名古屋芸術大学

平田哲生

デザイン学部 教授

使いやすさが特色健康面にも配慮

 名古屋芸術大学には、ガラスやプラスチック、メタル、写真など、扱う素材やメディアによっていくつか工房があります。木工房は、その名のとおり、木材を扱う工房です。ほかの大学でも同じような工房がありますが、本学の木工房には特色があります。一つ目は、これだけの設備を揃えている工房はそんなにない、ということだと思います。私が赴任した頃、30年前は、工房は今よりも狭く、設備も本当に素朴なものしかありませんでした。また、木工には、設備と同時に組み立てに使うクランプであるとか手で扱う工具が必要ですが、そうしたものも不足していました。時間はかかりましたが徐々に設備や工具を増やし、7年ほど前に集塵機能も整えました。集塵装置は、天井クレーンがあるため上から集めることができず床にピットを掘って、機械の下側から吸い込む凝った作りとなっています。また、建物もアスベスト対策で建材を変更しました。長い時間工房を利用しない学生にはさほど大きな影響はないのかもしれませんが、作業環境として健康面にも配慮した申し分ないものとなっています。

 もう一つの特色としては、たくさんの学生によって使い込まれてきた工房である、ということです。他の大学を見せてもらうと、すばらしい設備があり、工房の室内や空間は非常にきれいなのですが、使われていない、うまく機能していないところが多く見受けられます。加工設備には非常に危険なものもあるので、学生にはあまり使って欲しくないという理由もあるのかもしれません。本学の木工房には、専任の技術員がいて、常に工房全体が整備されています。また、工房を利用するための講習会やルールが設けられていて安全に利用することができます。木工所であれば、利用する人は、経験を積んでうまくなっていき危険も減っていくわけですが、大学の場合は、常に経験のない者たちばかりが作業するということになります。木を扱う作業場では、当然やってはいけないような常識を学生は何も知りません。木工房では、そんな経験のない学生を技術員が一手に引き受け、指導しながら一緒にものを作っていきます。常に学生たちに注意しながらやっていきますので、ときには厳しくやっているように見えることもあります。でも、こうしたことが、工房を使いやすい状態にしてくれているのではないかと思います。

 木工作業に、危険は付きものです。怪我の危険のあることなので、安全に使うための基本をしっかりと守って利用して欲しいと思います。

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