名古屋芸術大学

NUA Student

宇佐美容子(うさみ ようこ)

美術学部 陶芸コース 4年

「土」は、やったことがそのまま出ますね

陶芸を始めるまでの話を聞かせて

 子どもの時から絵を描くことが好きで、中学、高校の頃はイラストの方へ進みたいなと思っていました。高校生になって芸術予備校に通うようになって、そこでいろいろな領域の体験をしたのですが、立体が面白くなりました。当時の先生が造形作家のようなこともやっていて、その先生から伝統工芸とかも面白いよと教えていただき、だんだんそっち方面への興味が強くなりやるなら立体かなという考えになりました。

じゃあ、ご実家が窯元だとか器を扱っているとか、焼き物とは関係ないんだ

 四日市の普通の自営業なんですよ。萬古焼には頑張って欲しいです(笑)。

飾り瓦コンクールに出品した作品(2014年第8回飾り瓦コンクール 高浜市長賞受賞)もそうだけど、作品が大きいね。よくこんな大きいのを作ろうと思ったね

 面白いなという気持ちだけでこのサイズになっちゃいました。サイズを考えずに作っちゃったら学校の窯では焼けなくて、教授のお家の窯で焼かせていただきました。大きいのを作りたいんですけど、これから作るのは大変なのかなぁとちょっと心配しています。工房を借りたりするのかなぁ。どうしようかな……

もう4年生だけど、卒業後は? 作家さんになるの?

 卒業後は、就職して働きます。一応、就活もしてきまして半田市の瓦メーカーに内定をいただいているんですよ。瓦粘土を使うので、自分の作っているものと近いといえば近いです。

瓦コンテストの作品が評価されたのかな?

 そうですねえ、一応こういうこともやっていますと見せました。私は、「土」に関係するということで会社に行っていたので、共通した面で気持ちをわかっていただいたところもあるんじゃないかと思います。「土」好きアピールをしてきたので、そういうところ汲んでいただいたんじゃないかと。たぶん、全く、自分がやってきたことと関係のない分野の会社だったら、私じゃアピールするところがなくて難しかったと思いますよ。

自分のやりたいことができそう? 立体を続けていくには、ずっと作品を作り続けられる環境を確保することが大事だもんね

 社員の方で、趣味で自分の作品を作っている方もいらっしゃるようで、そういうお話も伺って、いい会社だなと。なんとかして、私も作品を作り続けていきたいと思っていますので……

作品のことを聞かせて。このフォルムはどこから出てきたの?

 寄り添う感じのイメージで作り始めて、最初は4つ割の形だったのが、もっと数を増やしてみようということで、たくさんのものが引っ付いているような感じになっていっていきました。形がカボチャやピーマンに似ているということで、一応ピーマンの模刻もしたりして、今度は動きのあるものをとやっていくうちにこうなってきました。

作り始める時にはきっちりとイメージがあるの?

 完成形のイメージは、なんとなくはあるんです。ひも状の粘土を積んで作っていくんですが、作っていくうちにその時の感情をわーっと込めていって、できた!という形なんです。結果、最初のイメージとは、全然違う形になってたりします(笑)。大きくて温かみのある感じのものが好きですね。

陶器って硬くて冷たいものじゃない。それを、温かくて柔らかい感じにしたいんだ

 そうですね。温かかったり丸みのある方が好きなので。小さい子がペタペタ触ってくれるようだったら嬉しいですよね。ろくろもやるんですけど、ろくろだとつい硬くなっちゃって、あまり好きじゃないんですよ。その点、手びねりだと気持ちが入りやすくて、思いが形に直に出てくるので、そこが面白いですね。今は、ただ作ってるだけなんですけど、見てもらうことを考えて、喜んでもらえるのはどんなことだろうなと思うとすごく難しいですね。これまでは、ただただ作って自己表現というか気持ちがこもったものができて、「好きーっ!」て感じだったんですけど、それを見てもらい面白いなとか喜んでもらったりするのはどんなのなんだろうなって思うと、難しいなって思います。

「だっこ」 2014年
素材:瓦粘土
第8回飾り瓦コンクール 高浜市長賞受賞
教授によくいわれるんですが、「ちょっといやだな、やりたくないなという日に頑張ってやる。そこでやるかやらないかで差が出てくる」やった分だけのことは、あとから付いてくるって信じたいです。

「団欒」 2014年
素材:信楽白土
W,D,H:写真右500,500,1100
写真左500,500,1050
(「団欒」を撫でながら)触ってほしんですよ。「よしよし」みたいな、「ポーン」みたいな(ペチペチと叩く)

「土」というのは、やったことをちゃんと返してくれるというか、正直です。丁寧にやればうまくいってくれるし。丁寧にやるっていうことを心がけています。

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