名古屋芸術大学

リベラルアーツコース

キーワード

芸術 × 教養 = 新しい発想

どんなことが学べるか

リベラルアーツを支える5つのリテラシー

※1 リベラルアーツを支える5つのリテラシー

  • さらにゲストを招いての特別講義(4年間で30人)
  • 異文化体験、海外研修、レビュー、プロジェクト

どんな人になれる?

  • アートを理解し豊かな発想力を持った人
  • 言語と情報のスキルの高いコミュニケーション力のある人
  • 企業や組織の中で芸術文化の架け橋を築く人

想定される就職先

一般企業の企画・広報担当や総合職、代理店、IT関係、コミュニケーター、プロジェクトコーディネーター、シンクタンク、コンサルタントなど

講師インタビュー

茂登山清文

デザイン学部教授

「電子ネットワーク社会におけるコミュニケーション」をテーマとして、ヴィジュアルリテラシーを中心に、ひろく視覚文化について研究

1951年
神奈川県生まれ
1974年
京都大学工学部建築学科卒業
1981-82年
パリ第6建築大学(現ラ・ヴィレット建築大学)留学
1983年
京都大学工学研究科建築学専攻博士課程満期退学
1984年
名古屋芸術大学美術学部講師をへて助教授
1998年
名古屋大学大学院人間情報学研究科助教授
2003年
同情報科学研究科・情報文化学部准教授をへて教授

名古屋大学では、文理融合系の大学院・学部で教えるとともに、教養教育において芸術系授業のコーディネート、ギャラリー運営をおこなってきた
2016年より現職
主な著書に『可視化の図学』(共著)、『情報デザインベイシクス』(共著)など

-最近では、デザインを重視した商品が増えたり、あいちトリエンナーレやアートによる町おこしなど、企業や社会でアートの果たす役割が増えて来ているように感じます。リベラルアーツコースでは、社会とアートをつなぐ役割について学ぶことができると考えていいですか?

 全般的なことを満遍なくとはいわないですが、今の社会で求められている知見と技術、そして思考力を教えていこうと考えています。日本の総合大学で芸術分野を教えているのは日本大学くらいしかありませんし、逆に芸術大学で総合的な「教養」を学ぶことのできる大学はごくわずかしかありません。リベラルアーツコースは、芸術大学の中に「社会」を招き入れて、複眼的なものの見方やコミュニケーションの力をつけるようにしていこうと考えています。

-どんなカリキュラムになりますか?

 具体的にはここにある※1 5つのリテラシーです。視聴覚(ヴィジュアル、サウンド)に加え、コミュニケーションに不可欠な言語、それから情報です。特に、図の下側の、日本語、英語、情報の3つは、現代、生きていく上で必須ではないかと思っています。この中でも、特に重要なのが日本語ですね。名古屋芸大の学生は、感覚的には優れていると思いますが、普通にコミュニケートするような喋りが得意じゃない学生がいます。人によっては文字を見るとお腹が痛くなるというような学生もいます。ちょっとしたレポートを書かせるのも大変で、可愛そうだなと思う時があります。作り手ならばそういう人もいるかなと思いますが、リベラルアーツではコミュニケートできるようにすることを大切に考えています。その時に、ヴィジュアルやサウンドを活用することも大いに有効ですよね。

-どうやって授業はすすめていくことになるのですか?

 リテラシーでは、それぞれ個別にツー・ステップ、そしてその後にそれらを融合させた授業と、合計三段階の演習・実技を組んでいます。
 「ヴィジュアル」の授業では、はじめに写真を使いながら、ふだん気づかないことを発見し、それらを観ることの楽しさを知ってもらいます。その次の段階として刷り物や映像の基本的な技術をしっかりと学びますが、これは社会では必須ですね。さらに音やプログラミングとクロスさせながら、より高度な表現も身につけていきます。
 「情報」では、全学共通の「情報メディア演習」に加え、コミュニケーションの基礎となるプレゼンテーションと大判のポスター制作をおこないます。それらは、企業や組織のなかでアイデアをまとめ、伝えるための重要な手段です。ウェブ作成やSNSの活用、それにネットワークを利用するにあたってのポイントも学びます。
 2年次、3年次の夏には、全員が参加してレビューをおこないます。これは私が以前いた時に始まったデザイン領域のものも参考にしているのですが、作品を並べるのではなく、一年間の調査や研究の成果を、ポスターとスライドを使いながらプレゼンします。オーディエンスとのやり取りのなかで、フィードバックを得ながらコミュニケーションしていくのです。
 最後は、これまで習得してきた基礎をベースに、少人数ゼミやプロジェクト型の授業を行い、スキルの向上と、発想する力、人やものをコーディネイトする力を伸ばします。そうしたことを経験する中で、自分が取り組むテーマを見つけ卒業論文をまとめる。これが4年間のカリキュラムですが、最終的なテーマは、それこそ自由な発想でユニークなことや人と違うことやってくれればいいなと考えています。

-どんなスタッフが担当するのですか?

