42号(2018年1月発行)掲載
子どもファンデーション(1年次)と4つのコース(2年次選択)、
8つの専門領域ゼミ(3・4年次)へ
人間発達学部 子ども発達学科では、2018年度入学生から新たなカリキュラムを導入します。1年次には「子どもファンデーション」で、子どもに関する幅広い知識と技能を修得、4年間の学びの目的と自分の興味を明確にし、なりたい自分になるための基礎を培います。2年次からは、「保育・幼児教育コース」「学校教育コース」「発達福祉コース」「子ども芸術コース」の4つのコース制を採り、専門に学び始めます。3・4年次には、8つの「専門領域ゼミナール」で、2年次の各コースの学びをさらに充実・発展させ、専門制をより深いものへと導きます。人間発達学部では、こうしたカリキュラムを経て得意分野を身につけ、自らの資質を磨きます。カリキュラム変更について、現在、準備の最終段階ですが、その背景と目的についてご紹介します。
人間発達学部長 教授
星野英五
子どもファンデーションについてお伺いします。芸術学部の全学総合共通科目のような、またデザイン領域のファンデーションや美術領域のアートクリエイターコースのような、いろいろ試してみて自分についてや将来について、考えるという目的なのでしょうか?
2年次から、4つのコースに分かれますが、その土台となる部分ですね。自分はどこが向いているのか、明確にして欲しいと考えています。時代の流れといいますか、今後、保育士資格も幼稚園教諭と同じように1種、2種と分かれることも考えられますし、保育所だけでなく乳児院や児童養護施設などで働く施設保育士など、保育といっても幅広くそれぞれに専門制が求められるようになっていくと考えられています。保育士という職業が、これまでの保母さん的なものから専門職へと変わろうとしています。そうした背景があり時代に合わせた、カリキュラムの改革なんです。
これまで、人間発達学部では、保育士、幼稚園教諭、小学校教諭の3免が取得できるということが大きなポイントでした。そこはどうなるのでしょうか?
3免を希望する学生には、「保育・幼児教育コース」に入ってもらい、しっかりやってもらおうと考えています。全部で160単位ほど必要となりますが、履修制限で年間48単位までしか認められません。ぎりぎりですが、大丈夫かなと考えています。3免を取得できるという体制は継続していく予定です。今現在、学生の6割ほどが3免をと考えているようですが、実際のところ2年生のあたりからだんだん減ってきているのが現状です。気が変わってしまう学生もいますし、より専門性を高めた教育者を育成するというのは時代の流れでもあります。個人にも、時代にも臨機応変に対応していける制度としなければならないと考えています。3免を取得した4年生の学生に、3つの免許が本当に必要だったか尋ねると、そんなことなかったという声が聞かれます。そうしたことを見つめ直すための子どもファンデーションであり、4コース制、専門ゼミです。3免を希望して入学してみて、仕切り直して考えることのできるカリキュラムです。
4つのコースについて、「保育・幼児教育コース」「学校教育コース」この2つは保育士、幼稚園教諭、小学校教諭のためのコースですね。「発達福祉コース」「子ども芸術コース」について教えて下さい
就職先を見ていただきたいのですが、実際には、教育関係よりも、福祉関係に就職する学生が多くいます。特に児童養護施設や保育所ですが、特に男子学生に多く見られます。保育者不足もあって、養護施設関係は特に男子学生にとって、非常に人気のある職業になっています。「発達福祉コース」では、障害を持った子ども、児童虐待や貧困など社会的養護を必要とする子どもについて理論と実践を学び、そうした子どもに「能力と意欲」をもたらす援護者を育成することを目指します。それから、もうひとつ「子ども芸術コース」芸術学部の先生方からは、ここがメインだといわれています。
「子ども芸術コース」、これまで芸大の中にある人間発達学部だったのに、関連が薄いように感じていました
芸大という環境を最大限、生かしたコースです。教育というと、いってしまえばどこの大学でも同じようなカリキュラムの内容になってしまいますが、本学ならではのプラスアルファを考えたとき、子ども芸術コースが一番の強みになるのではないかと考えています。全学総合共通科目に「子どもの発達と芸術」という科目があるのですが、15回の講座のうち5回を私が担当しています。全学共通なので、2/3ほどが芸術学部の学生なんですね。その講座で、クリエ幼稚園の子どもたちと一緒にパソコンを使って音楽をつくるということをやりましたが、芸術学部の学生の方が子どもの扱いが上手というか、先生目線で見ないから一緒に遊ぼうという感覚なんですね。子どもと同じ目線に立てる、芸術というのは子どもにとって必要なんだと実感しました。こうしたことを人間発達の学生が見て、あまり先生目線になってもいけないなと気づいてくれればと思っています。絵が上手なことや歌が上手ということは子どもに対して、とても魅力的なことです。学生自身が、芸術の素養を育み、教育者として人間としての土台づくりを行うことができるコースになっていけるようにしていきたいです。幅広い人間性が本学のよいところだと思いますので、そういうところを大事にしていきたいと考えています。
入試の選考方法で変わることはあるのですか?
