愛知県芸術文化選奨 文化新人賞を川田健太郎講師、水野里奈氏が受賞

 令和3年度 愛知県芸術文化選奨 文化新人賞を本学 音楽領域 鍵盤楽器コース 川田健太郎講師と、本学洋画コースOGで昨年度まで洋画コース 非常勤講師を務めた水野里奈氏が受賞しました。愛知県芸術文化選奨は、芸術文化の各分野においてその向上発展に貢献し、業績が顕著な個人・団体に贈られるもので、昨年度はコミュニケーションアートコース 荒木由香里 非常勤講師が、同じく新人賞を受賞しています。
 受賞したお二人にお話を伺いました。

川田健太郎

川田健太郎

音楽領域 鍵盤楽器コース(ピアノ)講師

 ソリストとして、東京フィルハーモニー交響楽団、東京ニューシティ管弦楽団(2022年度より「パシフィックフィルハーモニア東京」に名称変更)、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、大阪交響楽団、九州交響楽団など、日本の主要なオーケストラと数多く共演。
 クラシック音楽のみならず、NAOTO、辛島美登里、中村中、三浦大知、家入レオ、中川晃教、藤原道山など、ジャンルを超えたアーティストとの共演を重ね、フレキシブルな活動を展開している。

おめでとうございます。

川田健太郎
 名芸で教えるようになって2年になりますが、一緒に受賞させて頂いた方達には、能楽師や舞踊家、画家、書道家などさまざまな芸術分野の方々がいらして、そうした方たちと共に受賞させて頂けたことも、とても光栄に思っています。
 県庁での授賞式で受賞理由をご説明頂いたのですが、ジャンルの枠にとらわれないこれまでの活動が評価されたとの事でした。私の専門はクラシック音楽で、自分としても勿論クラシックの比重が大きく、プライドを持って活動してきました。その軸を深めていく上で、さまざまなジャンルの方々ともかかわりながらクラシックという分野を広げていき、クラシック音楽の聴衆が育っていく一助となる活動に繋げられたらなと常日頃思っています。。自分の方針として、ジャンルにとらわれない活動というのは以前から心掛けてきたことなので、そうしたところを評価して下さったことはとても嬉しく思います。  これまで受賞した音楽の方々は本当に素晴らしく、将来を嘱望されているような演奏者、クラシック一筋といった方々ばかりですが、自分のようにジャンルを広げて活動しているものも評価して下さり、柔軟な考え方をされていることにも感銘しました。

今後についてはいかがですが?

 コロナ禍の世の中で、いつ感染するか、いつ濃厚接触者になるか不安を抱えながら準備をしなければいけない。全ての演奏家の方々もそうした難しい中でモチベーションを保ち活動していると思いますが、徐々にコロナと社会の付き合い方が見えてきたのかなと感じます。ワクチンの3回目接種も始まり、現在は一応会場の100%までお客さまを入れられるようになってきています。
 音楽業界もオンライン配信とのハイブリッド方式での開催など、いろいろな試行錯誤を続けてきました。名芸でも、大学主催公演でサウンドメディア・コンポジションコースによる配信がコロナ流行と共に直ぐに始まりましたが、先生方の対応もスピーディーでクオリティーも非常に高い。学生たちも非常にいきいきと取り組んでいるのを見て、名芸の強みだなと感じています。こうした難しい状況となってもフレキシブルに対応出来る名芸に、我々も演奏系コースの学生も非常に勇気づけられましたね。音楽の聴衆への届け方も様々な形で大きく変化していくかと思います。名芸では、学生たちがいろいろなジャンルを学んでいますが、異なった領域の学生の横のつながりが強みだとあらためて思っています。

水野里奈

水野里奈

美術学部 洋画2コース 卒業
2021年まで美術領域 洋画コース 非常勤講師

2012年
「視界に移り住むとき」H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI、東京
taimatz、東京
2013年
「Dazzle Painting」taimatz、東京
2014年
「庭にはびこる」丸ビル7F ロビー、東京
2015年
「入れ子状の蜃気楼」taimatz、東京
2016年
「絵画とドローイングの境界線」第一生命ギャラリー、東京
2017年
「ARKO2017 水野里奈」大原美術館、岡山
2018年
「入れ子の繋がり-nested structure-」六本木ヒルズA/Dギャラリー、東京
「水の結びめ」ギャラリー桜林、茨城

おめでとうございます。

 ありがとうございます。自分でもうれしいですし、何より家族が喜んでくれたことが良かったです。創作活動はひとりではできないことなので、支えてくれた夫や両親への恩返しにもなったのではないかと思います。心配させてきたというか、この道でやっていきたいと突き進んできたので、受賞という目に見える形になったことは良かったなと思います。

ご自身の作品について教えて下さい

 一枚の絵にいろんなものを含みたいと思っています。大きく3つありまして、油絵なんですが、水墨画のような墨のタッチのように見える日本的な要素。それから、中東に細密画(ミニアチュール)という絵がありますが、すごく細かくて油絵具の表現とかけ離れています。それを油絵で表現したい。もう一つ、水墨画のような勢いのある表現と細密画のような細かな表現を使った強い画面を作ると、描きすぎてしまう懸念があり、描ききるのではなく、キャンバスの生地の感じを残すように心がけています。そのため、キャンバスの素材にこだわり、通常は下地に白い塗料が塗られていますが、生地のままの特殊なものを取り寄せて使っています。日本と中東、素材はヨーロッパと、いろいろな国のエッセンスを組み合わせて、インパクトの強い作品ができたらいいなと思って創作しています。  在学中にブライトン大学へ短期留学し、その間、ヨーロッパやトルコでたくさんの美術館を見ることができました。教科書で見たものも、本物を見ると印象がすこし違って、とても勉強になりました。絵の具の照りの感じや作家の癖のようなもの、筆の運びやどんな順番で描いていったかなどじっくりと観察することができ、勉強になりました。  講師の仕事は3月でいったん終わり、今後は創作に専念したいと思います。

青い宮殿

「青の宮殿」
2019年キャンバスに油彩、ボールペン194×521cm
高橋コレクション蔵
撮影:宮島径
©︎MIZUNO Rina
Courtesy Mizuma Art Gallery

森の中の泉

「森の中の泉」
2021年181.8×227.3cmキャンバスに油彩、ボールペン
©︎MIZUNO Rina
Courtesy Mizuma Art Gallery

羽と花

「羽と花」
2021年100×80cmキャンバスに油彩、ボールペン
©︎MIZUNO Rina
Courtesy Mizuma Art Gallery