NUA-Student

49号(2019年11月発行)掲載

稲熊悠人
いなぐま ゆうと

芸術学部 芸術学科 音楽領域 音楽総合コース 2年生

ヒューマンビートボックスで日本一に

ヒューマンビートボックスの大会で優勝! Loop Station部門っていうけど、どんな大会なの? ヒューマンビートボックスについても教えて

大きく分けると、ヒューマンビートボックスとボイスパーカッションの2種類があります。もともとはヒューマンビートボックスと呼ばれていて、アメリカの黒人の遊びから始まったのだと思います。日本に入ってくるときに、わかりやすいようボイスパーカッションに名前が変えられました。なので、ボイスパーカッションは和製英語なんです。最初は呼び名が違うだけだったのですが、今では、ボイスパーカッションはドラムセットの音を真似るもので、ヒューマンビートボックスはもっと幅広い音を使っていて、一つの音楽のジャンルとして成り立っている感じです。ヒューマンビートボックスは、さらに種類が分かれ、マイク1本のパフォーマンス、2人組でやるもの、それ以上の人数でやるもの、僕がやってる機材を使ったLoop Stationと、ここ5〜6年で急成長しました。

やり始めたのはいつなの?

中学2年生のときで、YouTuberのヒカキンが流行った時期ですね。ヒカキンがちょうどテレビとかに出て、あと、ハモネプ(アカペラのコーラスにスポットを当てたTV企画)もあって。その頃はまだボイスパーカッションしか知らなくて、しかもヒカキンぐらいしか知らなくて、真似してちょっとできるようになっただけなんですけど、高校2年生になってビートボックスの大会に出ている人と知り合いになって、その人にこっちの世界に引きずり込まれました(笑)。

ええ、じゃあ、ビートボックスがやりたくて音楽総合コースへ?

大学はビートボックスに関係ないですよ。作曲とレコーディングの技術が欲しくてです。自分のレコーディングとかできますし、もちろん人のを録音することもできます。このスタジオを使いたくて、それ目的です。

作曲とレコーディング、そういえばカレイドスコープにも出てたよね?

あのときは作曲で。でも、ビートボックスでこの機材(BOSS RC-505)を使って演奏しましたね。全部ひとりで、口から出る音だけで作りました。声をサンプリングしてエフェクトをかけ、ベースラインがあって、コーラスがあって、ドラムもあって。打ち込みの作曲もたまにしたりしてるんですよ。本当はそっちを学びたくて総合コースに入ったんですって!

でも、ビートボックスのほうが主になってる(笑)

親に、大学生のうちに日本一になると宣言しちゃったので。大口をたたいていたので、とりあえず大会に出なきゃと。去年の8月、日本で初めてのLoop Stationの大会があって、Loop Stationを始めて半年ぐらいだったんですけど優勝して、変に自信がついて、公式、非公式、いろんな大会にエントリーするようにしました。日本ヒューマンビートボックス協会の日本一決定戦があって、予選では勝ったものの、対戦の1戦目で負けてベスト8だったんです。それが悔しくてアジア大会にエントリーしたら、そこで日本代表に選ばれて、アジア大会でベスト4になりました。帰って来てすぐに、今度は、Loop Station × DJバトルのイベントがあり、その大会で優勝し日本一になりました。日本一になるという大学での目標は達成できました。ただ、アジア大会のベスト4が微妙なところで、そこにちょっと悔いが残っていますね。それでアジア大会には来年も出たいなと。来年はもう少し良い成績を残したいと思っています。

大会は日本各地であるようだし、アジア大会は台湾だったんでしょ? 遠征にお金がかかるね

かかりますね。日頃から節約節約です。友達と遊ぶときや、もちろん大会の遠征も、機材のメンテナンスも、そういうところでお金をケチりたくはないんですけど、ひとりで生活しているときは1食30円とか(笑)。

どうやって!? ひとり暮らしだよね?

そうです。うどんだとか焼きそばだとか、スーパーでひと玉15円ぐらいで売ってるじゃないですか。あれですよ。1年生のときは実家から通っていましたが、曲のアイデアが浮かんだときにすぐに試したくて、ひとり暮らしを始めました。今なら、思いついたらすぐに帰って試して学校へ戻ってくるというのが、昼休みの時間でもできるようになりました。

曲はどんなこと考えて作るの?

大会のためには3分にしなければならなくて、その3分の中で起承転結がないといけないんです。自分で大事にしているのは、起承転承転結と、承と転を2回作るようにしていることです。個人的にはEDM(Electronic Dance Music)の低音系の音が好きで、毎日ひたすら聴きまくってます。少しでもいいなって思うところがあると、その部分をこう変えてとかいろいろ考えて保存して、ずっと聞きながら機材をいじる、そんなことをやっています。
 曲のオリジナリティーについては、誰もが同じようなことをするので、似かよってきます。いってしまえば、同じ機材を同じように使っているので、音も同じなんですよ。そこにどうやってオリジナリティーを出していくかというのが難しくて、音じゃなくて構成を変えるとか、その人らしさをどこかに作っていかなければなりません。ただ、いくらそれを突き詰めても、まわりに認められなければ意味がないんですよ。自分がこれはオリジナルだといっても、ほかの人が聴いて、これは誰々のパクリでしょといったら終わりです。自分が思っているかではなく、他人に評価されて初めてオリジナルになるのだと思っています。
 いろいろな音楽から影響を受けながら作るようにしています。EDMが好きといっていますが、音楽を作っているだけで、聴くのはいろいろなジャンルなんです。そもそも音楽を聴くことが好きなので、それほど意識して聴いているわけではないんですけどもね。

YouTube見ると、英語で自己紹介してるよね。英会話できるの?

英語は少ししか出来ないです(笑)。自己紹介は、定型文的なものがあって、それを真似てです。でも、ビートボックスの世界は英語を話せないと生きていけないので、英語のできる人が案外多いんです。その人たちに教えてもらいながら話している感じです。アジア大会のときも、できる人に教わりながら。対応に困ったら、とりあえず音出してセッションすればいいかなって。わりとそんな感じで乗り切りました。

BOSS Loop Station RC-505
演奏や歌のフレーズを録音し、ループ再生する機材。5チャンネルあり、それぞれにエフェクトを加え重ねて再生し音楽を作ることができる。Loop Station部門は、このRC-505を使って行われる

DICE (KR) vs Hoguma (JP) Asia Beatbox Championship 2019 SEMI FINAL LOOPSTATION BATTLE

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