今まで通りのAOのプレゼン入試と、一般入試でも国語と英語だけではなく、国語と実技という組み合わせでも可能です。プレゼンは、音楽(独唱、弾き歌い、ピアノなど楽器演奏)、絵本・物語・紙芝居などの読み聞かせ、絵画・造形物などのプレゼンと、自分の特技が生かせるようになっています。未定なのですが、来年度からは、吹奏楽部 特定入試というのものを考えています。音楽領域で、高校の吹奏楽部の指導を行っていますが、専門の音大に進むより将来を考えて保育・教育関係に進みたいという高校生がいます。こうした高校生に、高校時代打ち込んできた吹奏楽を生かした仕組みというのを設けようと考えています。本学には、特別指定クラブとして「吹奏楽部」「ゴスペル」「ビッグバンド」「動画漫画研究部」「LEGO部」があります。入学後も、こうしたクラブや専門科目を履修することで、自分の好きなことを続け、芸術学部の学生と一緒により深めていくことができます。
どんな学生が育ってほしいですか?
他所からきた先生に、本学の学生は素直な子が多い、ピュアな子が多い、とよくいわれます。校風でしょうか、のんびりとした雰囲気は私が学生だったころから変わりません。子どもを上から叱りつけるような人にはなってほしくないなと、優しい人になっていってほしいと願っています。そのために、自由に臨機応変に対応していける仕組みをつくってきたいと思っています。
ありがとうございました
芸術系総合大学ならではの、一人ひとりの感性や想像力を大切にする環境で、子どもたちと感動を共有できる心の豊かさを育むのが、本学部特有の学びです。保育・教育の高い専門性を習得し、芸術学部と共通の「全学総合共通科目」を横断的に学び、幅広い知識、社会に求められるスキルをじっくりと身につけます。
保育所・こども園で活躍する保育士になるための資格です。また、児童福祉施設・児童養護施設など、子どもの福祉や教育に関する高度な専門性を必要とされる仕事をめざす際にも、有効となる資格です。
文部科学省管轄の公立・私立幼稚園の教諭となるために必要な免許です。免許取得のためには、4年制大学で定められた科目の履修、所定の単位の取得、大学卒業が必須条件とされています。
公立および私立小学校の教員になるために必要な免許です。免許取得のためには、4年制大学で定められた科目の履修、所定の単位の取得、大学卒業が必須条件とされています。
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専門分野とは別に、自分の好きなことを続けてほしい─そんな想いが詰まった5つのクラブ。名古屋芸大生であれば、誰もが学部や領域を超えて自由に活動できる、もう1つの表現の場です。
吹奏楽の授業とは別の、自分たちが思うように音楽を楽しめるクラブです。本学の音楽領域に在籍するプロの音楽家たちが指導陣。充実した環境の中で、高い演奏レベルをめざします。名古屋芸術大学ウィンドオーケストラの演奏会やレコーディングで演奏できるチャンスも。
歌が好きな人へ。一緒に歌いながら社会貢献活動を進めていきましょう。
ポップス・ジャズプレイヤー募集。専門コースの演奏会にコラボ出演の機会も。
マンガ・イラストを描くことが好きな人へ。プロの指導を受けられるチャンスも。
発想力、想像力、問題解決力、3次元的思考力を磨く。作品コンテストにも出場。