• 「就職活動における化粧や服装などの身だしなみのスタイルについて」

大前柚馨さん

就職活動における身だしなみ、とくに化粧を中心にその歴史を述べ、アンケート調査により身だしなみがどのように捉えられ重要視されているかを明らかにする

会社は意外にも就活生の身だしなみは自由で良い、と思っている、という結果が特に面白いものでした。大前さんのこの研究があったからこそ、卒業研究発表会の服装はスーツ統一ではなくなったかもしれません。

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• 「ファンの『推し活』からみる『推し色』の意義」

菱田明日香さん

アイドルや俳優、漫画キャラクターなどの「推し」とそのキャラクターにまつわる「色」の関係に着目、「推し色」を選択するファン心理や「推し色」を身につけることの意義を考察

好きなキャラクターや芸能人のイメージカラーにちなんだグッズを揃える、という「推し活」、「推し事」については、これからも重要なテーマです。次は、売る側になる菱田さんの新たな調査を期待したいです。

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• 「SNSアイコンを通した著作権の考え方」

新野美姫さん

他人の作った画像を無断で自分のSNSアイコンに使用することは著作権侵害に当たるが、そこには著作権者を応援する目的が多いことを明らかにし、私的利用の範疇であるとして新たな提案をした

作り手として無断で自作アイコンを他者に配られてしまった、という苦い体験から、ファンも制作者もみんな幸せにアイコンを使うにはどうすればいいか、という提案に発展させたことが素晴らしい。

• 「コミュニケーション教育としての演劇　-日本の教育に演劇を取り入れることの効果と課題について

加藤愛梨さん

演劇を「創る」「鑑賞する」という活動を通して「認識能力」「話す」「読む」「書く」といった能力を養う「演劇教育」を日本に導入するための問題点を考察

演じるには、演じる役、他者を知り、自己の何かを重ねていく作業が必要です。言葉は国語、動きは体育、衣装や舞台は家庭科や美術、BGMは音楽、と総合的な学びができるはずの演劇が日本であまり重視されていないことは本当に不思議です。

• 「コンテンツのサブスクリプションサービスの特徴とマーケティング」

山口貴広さん

音楽と映像のサブスクサービスにおいて、求められるサービスの内容を調査し、それらを反映した新サービスと従量制と定額制を織り交ぜたサービス形態を提案

サブスクサービスで音楽家はどのくらい利益を得て幸せになれるのか。音楽好きの山口さんが抱いた疑問から始まった研究は、ブラックボックスに突きあたりましたが、新たな視点で、興味深い提案ができました。

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• 「現代における宇宙に対するロマンティシズムの必要性について」

山川朋香さん

星座神話や占星術などの文化が存在する理由を「宇宙にロマンを感じるから」と仮定し、なぜ人間は宇宙にロマンを感じるのか、現代においてその必要性は何かを考察

宇宙に関し、科学的関心を抱くことと、ロマンを感じることは関係していて、ロマンティシズムは科学と両立するか、科学を発展させる可能性を秘めている、という結論は宇宙以外にも言えそうです。

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• 「コミュニケーションメディアとしての“キャラクター”」

遠藤美月さん

キャラクターのコミュニケーションメディアとしての役割を明確化、具体的なメッセージの伝達よりも、共感や歴史を喚起する感情や記憶の表明に役立つ存在であると分析

キャラクターは単に可愛い、というだけではなく、さまざまな点でコミュニケーションの媒介役になることについて、東北大学大学院進学後も続けてほしい興味深いテーマです。

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• 「まちと人を繋げるジャズ -ジャズの街岡崎を事例として」

齋藤伊織さん

岡崎市で行われている地域振興「ジャズの街岡崎」を事例に、ジャズが地域にもたらす影響、文化施策を明らかにし、新たなジャズシーンの提案を行う

芸術が地域振興にもつながる、ということは日本ではまだまだ未発展。だからこそ、ジャズが好きという気持ちから始まった齋藤さんの研究は今後も重要になるでしょう。

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• 「『河童』のイメージの推移」

浅井朋美さん

おそろしい妖怪として捉えられていた河童が、現代では可愛らしくデザインされ親しみのある存在として受け入れられている。その変化の変遷を探る

豊田市美術館の「百鬼夜行」展でも描かれたように、不気味だった水妖としての河童が、どうして今の可愛らしいキャラクターに変わったのか。深掘りすればするほど引き込まれる沼のような魅力があります。

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• 「服を着る理由はあるのだろうか」

加藤あんさん

インタビューはこちら

人間が衣服を着る理由を身体との関係性から述べ、衣服の必要性を検証したうえで、裸であることの意味を問い直し、衣服の未来を考察する

「裸」というファッションの未来の到来を論証しようと試みた挑戦的な研究だ。
　その論旨は以下のようだ。まず、服を着る意味として一般に了解されているシェルター機能や社会的記号性は、今やその意味が薄れていると言う。続いてファッションがこれまで体現してきた「理想の身体」、さらに境界としての衣服もまた、身体それ自体の加工へと道を譲ると指摘する。そして「露出」というキーワードへとたどりつく。
　参照項は、人類学、文化社会学、現象学の知見から、ファッションデザイナーの言説、現代の動向まで多岐にわたる。文献講読と調査にもとづいて縦横に展開された論文は、芸術教養領域の研究のひとつのあり方を示していると言えよう。同時に、スリリングなストーリーを支えている、加藤あんさんのたぐい稀なヴィジュアル感覚にも注目していただきたい。（コメント：茂登山清文教授）

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