第49回 名古屋芸術大学 卒業・修了制作展アーカイブ

 2022年2月18日(金)〜2月27日(日)の間、本学西キャンパスで名古屋芸術大学卒業・修了制作展を開催しました。
 新型コロナウイルス感染症拡大による非常事態宣言下、さまざまな防疫対策や安全に作品を鑑賞していただくための工夫を施した結果、多くのご来場、アクセスをいただきました。
 本特集では、特に優秀だった作品をピックアップ、卒展運営のキーパーソンのコメントと共に、名古屋芸術大学卒業・修了制作展を振り返ります。

第49回名古屋芸術大学卒業・修了制作展を振り返って

芸術学部長/デザイン領域 教授 萩原周

芸術学部長 デザイン領域 教授 萩原周
 昨年に引き続きコロナ禍での卒業・修了制作展です。昨年、コロナによって社会や情報から少し距離を置き、個々がじっくりと自身の作品に向き合った結果、よく練られた作品になったということをお話ししました。条件としては今年も変わっておらず、やはりそうした作品が目に付いたように感じます。一方で、特別客員教授の手塚貴晴さんをお迎えしたスペースデザインコースの講評会では、「おまえら、壊れ方が足りない」と作品に対するエモーショナルな部分への指摘があったようです。作品に向き会い調和させて落とし込むという丁寧な作りの良さがある半面、冒険から離れ作品をきれいにまとめてしまった側面もあったのではないでしょうか。もっとわかりたい、もっと理解したいと、どんどん沼にはまり込んでいくような経験は、学生時代にぜひ体験して欲しいことのひとつです。作品として少々破綻しているようなところがあっても、教員側は評価できるのではないかと思います。冒険的なレベルに至ってこそ面白いものが始まるのではないでしょうか。そういった意味では、アートクリエイターコースなどうまく学生に力を発揮させているように感じました。
 展示としては、キャンパスで展示するようになって今回で5回目ですが、キャンパスを使うという条件をかなり高いレベルで消化してきていると感じました。これまで規模や見せ方について展示の方法を模索してきましたが、とりわけデザインのU棟や美術のZ棟の展示は、はっきりとその答えを出してきたように感じます。特にU棟のイラストレーションコースの展示はかなり労力がかかったのではないかと想像しましたが、担当した先生によりますと、昨年から部材を用意していて、出来上がりから想像するよりも少ない労力でできたとのこと。会場作りまでを含めて自分の作品として取り組んでいることがよく伝わり、学内開催の意図が上手く消化されているのではないかと思います。
 少々気が早いですが、来年度は第50回記念の開催となります。また、音楽領域ではこれまでコースごとに独立して開催されていた卒業・修了公演を統一タイトルを冠して展開することも計画されています。西キャンパスでは、芸術教養領域や文芸・ライティングコース、メディアデザインコースなどの文章表現、映像作品など閲覧するだけでも一定の時間を必要とする作品があり、そうしたコンテンツを観るための新たな枠組みも必要です。会場とは別のメディアで発信できる仕組みを作っていかなければと考えています。いずれにしても第50回の記念にふさわしいものになるよう考えていきたいです。

制作者インタビュー