名古屋芸術大学

先生、教えて!「ジュエリーの魅力ってなんですか?」

寺本眞知子

非常勤講師

ジュエリー工房には良き伝統がある!?

ジュエリー工房も誰が使ってもいい共通工房ですよね。利用には何か資格やルールはありますか?

 現状ではさほど多くの人数の学生が使っているわけでもないので、わりと自由に利用できるようになっています。授業を見ていただいたように二年生の授業ですが周りに四年生が卒業制作を作りに来たりしています。その先輩方から機械の使い方を教わったり聞いてみたりしながらやっています。私がこの大学に来て教えるようになる以前から先輩が後輩に教えるという伝統が続いているようで、現在もそれが引き継がれています。先輩が作っている作品を見ながら、でも授業を受けている二年生が優先的に機械を使って、そんなふうになっています。四年生の卒業制作やこれまでの作品を見ることで授業を受けている二年生への刺激になります。勉強になるし良いことだなと思います。自分がこれからどんな作品を作っていいけるかイメージしやすいと思います。

少人数の授業の良さをとても感じました。

 今年の二年生は11人なんですが、自由に使えるし目が届きます。二年生では課題が三つありますが、どういう順番で作ってもいいですし、あくまで課題に準ずるのですが自分で作りたいものがあれば多少課題からずれていってしまってもそちらを優先してできるだけ対応するようにしています。課題じゃないものを作りたいという意思もできるだけ尊重してあげようかなと思っています。

“作りたい”を尊重

自由に作りたいものを選んでかまわないんですか?

 駄目と言ったら、止まっちゃうんじゃないかなというような気がしています。技術は重要ですが、技術を身に付けるだけではなくそれ以上のことやその先の考える部分を身に付けて欲しいので、作りたいものを優先してあげないと、と考えています。そのため緩やかに、学生一人一人に対応してそれぞれの問題に取り組んでいくというような形を採っています。職人を育てる専門学校ではなく、芸術大学として自分が発想したものを形にするための技術、それについては教えますというスタンスですね。必要になったらその時に技術を覚えればいいという考え方でしょうか。根本的な発想を大事にしています。

学生の作品を見てどのような感想ですか?

 ジュエリーというものは、オブジェではなく、あくまでも身に付けるものなので、そのため技術は絶対に必要です。また、商品としての側面もあるので職業になった場合には金額であるとかさまざまな制約を受けます。だた、学生のうちは、余計なことは考えずに思ったまま、とことん表現したいものに向かっていけばいいのではないかと思っています。何を見て、何を感じて、何を作るか、その筋力を学生の間に十分に養ってほしいと思います。そういう点で、私では考えつかないようなものもありますよ。私自身、気持ちをツンツンとつつかれるような刺激を受けています。学生たちと一緒にやっていないとなかなか味わえない気持ちですね(笑)。

ジュエリー工房には、独特のおおらかな雰囲気がありますね。

 やりたいことをやっているという純度が高いからか、作りたいという気持ちが皆強いからなんでしょうかね(笑)。

授業風景/生涯学習「誰でもできる、オリジナルジュエリー講座」

 全9回の講座で、2年生の授業と同じように、すり出しシルバーリング制作、透かし技法でアクセサリー制作、スタンプワーク制作(鉄の刻印を制作し真鍮と自作の刻印でアクセサリーを制作)と三つの作品を制作します。取材日は最終回。時間めいっぱいまでかかり作品を仕上げ、修了証を受け取りました。授業のやり方も学生の授業と同じで、各自の課題を講師と相談しながら進めていきます。“作りたい”が強く、少々課題から逸脱してしまうような相談でも快く対応し、テキパキと指示を出す講師の姿が頼もしく映りました。和やかな雰囲気の中にも、熱心に取り組んでいる受講生たちの様子が印象的でした。

ブレスレットを曲げているところ。木の台にあてて適度の大きさになるように曲げていく

銅や真鍮は、入浴剤の六一〇ハップにつけ込むと硫黄と反応して黒い被膜ができ、落ち着いた風合いに

焼きなましをすると表面に酸化膜ができるため、シルバーなどは希硫酸で酸洗いし酸化膜を落とす。手順を守って丁寧に作業することが綺麗に仕上げるコツ

ハンドドリルを使って2種類の金属をねじる。綺麗な縄状になった。このあと曲げてコンビのリングに

▲ページの先頭へ