フジプレコン × インダストリアル&セラミックデザインコース 余剰コンクリートを活かした新たなプロダクト開発 コンクリートに新たな表現を

 2024年から進めて来たインダストリアル&セラミックデザインコースとフジプレコン株式会社様と連携、余剰コンクリートを使ったプロダクトの提案ですが、これまでに後藤ゼミで考案した「U字溝フォントとU字溝を使った文具」、小林由奈さんのチーズの形をした「チーズスタンド」の2案を、フジプレコンにて制作していただきました(→関連記事 →関連記事)。試作品をJIDA(公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会)「NextEcoDesign展 2024」(2024年12月4日~6日:東京ビッグサイト)に出展、また連係の取り組みが日刊工業新聞、建設通信新聞などでも記事になり、大きな反響を得ることができました。

 卒展開催中の2025年2月19日(水)、フジプレコン 松林克法代表取締役社長に制作したサンプルをお持ちいただき、プロダクト化に向けての最終調整を行い、デザインの方向性、商品化に向けた課題、今後の展開について話し合いました。また、さらに新しいプロダクトについての提案を行いました。
 はじめに、「U字溝フォント」と「チーズスタンド」の確認。チーズスタンドでは表面の粗さについて、意匠的な価値を持つ一方で粗すぎる部分が品質問題と受け取られる可能性もあり、自然な風合いとして生かす部分と表面処理すべき部分の折り合いが確認されました。U字溝フォントでは、どの向きにでも積むことができるという点で、数字の「4」や「7」、アルファベットでは「T」や「Y」などの形状について、安定感や置いたときのバランスなど再確認されました。「NextEcoDesign展 2024」でもデザイナーから、建築家にとって魅力的なアイテムになるのではとの声があり、使用例の提示やさらなる使い方のアイデアや見せ方など、建築業界へのアピールの方法やデザインコンペの企画など、松林代表から検討中のアイデアが説明されました。

 新しいプロダクトの提案は、インダストリアル&セラミックデザインコース2年 井沢麻那さんの雲の形をしたオブジェと安江茜里さんのスイーツをモチーフとした一輪挿しです。井沢さんは、「軽い雲を重いコンクリートで表現するコンセプトで、ふわふわとした雲のシルエットをベースにしつつ、コンクリートの無機質な質感を活かして対比を生み出し、ブックエンド、一輪挿し、テープカッターなど考えました」と説明し3Dプリンターで制作したモックアップを披露、大きさを変えて屋外のベンチやオブジェとしての可能性についても説明しました。安江さんは「コンクリートとスイーツという異質な組み合わせで、ユーモラスなアイテムができる。日々の生活にちょっとした面白さと可愛らしさをプラスしたいという思いです」と説明、ショートケーキ型とロールケーキ型の2種類を提案しました。上下に開けられるようにして小物入れにしたり、パステルカラーの塗装が合いそうと、アイデアが広がりました。どちらのアイデアもコンクリートという無機質で重厚な素材に柔らかく軽いものを表現するというコンセプトで、コンクリートがアートやインテリアの分野にも広がる可能性を示すものとなりました。

 打ち合わせの後は、後藤規文教授の案内で、インダストリアル&セラミックデザインコース、カーデザインコース、スペースデザインコースの卒業制作を見学しました。フジプレコンの皆様からはそれぞれの作品に感嘆の声が上がり、十分に展示を楽しんでいただけた様子でした。

 打ち合わせは終始和やかに進み、U字溝フォント、チーズスタンドとも、商品化の手応えを感じておられるようで、今後の進展が楽しみです。また、新しい提案についても、質感や使い勝手の検討を重ねながら商品化の方向を探っていくこととなります。ご期待ください。