中部文具工業組合「2023 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催

 本学デザイン領域と中部文具工業組合加盟の文具メーカーとの連携プロジェクト、「2023 文具デザインプロジェクト」の最終審査発表会が、2023年7月26日(水)にシヤチハタ株式会社 本社会議室にて開催されました。2023年6月にスタートしたこのプロジェクト、2ヶ月という短い期間ですが、提案を考え資料を作成、モックアップを作ったり実際の機能を試すことのできるサンプルを用意したりと、各学生、準備を整えてプレゼンテーションを行います。プレゼンテーション終了後、最優秀賞、メーカー賞を決定、表彰式が行われました。

 プレゼンテーションに先立ち、シヤチハタ株式会社 舟橋正剛 代表取締役社長から「毎年、このプロジェクトを楽しみにしております。われわれメーカーというのは、案外、最終ユーザーがどうやって製品を使っているのか、どんなものを必要としているのか、具体的には知らないものです。自分たちのエゴみたいな部分で商品を作っていることもあり、SNSを利用したり、直接ユーザーとコミュニケーションしたりということを始めていますが、学生さんのほうが一歩進んでいると感じています。今回の皆さんのアイデアやデザインも大変貴重なものであり、良いものは前向きに商品化したいと思っています」とプロジェクトに期待する言葉をいただきました。

 今年の課題は、シヤチハタ株式会社「①〇〇な仕事の人に便利なスタンプ・筆記具、②趣味に役立つスタンプ・筆記具」のどちらか、森松産業株式会社「自宅学習をより快適にする卓上用品」です。
 学生らは、これらの2つの課題に2023年6月から取り組み、メーカーの担当の方に相談しながらアイデアを練り、模型や試作品を作成してプレゼンテーションに臨みました。最終発表会では13名の学生がプレゼンテーションを行い、各メーカー代表の方々が審査を行います。各自に2案を8分間で説明、質疑応答3分のプレゼンテーション、実際に数々の商品を手がけてきた審査員を前に学生たちは緊張した面持ちで発表を行いました。
 審査の結果、最優秀賞はシヤチハタの課題「①〇〇な仕事の人に便利なスタンプ・筆記具」に対し、「ロゴポン」を提案した小野田亘佑さんが受賞。メーカー賞は、森松産業賞 組谷凌我さん「卓上革命児 ARRANGE」、シヤチハタ賞 長友玲人さん「ぴあすた」が受賞しました。
 最優秀賞を受賞した小野田さんの「ロゴポン」は、ホテルや飲食店などで見られるトイレットパーパーを三角折するように紙をカット、三角の部分に店舗のロゴマークなどをスタンプする道具で、小野田さんがアルバイトする中であったらいい道具がアイデアの発端になったといいます。プレゼンでは三角折自体の発祥から説明し、トイレの清掃が終わっていることの目印になることや、ホテルやファミリーレストランなど大規模チェーンをターゲットとするなどマーケットも調査してあり、審査人たちから感心する声が聞かれました。
 小野田さんのアイデアをはじめ、今回のプロジェクトでは、アルバイト先での自身の経験や普段の生活の中で感じた課題を解決しようとするアイデア、男女問わず香水など香りやピアスやネイルなど身だしなみに関連するアイデア、廃棄物のリサイクルなどSDGsの考えを基にしたアイデアなど、時代性を感じさせるアイデアがたくさん提案されたことが印象的でした。審査員からも、どのアイデアも興味深く、発案したアイデアの背景をよく調べられていることが印象的だったのとの声が聞かれました。

 森松産業株式会社 森直樹 代表取締役社長からは「毎年、楽しみにしています。不思議なもので同じ人が発表するわけでもないのに、年々レベルが上がっていっていることを実感します。審査員で話し合った中でも、プレゼンの構成やスライド、話し方、本当にトータルでレベルが上がっていると声が上がりました。皆さんの発想が、それぞれの経験から出てきていることがわかり、非常に興味深く参考になりました。今後とも学生生活の中で、勉強や遊びの中からでもどんどん経験を増やし見聞を広げていって欲しいと思います」と講評をいただきました。
 シヤチハタ株式会社 佐藤旭 取締役からは「プレゼンテーション能力、それから質問に対するエビデンス、かなりいろいろな角度で想定されそれに対する調べ含めて、非常にレベルの高いプレゼンテーションをしていただいたと思います。自分の経験に基づいたテーマを選び、それを深掘りし、さらに広げてアイデアを出している、よく考えられたことが伝わってきました。私たちメーカーとしても、皆さんに負けないよう頑張っていきたいと気持ちを新たにしました。今後もこのプロジェクトを盛り上げていけるよう、先生方、関係者の方々にもご指導をお願い致します」とまとめました。
 担当の三枝樹成昭講師からは「今後デザイナーとしてかかわっていく上でも、学生にとって非常に意義深いプロジェクトであり、今後もご指導いただけるようお願い致します」とお礼の言葉があり、最終審査発表会は終了となりました。

メーカー賞【森松産業株式会社】

卓上革命児 ARRANGE

組谷 凌我

メーカー賞【シヤチハタ株式会社】

ぴあすた

長友 玲人

最優秀賞

ロゴポン

小野田 亘佑