作品をじっくり鑑賞される方もいらっしゃいました

会場でながされた制作風景の映像。制作の意図やアイデアをスタッフに確認し、感心する声も聞かれました。はしゃいでいた子どもたちが、やがて熱中して行く様子は、見ていてほほえましいものでした。

会場となった日本特殊陶業市民会館フォレストホールのロビーの床に並べられたフロッタージュとコラージュの作品「学び舎の記憶」。お客さまの中には、東キャンパス、西キャンパス、幼稚園、保育・福祉専門学校とそれぞれの作品をじっくり鑑賞される方もいらっしゃいました

「学び舎の記憶」は、制作者ごとの微妙な違いを感じられるものになりました。貼り付けられたフロッタージュや書き込まれた内容を、注意深く読み取るお客さまたち。

東キャンパスから運び出されるのを待つ立体作品たち。フォレストホールのロビーに飾られた立体作品は、普段、東キャンパスに置かれ、音楽学部、人間発達学部の学生を見守っている作品です。

音楽学部で行われたフロッタージュとコラージュ作品の制作風景。普段は、使わないはさみと糊に悪戦苦闘!? 非日常を楽しみました。夕方から制作が始まり、学生、教職員、空いた時間に入れ替わり立ち替わり訪れ、制作しました。

滝子幼稚園での制作風景。大はしゃぎで園内の壁、床をこすりだしする園児たち。こすりだした後、五線譜をかたどった和紙ロールが広げられると、子どもたちは切り貼り作業に熱中。創作に対する姿勢は、大人も子どもも変わりません!

▲ページの先頭へ