 私と言語学の早川先生、人類学の茶谷先生、それにメディアの津田先生がコアとなり、他に英語ネイティブの先生たちや、情報や心理学など、名芸大の多彩なスタッフが加わっています。
 外部からの講師として、まず名古屋大学を始めとする先生たちに来ていただきます。知の最先端を担う学者たちの、興味深い講義に大いに期待してください。次に、地域や社会という現場で、文化の役割や経済との関係を視野に入れて活躍している実践家たちがいます。そして、ヴィジュアルやサウンド、情報では、若いクリエーターたちが刺激にみちた授業を展開してくれるはずです。

-茂登山先生は、これまで名古屋大学で一般大学に「芸術」を持ち込むということをされていました。そこではどんなことがありましたか?

 芸術とはあまり縁のなかった学生たちですが、芸術への関心の高さを実感しました。必修ではなかった芸術科目を全学生の1/3程が履修し、芸術科目は人気の授業になりました。芸術が社会に求められているという事実に、大学が上手く応えられていないということではないかと思います。名古屋大学の学生は、名古屋芸大の学生にくらべ芸術的な素養は低く、趣味の延長のような軽い気持ちで履修する学生が多いのですが、やっていくうちにだんだんとわかっていき、高度な考え方へと変わっていきました。そのことに大きな手応えを感じました。今回、名古屋芸大で行うことはその逆で、社会のことをいろいろ考えている人たちを大学に入れて、大学の中に小さいけれども社会を作りだし、それと芸術家たちが接することでいい効果が生まれるのではないかと期待しています。今回、リベラルアーツコースでは、名古屋大学で力になっていただいた先生方にも多く協力いただいています。先生方も、学生たちとつながりが濃くなりそうで楽しみだ、と話しています。

Philosophia et septem artes liberales Herrad von Landsberg - Hortus Deliciarum, 12 c.

「リベラルアーツ」という言葉は、古代ギリシャに起源を持ち、「人を自由にする学問」を意味します。自由人たる人が持つ必要のある学問として、文法学・修辞学・論理学の3学と、算術・幾何・天文学・音楽の4科を合わせた自由七科を基本とし、自由七科を統治する学問として哲学が位置づけられていました。この理念を現在社会と芸術に置き換えたのがリベラルアーツコース。芸術を理解するジェネラリストのための教養を身につけます。

哲学者

戸田山 和久

特別客員教授就任予定

現在、名古屋大学教養教育院院長・情報文化学部教授を務める。科学哲学を専門とする哲学研究の第一人者。『論文の教室』『知識の哲学』『哲学入門』『「科学的思考」のレッスン』ほか著書多数。

「今の自分の欲求とは違うようだけど、自分の外に厳然としてある」尺度を哲学では「真善美」と呼んできました。科学でも美術でも、人はそんな尺度をわかりたくて勉強します。自分のちっぽけな好みとか欲求とは別の尺度がこの世にあると知っていることは、とても重要です。自分で美しいものを生み出すのも素晴らしいですが、人が生み出した美しいものをきちんと評価し、守り伝えていく活動をサポートすることは、同じくらい大切です。

言語(英語)リテラシー

早川 知江

准教授(言語学)

 学生が気軽に研究室を訪れられるよう、卒業生の作品を壁に飾ったり、居心地のよい雰囲気作りを工夫中。「いつでもウェルカムです」

サウンドリテラシー

日栄 一真

非常勤講師(サウンドアート)

 大学で教鞭を取りながら、サウンドアーティストとして展示会・イベント等で活躍中。クラブDJの顔も。「楽しむため、いろんな経験をして欲しい」

情報リテラシー

遠藤 麻里

非常勤講師(情報デザイン)

 情報文化を学び建築家として活動した後、再び大学院へ。情報技術の力を使い、街のデザインを良くするのが目標。「失敗してもいい、まずやってみて!」

茶谷薫

担当科目:「異文化体験」「セミナー」「卒業研究」

マクガイア・スティーブ

担当科目:「英語プレゼンテーション」

中村登志哉

担当科目:「国際社会論」

山田珠実

担当科目:「身体と言葉の表現」

津田佳紀

担当科目:「情報と芸術」「プロジェクト」

秋庭史典

担当科目:「芸術と科学」

加藤智也

担当科目:「情報リテラシー」

原田裕貴

担当科目:「サウンドリテラシー」

伊藤優子

担当科目:「芸術と社会」

古池嘉和

担当科目:「文化と経済」

竹内創

担当科目:「メディア論」

酒井健宏

担当科目:「ムービー制作」

古橋敬一

担当科目:「地域文化論」

加藤聡一

担当科目:「現代文化と思想」

高橋知世

担当科目:「社会調査法」

久木田水生

担当科目:「論理的思考」

入試情報

4年間のカリキュラム

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