名古屋芸術大学

授業風景「ジュエリー1」

 メタル&ジュエリーデザインコース、2年生の授業にお邪魔しました。デザイン学部の場合、1年のファンデーションでデザインを総合的に学び、2年になって専門コースを選択します。そのため2年の授業では、もっとも基本的なこと、道具(糸のこ・ヤスリ・ロール・バーナー)などの使い方、金属の性質と加工方法を学びます。行われていた授業は、半期で銅板透かし(糸のこを使って地金に描いた模様を切りそこに模様を加える)、すり出しリング(シルバーの角棒を曲げて形を作り、ヤスリで模様をすり出す)、ロストワックス技法によるリング制作(ワックス(ロウ素材)で指輪の原型を作り鋳造する)の三つの課題に取り組みます。

銀の角棒を作る

通常は素材として角棒を入手しますが、基本的なことを知るために角棒を作るところから実技で行います。

1

小皿に素材を入れてバーナーで焙って溶かす

2

溶けた金属を型に流し込む

3

叩いて形を整える

4

金属ロール機を通して角棒の完成。これをさらにリングに加工していく

授業風景「指輪制作」

授業風景「指輪制作」

自由度の高い授業

 授業は10名程度の少人数で行われ、個々に講師に質問しながら進みます。取り組んでいる課題の進捗状況は各自まちまちで、それぞれに作業します。課題としては三つの技法で制作することになっていますが、作りたいもののイメージが明確にある場合、講師と相談しながら、多少、発展した内容であってもイメージを優先して作っていきます。講師に作りたいもののイメージを伝え、アドバイスを受けながら作っていく授業のやり方は少人数ならではのもの。気軽に相談できる自由な雰囲気がとても印象的です。

丁寧に仕上げれば綺麗な作品に

 金属は叩いたり曲げたりすると硬くなり(加工硬化:結晶内に歪みが生じ硬くなる)、熱を加えると軟らかくなります(焼きなまし:結晶の歪みを取り綺麗に整列し直し軟らかくする)。焼きなましをすると、金属は空気と反応し、酸化や窒化して化合物を作り表面に変色した被膜を作ります。加工する時にその被膜を内部に取り込まないように落とす作業が必要になります。「加工」-「焼きなまし」-「酸洗い」-「加工」-「焼きなまし」-「酸洗い」……と、サイクルを繰り返し、イメージ通りの形を作っていきます。丁寧にやればやるほど金属の表面は綺麗に仕上がるため、自ずと自分の作品に集中することになります。

銅板透かしでペンダントを作る。銅板に下絵を描き、糸のこで切り抜いていく。糸のこの確度や力の入れ方など、丁寧に扱わないと糸のこがちぎれてしまう。細かいところやカーブの付いているところは特に慎重に

切り抜いたあとは、ヤスリをかけて綺麗にする。表面に模様を付ける場合、金槌や木槌で軽く叩く。使用する道具や台によって模様は変化する。たがねを使って模様を彫り込んでいくこともできる

▲ページの先頭へ