工房の特色
学生なら誰でも利用できる“共通工房”
本学には、ガラスや版画、ジュエリーなど、さまざまな工房がありますが、木工房の特徴といえるのが「共通工房」というシステムです。例えば、ガラス工房はガラスの実習を行うコースを選択しなければ利用することはできませんが、共通工房は図書館と同じようにどのコースの学生でも使うことができます。大学としてこのような形式を採っていることはあまりなく、共通工房という制度自体が、本学(木工房)の特徴の一つとなっています。しかし、制度的に自由に使うことができるといっても、危険な設備もあり、実際の利用には一定のルールがあります。そのためにあるのが技術員による講習会です。
修了証を提示して工房を使おう
木工房には、工房専門の技術員がおり、設備の使い方や材料の使い方など、技術面、安全面について常に学生をサポートします。この技術員が講師となり、設備の使い方について説明するのが講習会です。木工房を利用したい学生は、この講習会を必ず受講しなければなりません。講習会は、基本的に、5月の連休明けから約1ヶ月間、開かれます(卒業制作で木工が必要になる4年生のため、特別に11月にも3日間だけ講習会が開かれる)。工房内の設備を危険度に応じてA、B、Cの3種類に分け、3種類の講習を受講しなければすべての機械を扱うことはできません。1ヶ月の間に3種類の講習を一回ずつ、合計3回受講すれば修了です。1度受講すれば学年が上がっても有効で、年度による更新などは不要です。講習を受講するとその証明に修了証が交付され、この修了証を見える位置に提示して工房を利用することになります。修了証は、受講した講習に応じて色分けされていて、扱っても良い設備が技術員に一目でわかるように工夫されています。例年、講習会を受講する学生は80〜100名ほど、ほとんどの場合が2年生の学生だそうです。
女性でも扱いやすい設備を導入
木工は、材料となる木材を運んだり、機械を使うにしてもしっかりと材料を押さえたりと、基本的には筋力が必要な作業です。力の弱い女性には不向きな作業なのですが、それをできるだけ補うような工夫もされています。設備の選択もその一つ。操作に力が必要な設備は切り替えられ、ボタンで操作できるようなものが設置されています。集塵設備なども改善され、扱いやすくなっています。
木工には不向きな加工にも対応できる!?
技術員の方に伺うと、思わぬ悩みも。「学生は、通常、木で作ることを考えないようなものを、木で作りたいと考えてきます。ときには、木工加工の常識から外れた制作方法が必要な場合もありますが、できるだけ知恵を絞って実現できるようにしたいと思っています」 木材加工をよく知らない学生が作品を作るわけですから、木工の常識から外れた制作をやりたいと思うことが起こります。技術員としては、設備に通常ではない負荷がかかることや安全面から避けたいことなのですが、ジレンマと闘いながらも相談に乗っているとのことでした。また、このような要求にも(あまりに外れたものは、ほかの材料で制作するように指導するとのこと)ある程度応えられる設備が用意されており、これまで制作された作品を見ればわかるとおり、さまざまな加工ができるようになっています。技術員の方にいわせれば、試されているような感覚で、「そうして覚えたことがたくさんあります。どうやって作っていいか考えることが面白いですね。学生のアイデアを、できるだけそのまま形にするよう心がけています」とのことでした。
じつは扱いにくい“木”という素材
作品だけでなく展示やパネルなど、急場のときに木材でなんとかしようと考えるのは自然なことですが、そう簡単にいかないのが“木”という素材なのだそう。「木で簡単にできませんかと、そうやって相談に来るんです。ところが、そうはいきません。木は身近な素材ではありますが、今の学生たちは木にちゃんと触れたことなんてほとんどありません。考えてみれば、住環境であっても漆喰と木でできた昔ながらの建物に住んでいる人なんて、今ではほとんどいません。“木”という素材は、思うほど身近ではなく、扱いやすいわけでないことを覚えておいて欲しいですね」
木工には不向きな加工にも対応できる!?
最後に安全面についてです。木をいとも簡単に切断する鋸やあっという間に削ってしまう鉋など、木工房には危険な設備がたくさんあることは、ご承知のとおり。これまでに、不注意や事故で学生が怪我をすることもないわけではありません。「ここ3〜4年、事故はないですけども、過去には事故もありました。慣れてきたあたりがこわいのと、学生が、指示した以上のことまで自分でどんどん勝手にやってしまうことがこわいですね」 萎縮してしまうことはありませんが、木工房の利用には、安全に最大限の注意を払い、ルールを守る必要があります。取材時(2月下旬)木工房では、卒業制作に黙々と励む学生の姿が印象的でした。自分の技術と創造と危険性の狭間でものづくりに取り組める場所が、木工房なのだとよくわかりました。自動鉋盤
自動鉋盤
軸傾斜丸鋸盤
横軸ボール盤
傾斜丸鋸昇降盤
普通旋盤
普通旋盤
ベルトサンダー
小型軸傾斜横切盤
軸傾斜横切盤
卓上帯鋸盤
卓上帯鋸盤
手押鉋盤
ボール盤
フラッシュプレス機
パネルソー
ラジアルボール盤
角のみ盤
卓上フライス盤
帯鋸盤
糸鋸盤
軸傾斜盤
木工正面旋盤
スパイラルサンダー
各種電動工具
各種エアツール