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「自作製本機」「本革製本」「人魚の像」

小笠原碧Midori OGASAWARA

アクリルガッシュ 色鉛筆

自作製本機

製本における糸綴じ段階の状態

本革製本

中世から伝わる丸背上製本と呼ばれる手法
外装は主に牛や羊
紙は使わなくなったルーズリーフ

人魚の像

幼い頃から大好きだった“神話や童話に出てくる人魚”のイメージを形にした
ボディは石粉粘土
鱗の部分はスパンコールをオーガンジーに刺繍したものを貼った

 授業で活版印刷や装飾写本といった存在を学んだことをきっかけに「本のつくり」に魅了され、洋製本を試みる ようになりました。
 紙を折り、糸でかがり、圧縮し、接着し、測り、切り落とし、革を張る。その工程におけるミリ単位の世界にはまるで 神経質になります。しかし、刺繍においてもですが、そういった「一つのズレがのちに致命的なズレになり、そ うなったらイチからやり直さねばどうにもならない」というところにこそ、私は惹かれるのです。
 当たり前のことですが、どんなに素晴らしいできごとや考えをもっていても、残そうとしなければ残りません。 残らなければ伝わりません。だからこそわざわざ手間暇かけて形として残す「本」は、時や距離を超えた遠くの 誰かへ「伝えたい」という想いの集合体であるといえ、 製本はそれを一つ一つ綴じ込める行為なのです。 人から人へ受け継がれてゆける紙媒体の良さは、きっと この先どんなに電子化がすすもうと失われることはないはず。そんなことを願いながら作りました。