メタル&ジュエリーデザインコース、七宝焼アートヴィレッジにて作品展示、ふるさと納税返礼品をめざす

 デザイン領域メタル&ジュエリーデザインコース(2024年度1年次入学生から美術領域工芸コースへ移行)は、あま市七宝焼アートヴィレッジとコラボレーションし、伝統ある尾張七宝を使った新商品の開発を行い、尾張七宝の魅力を広く伝える取り組みを行っています。今年度のプロジェクトは2つ、「世界に認められた尾張七宝に再び輝きを」ということで学生が中心となり、七宝焼アートヴィレッジ常設展示の名品をモチーフとしたデザインを帯留めに落とし込み、ふるさと納税返礼品として商品化を目指すプロジェクト。さらに有志の学生とジュエリーデザイナー、作家として活動する卒業生らによる七宝の可能性をさらに広げる実験的な取り組み「尾張らない七宝プロジェクト」を立ち上げ、作品を制作しました。これらの作品を七宝焼アートヴィレッジの「第41回尾張七宝新作展」(2023年11月23日~26日)に併せて展示、最終日の2023年11月26日(日)には、安藤七宝店 安藤重幸氏、だいきち七宝工房 太田吉亮氏、加藤七宝製作所 加藤芳朗氏、インテリア七宝アート 加藤実氏をお迎えし、作品の講評会と商品化する作品の選定を行いました。

 学生は、作品とともに作品のモチーフとした七宝の名品、さらに新しいデザインに込めた考えや思いなどを説明しました。基になった名品は七宝焼アートヴィレッジの常設展にある作品で、いずれも名品にふさわしい技巧の凝らされたもの。それらから発想し、デザインの一部を切り取ったもの、色味を揃えたもの、描かれているモチーフからさらにイメージを広げたものなど、それぞれに個性的な作品に落とし込みました。講評としては、七宝の技術的な面からのアドバイスと、商品として見た場合のアドバイス、2つの方向性からご意見をいただきました。初めて七宝にチャレンジした学生や制作2~3作目といった経験の少ない学生が大半で、それぞれが銀線を立てる(有線七宝の技法でテープ状の純銀の線を立て図案の輪郭とします)のに苦労したり、思ったような色味が出ずにいましたが、丁寧な作りをお褒めいただくこともあり大きな励みになりました。どの作品からも一心に取り組んだことが伝わり、学生らも制作することでさらに七宝の魅力に触れたのでは、と感じさせます。また、商品として見たときには、値段を付けたい!やすぐにでも店頭に並べたいと、いった言葉も聞かれ、これも嬉しい評価をいただきました。

 「尾張らない七宝プロジェクト」では初めて七宝に取り組んだ2年生3名がプレゼンテーションを行い作品を説明しました。愛犬を現代アートふうに表現したもの、ツタンカーメンをモチーフにしたものなど、自由でユニークな作品が紹介されました。これまでの七宝焼にはないデザインを評価していただき、ぜひ、七宝も表現手段のひとつとして引き続きやっていって欲しいと講評をいただきました。

 総評として、「非常に完成度の高い作品が多くありました。どこへ出してもおかしくないと感じます。ただ、ふるさと納税の返礼品となると作りやすさも考慮する必要があり、どれを選べばいいかじっくり考えたいと思います」(太田氏)、「返礼品としてどのデザインでも魅力のあるものになると思います。数を作るとなると、型に合うデザインとコストが重要です。トータルで考えて考えたいと思います。デザイン自体はどれも良くて、商品化することに問題ないです」(加藤実氏)、「クオリティと発想力に驚きました。初めて七宝で作品を作ったという方もいる中で、これだけのものが出てきたというのは期待以上です。こういった社会連携の取り組みは卒業後も役に立つことです。積極性をもって取り組んでいって欲しい、ぜひ頑張って下さい」(加藤芳朗氏)、「商品となると収益性が必要で、自分の創りたいものを創るということとは異なってきます。そこが今回勉強になる部分ではないかと思います。現状、七宝業界は厳しい状況におかれており、自分たちの常識だけでは打破できない部分がたくさんあります。いろんな人たちからアイデアをもらいながらやっていくことが必要で、今回、いろいろな意見をもらえたことは非常にありがたかったです。皆さんの努力を何らかのカタチにしたいと思っております」(安藤氏)、と言葉をいただきました。

 講評会終了後、選考が行われ、返礼品の花瓶に3年生 鈴木歌乃さん「輪転」のデザインが、ブローチに3年 浅谷栞那さん「酔芙蓉」が選ばれました。おめでとうございます。今後、ブラッシュアップされ商品化されることとなります。
 また、今回展示された作品は、1月中旬 名古屋栄の安藤七宝店本店新店舗にて展示していただくことになります。こちらもお楽しみに。

酔芙蓉

鯉と牡丹

幸福の花

夢の色

菊文様・螺旋

龍と唐草

輪転

心に秘めた愛

藤と鳩

香立

竹と雀

愛犬

君影草

ドクダミ

無題

pivoine papillon

木目花瓶

Windows

つらつら椿

群蝶

名古屋コーチン

蜥蜴

Dear James,

moss

金魚皿