名古屋芸術大学

NUA OB

朝治正仁(あさじ まさひと)

株式会社 CBCクリエイション
技術センター
CGデザイン部課長代理
チーフ・デザイナー

https://www.facebook.com/masahito.asazy

1973年
愛知県生まれ
1997年年
美術学部デザイン学科卒業
1997年年
株式会社 CBCクリエイション入社

<主な担当番組>
●イッポウ●ゴゴスマ●花咲かタイムズ●サンデードラゴンズ●スーパーグランパスTV●スジナシ●ノブナガ 他

プロフェッショナルの仕事場

 テレビのバラエティ番組などで表示されるテロップ、情報番組で表示される地図、ものごとをまとめたフリップ、ニュースで事件のあらましを伝えるCG映像など、これらを制作するのが、朝治さんの勤めている会社である。CBCテレビで制作される番組のテロップやCGを一手に引き受ける。放送という社会の公器に携わる仕事。当然ながら、時間にも、その内容にも、厳しい目が向けられる過酷な現場である。普段、仕事で詰めているCBC放送センターも見学させていただいたが、仕事の現場の生々しさがひしひしと伝わってくる。

 制作物をオンエア時間に必ず間に合わせなければならない。しかもそれが、日々、途切れることなく続く。ニュース番組の3D映像を担当する場合、毎朝9:30から報道の会議で、その日の夕方放送されるニュースで必要なCGが決まる。そのタイミングから3Dを作り始めて、夕方の4時くらいまでには仕上げる。当然時間に縛られるため、それほど手の込んだものは作ることができない。重要なのはその内容である。間違いがあってはならない。「説明用のCGだと、事象をすべて理解していないと作れません。担当の記者と話し合って原稿を見せてもらって、どういう状態でその事件が起きたのかきちんと裏をとってもらって作っていきます。伝える内容を具体的に理解していないと作れないので、しっかりと把握するようにしています。その場で、図を描いて確認しますが、報道なので思い違いやちょっとした間違いでもあれば大変なことになりますね」  現在は、10名の部員と契約社員の6名で、仕事を回しているとのこと。勤務時間は、変則的な、遅番や泊まりの勤務もあるという。「どうしても番組製作が重なる忙しい時期は、深夜までかかってしまいますね」

 学生時代に学んできたポスターや広告デザインは、現職のCGには直接的には関係は薄いかもしれないが、バランスや色の使い方など、画面に映る部分をトータルにコントロールするという観点では大いに役立っているという。入社した当時から、ビジュアルを専門的に学んできたことが自分にとっては大きなアドバンテージとなったと話す。そして、もう一つ、仕事をする上で大切なことを教えてくれた。それはコミュニケーション能力についてである。  「学生時代、課題で制作してプレゼンをやりましたが、あれは重要だな、とつくづく思います。自分の作ったものをディレクターにどうやってOKを出させるか、突っ込まれたときにどうやって答えるか、そういったことが本当に重要です。どれだけいいものを作れても、人にうまく伝えられないようではやっていけないです」 現場の現実として、特に時間の制約の厳しい放送業界にとって、コミュニケーション能力にたけていることは、場合によっては実力以上に重要視されるという。いくら作るものが良くてもうまく伝えられなければ、どうしても目に止まらないことになる。「良いものを作っていれば必ず評価されると思いたいのですが、実際の仕事の場ではそうではなく、手を挙げた者が勝ち、そんな感じが残念ながらあります」

 厳しい世界で仕事を続けていけるその根底にあるものは何かと問えば、「自分の作ったものがテレビに出る。オンエアされるということじゃないでしょうか」という。「スーパーインポーズに関して言えば、本当に1、2秒という一瞬。地図にしたって、その地図について説明している5秒程度ですよね。そんな一瞬なんですけど自分の作ったものが電波に載ってオンエアされる。そういうところが、自分にとっては大きな価値なんです」 放送と単なる映像作品では、制作者としての意識が違う。放送に載せるためには多くの人が関わり、幾重にもチェックが行われ、それをクリアしなければならない。「僕には、人と関わりながら作っていきたいという思いがあります。人と関わってやっていた方が、自分らしさが出るのかなと思っています」 プロの仕事を支えているのは初心ともいうべき純粋さといえそうだ。

CBC放送センター内、CGセンター。文字情報やCGはここで作成される。

最近の若い人たちは、皆、大人しい印象があります。仕事がもらえるまで待っているような……。若いうちは、もっとガツガツ来てくれてもいいのになあと思います。

YouTubeにアップされているDJやクラブの映像は、頼まれて制作したもの。趣味でやっているものだそうだが、見事な出来映え。
https://www.youtube.com/user/156asaZy

▲ページの先頭へ